近日上映予定
羽仁進レトロスペクティブ 映画を越境するⅡ
2025/08/02 ~ 2025/08/15
羽仁進は1928年、東京に生まれた。父は歴史家の羽仁五郎、母は婦人運動家の羽仁説子、祖母は自由学園の創設者・羽仁もと子。1年間の共同通信社記者生活を経て、1949年に岩波映画製作所の設立に参加。『生活と水』で監督デビュー後、教育・記録映画の名作を次々に発表した。劇映画に進出後は、斬新な手法と自由な感性で日本ヌーヴェル・ヴァーグの旗手として高い評価を得た。
ウィーン映画祭、NYリンカーンセンター、ハーバード大学、イェール大学などで特集上映が行われ、世界的に評価が高い。ドキュメンタリーとフィクション、プロとアマチュア、大人と子供、男と女、日本と世界、全ての境界を軽やかに超えていく映画作家・羽仁進の傑作群を網羅。さらに未公開の新作『遥かなるPARADISE』と核の脅威を描く『予言』を加えてのレトロスペクティブ第二弾。
▼特別上映
『双生児学級』『ドラムと少年』(2本立て)
『ブワナ・トシの歌』
『午前中の時間割り』
協力:国立映画アーカイブ/料金1300円均一(ポイント鑑賞不可・ポイント加算あり)
上映予定作品一覧(全21本)
『海は生きている』
『教室の子供たち-学習指導への道-』
『絵を描く子どもたち-児童画を理解するために-』
『法隆寺』
『動物園日記』
『不良少年』
『充たされた生活』
『彼女と彼』
『手をつなぐ子ら』
『アンデスの花嫁』
『初恋・地獄篇』
『愛奴』
『恋の大冒険』
『妖精の詩』
『予言』
『遥かなるPARADISE』
『双生児学級』
『ドラムと少年』
『ブワナ・トシの歌』
『午前中の時間割り』
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『生活と水(20分/デジタル)』
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上映スケジュール
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公開:1952年
監督:羽仁進
水道普及の必要性を伝えるために厚生省が岩波映画に作を依頼した広報映画。生活そのものをリアルに描くことで、単なる教育映画ではない水と人との根源的な関わりに迫った羽仁進の監督デビュー作。美しい映像とユーモアに、後の傑作群の萌芽が見える。<併映:『海は生きている』>
資料提供:記録映画保存センター
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『海は生きている(56分/デジタル)』
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上映スケジュール
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公開:1958年
監督:羽仁進
一人の少年がさまざまな海の生物と接する過程を通して、自然や生命の仕組みを説き明かしていく海洋ドキュメンタリー。当時は海外だった琉球列島の八重山群島ハテルマ島にロケし、島々の暮らしや海中の様子を素晴らしいカラー映像で描いている。<併映:『生活と水』>
資料提供:記録映画保存センター
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『教室の子供たち-学習指導への道-(29分/デジタル)』
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上映スケジュール
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公開:1954年
監督:羽仁進
小学二年生の子供たちの教室での日常を捉えた傑作。カメラを全く気にしない子供たちの自然な姿に、どうやって撮ったのかと驚きを持って迎えられ数々の賞を受賞。それまでのドキュメンタリーの概念を覆し、羽仁進の名を広く知らしめた。<併映:『絵を描く子どもたち-児童画を理解するために-』『法隆寺』>
◎キネマ旬報短編ベストテン短編第3位、ブルーリボン賞
資料提供:記録映画保存センター
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『絵を描く子どもたち-児童画を理解するために-(38分 /デジタル)』
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上映スケジュール
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公開:1956年
監督:羽仁進
図画工作の授業で表現する楽しさに目覚めた子小学1年生の姿を通して、子供たちは何故絵を描くのかという謎に迫る。絵のみをカラーにする新鮮な手法や劇映画より劇的な展開で評価され、教育記録映画でありながら娯楽映画と劇場併映された。羽仁の記念すべき劇場デビュー作。<併映:『教室の子供たち-学習指導への道-』『法隆寺』>
◎キネマ旬報ベストテン短篇第1位、フラハティ賞
資料提供:記録映画保存センター
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『法隆寺(23分 /デジタル)』
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上映スケジュール
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公開:1958年
監督:羽仁進
日本最古の木造建築であり仏教文化の宝庫・法隆寺。釈迦如来像や百済観音、玉虫厨子など数々の至宝をクローズアップで描き出し、古代人の魂に迫った名ドキュメンタリー。羽仁の代表作のひとつ。<併映:『教室の子供たち-学習指導への道-』『絵を描く子どもたち-児童画を理解するために-』>
◎文部省芸術祭賞、キネマ旬報ベストテン短篇第3位、ロカルノ映画祭短編映画最高賞
資料提供:記録映画保存センター
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『動物園日記(72分 /デジタル)』
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上映スケジュール
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公開:1957年
監督:羽仁進
上野動物園を3年に渡って撮影し、普段見ることのない動物園の舞台裏に迫ったドキュメンタリー。ライオンやカバ、チンパンジーなど魅力的な動物たちと、彼らに愛情を注ぐ飼育員の姿を通して、動物と人間のかかわり合いを見つめる。その後、アフリカの大自然と動物を撮ることになる羽仁の原点ともいえる作品。
資料提供:記録映画保存センター
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『不良少年(90分/デジタル)』
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上映スケジュール
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公開:1961年
監督:羽仁進
出演:山田幸男、吉武広和、山崎耕一郎、黒川靖男、伊藤正幸、瀬川克弘、佐藤章、中野一夫
実際の不良少年たちを役者として起用し、街や少年院での姿を描いた劇映画第1作。ドキュメンタリーの手法を用いた実験的手法は多くの映画人に衝撃を与え、黒澤明『用心棒』や木下惠介『永遠の人』などを抑えてキネ旬の第1位に輝いた。羽仁の名を不動にした1本。
◎キネマ旬報ベストテン第1位、マンハイム国際映画祭金賞、日本映画監督協会新人賞
資料提供:記録映画保存センター
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『充たされた生活(108分/35mm)』
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上映スケジュール
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公開:1962年
監督:羽仁進
出演:有馬稲子、原田甲子郎、アイ・ジョージ、田村高廣、大場ゆかり、山本豊三、佐々木すみ江、福田善之、島かおり
ドキュメンタリー・タッチの演出、報道写真家・長野重一による手持ちカメラでのゲリラ撮影が斬新な野心作。石川達三から映画化権を獲得した有馬稲子が60年安保闘争の渦中で自分探しをするヒロインを熱演。表面上は充たされた生活を送りながら心に虚しさを抱えて彷徨う女性像に迫った。
©1962 松竹株式会社
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『彼女と彼(107分/デジタル)』
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上映スケジュール
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公開:1963年
監督:羽仁進
出演:左幸子、岡田英次、山下菊二、長谷川明男、五十嵐まりこ、木村俊恵、平松淑美、堀越節子、市田ひろみ、穂積隆信
新興団地に住む主婦が、隣接するバタ屋部落の火事をきっかけに部落の男に引き込まれていく。閉塞する団地生活になじめず境界を越えていく女を演じる左幸子、不穏な雰囲気を増幅させる武満の音楽が素晴らしい。羽仁進の問題意識が見事に結実した傑作であり、発足直後のATGで配給された。
◎キネマ旬報ベストテン第7位、ベルリン映画祭特別賞受賞
資料提供:記録映画保存センター
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『手をつなぐ子ら(100分/16mm)』
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上映スケジュール
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公開:1964年
監督:羽仁進
出演:佐藤英夫、北城由紀子、森原幸雄、植田元求、香西純夫、谷口善信、寺本好広、田村孝、安里親義、山崎耕一郎
稲垣浩監督、伊丹万作脚本による名作『手をつなぐ子等』のリメイク。勉強はできないが純粋な寛太を中心に、子供たちの世界を生き生きと描く。素人の少年たちの自然な演技には驚嘆。教育とは何かを観る者に突きつける感動作。
◎モスクワ国際映画祭審査員特別賞
資料提供:羽仁進
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『アンデスの花嫁(103分/35mm)』
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上映スケジュール
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公開:1966年
監督:羽仁進
出演:左幸子、アンセルモ福田、比嘉タケシ、高橋幸治、ドン・マテオ、サンタ・マリア、ワイパリ・マッチ、金城光太郎
写真花嫁としてペルーへと嫁いだタミ子が土にまみれて働く姿を雄大な自然を背景に描く。南米アンデスでオールロケを敢行したドキュメンタリー・タッチのドラマで、左幸子と高橋幸治以外はすべて現地の人間を起用している。『ブワナ・トシの歌』と同系列のユニークな作品世界が素晴らしい。
◎キネマ旬報ベストテン第6位
©東京映画・羽仁プロ
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『初恋・地獄篇(105分/35mm)』
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上映スケジュール
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公開:1968年
監督:羽仁進
出演:高橋章夫、石井くに子、満井幸治、福田和子、宮戸美佐子、湯浅実、額村貴美子、木村一郎
養護施設育ちのシュンとヌードモデルのナナミという10代の少年少女の愛と性を詩的かつ大胆に描いた傑作。共同脚本に寺山修司を起用、素人俳優を使った即興演出や隠し撮り、8mmフィルムなど実験的な手法が光る。ATGの1000万円映画の口火を切った大ヒット作であり、熱烈なファンを持つ1本。
◎カンヌ映画祭、ベルリン映画祭特別招待作品
© 1968 羽仁進/東宝
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『愛奴(97分/35mm)』
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上映スケジュール
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公開:1969年
監督:羽仁進
出演:末松百合、河原崎健三、額村喜美子、田沼瑠美子、増田貴光、植草甚一
墓地で出会った円城寺夫人に誘われるまま古い洋館を訪れた秀生は、召使少女・愛奴によって極限の快楽を味わう。死と生の世界を漂う愛奴とは、そして愛奴と夫人との関係とは!? 愛と官能、夢と現実が交錯する問題作。当初、秀生役には荒木一郎がキャスティングされていたという。
©1969 松竹株式会社
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『恋の大冒険(92分/35mm)』
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上映スケジュール
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公開:1970年
監督:羽仁進
出演:ピンキーとキラーズ、佐良直美、由紀さおり、前田武彦、土居まさる、大矢茂、左卜全、藤村有弘
人気絶頂だったピンキーとキラーズを主演に、恋を求めて東京にやってきた少女が巻き起こす騒動を描いたミュージカル・コメディ。脚本に山田宏一と渡辺武信が参加、ゲスト出演も超豪華! 和田誠のイラストを実写と合成するなど実験的手法が光る怪作であり、70年代テイスト満載の傑作エンターテインメント
© TOHO CO., LTD.
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『妖精の詩(99分/35mm)』
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上映スケジュール
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公開:1971年
監督:羽仁進
出演:羽仁未央、ラファエル・カスート、ブリジット・フォッセー、アルフレッド・マルファッティ
サルジニア島を舞台に、孤児院の子どもたちの世界を脚本なしで描いた実験的ファンタジー。娘の羽仁未央が演じる戦争孤児の目を通して人間の絆と平和の価値を問い直す。『禁じられた遊び』の名子役ブリジット・フォッセーの出演、荒木一郎の美しいテーマ曲も話題となった。ニュープリントでの上映です!
資料提供:羽仁進
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『予言(44分/16mm)』
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上映スケジュール
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公開:1983年
監督:羽仁進
出演:語り:鈴木瑞穂、大平透
米国公文書館に眠っていた原爆投下直後の映像を10フィートずつ買い取る運動により制作され、5ヶ国語版を世界中の平和運動団体に寄贈。国際的反核運動に影響を与えた。急速に進む核兵器開発、後遺症に苦しむ患者、そして原爆直後の人々の映像へ。一瞬で命や人生を奪う核兵器の恐ろしさを改めて知らしめる。核武装の必要性、限定核兵器使用が囁かれる今こそ観られるべき一作!
◎アメリカンフィルム・フェスティヴァル1983年度レッドリボン賞
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『遥かなるPARADISE(91分/デジタル)』
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上映スケジュール
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公開:2015年
監督:羽仁進
出演:語り:羽仁進
ヌーの大群が川を渡る迫力のシーンから始まるドキュメンタリー。そこへ監督自身のナレーションが流れ、この川渡りが最近始まったことを知る。ヌーたちを狩る肉食獣や猛禽類も新たな適応を迫られている。50年に渡ってアフリカで撮影した記録を新たに編集した本作は羽仁進監督の最新作であり、動物たちの知恵と彼らが紡ぐ命の円環を鮮やかに映し出している。監督自身も動物と同一線上に立ち、生と死とは、自由とは、そして人間とは何かを問う。初公開作品。
資料提供:羽仁進
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『双生児学級(40分/35mm)』
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上映スケジュール
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公開:1956年
監督:羽仁進
中野の東大付属中学校にある双生児学級にカメラを持ち込み、一卵性の上杉姉妹を中心に双子たちの生活と成長を描く。初めは見分けのつかない2人に徐々に個性が生じていく過程を通して「人間の性格は遺伝によって決まるのか、環境で決まるのか」というテーマに挑戦した野心作。『ドラムと少年』との2本立て上映。
資料提供:国立映画アーカイブ
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『ドラムと少年(31分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1959年
監督:羽仁進
ヤマハ音楽教室のPR映画。ピアノ教室に通うジャズ好きの妹と、ドラムにのめり込む兄との躍動感のある演奏シーンが絶品!素人や子役のチャーミングな演技、昭和30年代東京の風景が楽しめる。一言で評すれば抱きしめたい映画!『双生児学級』との2本立て上映。
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『ブワナ・トシの歌(98分/35mm)』
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上映スケジュール
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公開:1965年
監督:羽仁進
出演:渥美清、下元勉、ハミシ・サレヘ、ハイディ・ギダボスタ
プレハブ住宅を造りにアフリカに赴く建築技師を演じた渥美清の代表作ともなった傑作。文化の違いを超えて一緒に家を作る地元民と渥美の姿がコミカルかつ感動的な、寅さんにも通ずる人情ロードムービー。驚きや戸惑いを余さず捉えるカメラ、ハミシとの細やかなやりとりと別れに泣く。「ジャンボ、アサンテ!」
資料提供:国立映画アーカイブ
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『午前中の時間割り(100分/35mm)』
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上映スケジュール
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公開:1972年
監督:羽仁進
出演:国木田アコ、シャウ・スーメイ、秦野卓爾、沖至、和田周、矢部正男、蜂尾和彦、野沢房良
8mmカメラを抱えて夏休み旅行に出た2人の女子高生の生と死を即興的演出で描いた野心作。互いを撮り合いふざけ合う少女たちの無垢で親密な空気感は、ガーリーかつメランコリック。音楽監督を担当した荒木一郎の音楽のチョイスも素晴らしい。
資料提供:国立映画アーカイブ
新着情報
一覧を見る- 2025/06/16
- 特集「羽仁進レトロスペクティブ 映画を越境する II」トークショーのお知らせ
- 2025/05/24
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- 2025/05/22
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- 2025/05/11
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- 【中止】「ジャン・グレミヨン&ジャック・ベッケル特集」特別講義のお知らせ
- 2025/03/18
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- 2025/03/15
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- 2025/02/25
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