近日上映予定
Strangers in Hollywood1
2021/12/18 ~ 2022/01/21
アメリカが人種の坩堝であるように、ハリウッドは外国から来た人々によって作られたと言える。ヨーロッパから亡命してきた映画人だけでなく、才能ある人々はハリウッドを目指した。今回はドイツで映画に関わったのち、ナチスから逃れてアメリカに渡りハリウッドで活躍したドイツとオーストリア出身の3人の監督を特集する。
ダグラス・サーク(1897-1987)
ドイツ・ハンブルグ生まれ。大学卒業後、舞台演出家として躍進する。ナチスの台頭で、弾圧が強い演劇を離れて映画を志し、1934年にウーファと契約。すでにラングやシオドマクら多くの映画人がアメリカへ渡った後でもあり、『世界の涯てに』など本名のハンス・デトレフ・ジールクで数々の作品を監督し活躍する。妻で女優のヒルデ・ヤーリがユダヤ人だったため、37年ドイツから亡命しハリウッドへ渡る。その際ドイツ的すぎて仕事がこないということで本名からダグラス・サークと改名。
始めはワーナーと契約し43年には反ナチ映画『ヒットラーの狂人』を監督。52年〜58年ユニバーサルと契約し、この間に『心のともしび』『天はすべて許し給う』『風と共に散る』などの数多くのメロドラマの名作を誕生させた。58年に最後の長編作品『悲しみは空の彼方に』を監督すると、ハリウッドを去りスイスへ移住した。
ヨーロッパに戻ってからはいくつかの短編を除いて映画製作からは離れたが、60年代以降はドイツで再び演劇演出に携わった。1984年にはダニエル・シュミットが、インタビュー映像を含む彼のドキュメンタリー『人生の幻影』を完成させた。
ロバート・シオドマク(1900-1973)
ドイツ・ドレスデン生まれ。ユダヤ人の両親の元で育つ。25年に映画の世界へと入り、カーティス・バーンハートの脚本などを手がける。1929年、エドガー・G・ウルマーと共同監督で『日曜日の人々』で長編初監督。これをきっかけにウーファ社で活躍するが、33年ナチスの政権掌握後、ワイルダー、オフュルスらとほぼ同時期にパリへ渡る。パリでも監督を続けたが、パリ陥落の40年にパラマウントからの招致でハリウッドへと亡命した。
ユニバーサルと契約し44年に『幻の女』で評価を得ると、以降51年までに『らせん階段』や『都会の叫び』、『裏切りの街角』などB級娯楽映画を監督し、フィルム・ノワールの巨匠となる。46年の『殺人者』はその後ノワールを中心に活躍することになるバート・ランカスターのデビュー作となった。
52年にランカスターとの3度目の作品『真紅の盗賊』を監督した後、ヨーロッパへと戻る。以降西ドイツを中心として、メロドラマや戦争映画など、スリラーにこだわらず幅広いジャンルを監督した。67年には再びハリウッド製作(撮影はスペイン)で西部劇『カスター将軍』を監督するが評価はふるわず。69年に引退し、晩年はスイス・ロカルノで過ごした。
フレッド・ジンネマン(1907-1997)
オーストリアで、両親ともユダヤ人の家庭に生まれる。27年に大学卒業後パリへ渡り、映画撮影技術学校で学ぶ。その後ベルリンにて映画撮影現場に携わり、ウルマー&シオドマク監督の『日曜日の人々』では撮影助手として参加した。29年にハリウッドへ渡り、同郷出身のベルトルト・ヴィアテル監督の助監督などを務めた。一時はフラハティの助手としてベルリンへ渡ったほか、33年にはメキシコでドキュメンタリー『波』を監督している。
37年から3年ほどMGMで短編映画の監督業に従事する。42年に長編監督デビューを果たし、翌年には反ナチ映画『第七の十字架』を監督する。度々スタジオと衝突し厄介者扱いされていたが、47年に戦争を描いた社会派ドラマ『山河遥かなり』で一躍評価される。MGMとの契約が終了すると、プロデューサーのスタンリー・クレイマー、脚本家のカール・フォアマンと組み、『男たち』や『真昼の決闘』を監督した。53年には『地上より永遠に』でアカデミー賞8部門を受賞。反体制的な信念を持ち、メッセージ性の強い作品を多く生み出したことから、「ハリウッドの良心」と言われている。晩年はイギリスを中心に活動し、92年には自伝を出版した。
※『山河遥かなり』以外はデジタル上映
上映予定作品一覧(全34本)
『人間廃業』
『世界の涯に』
『南の誘惑』
『モルナール船長』
『罠』
『闇に浮かぶ犯罪』
『ヒトラーの狂人』
『第七の十字架』
『夏の嵐』
『幻の女』
『容疑者』
『ハリーおじさんの悪夢』
『らせん階段』
『殺人者』
『暗い鏡』
『奇妙な女』
『パリのスキャンダル』
『誘拐魔』
『山河遥かなり』
『眠りの館』
『都会の叫び』
『暴力行為』
『裏切りの街角』
『ちょっとフランス風』
『ショックプルーフ』
『血塗られた情事』
『大いなる罪びと』
『男たち 』
『ステキなパパの作り方』
『丘の雷鳴』
『結婚式のメンバー』
『わが望みのすべて』
『地上より永遠に』
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『日曜日の人々 Menschen am Sonntag(73分/サイレント)』
- 上映スケジュール
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公開:1930年
監督:ロバート・シオドマク、エドガー・G・ウルマー
出演:ブリジッテ・ボルヒェルト、ヴォルフガンク・フォン・ヴァルタースハウゼン
監督にシオドマクとウルマーとジンネマン(ノンクレジット)、脚本にビリー・ワイルダーという布陣の独時代の作品。出演は全てベルリンの一般人で、ロケ撮影のみ。平凡な労働者の日曜日がキラキラと輝いて見える幸福なスケッチで、ドイツ版『ピクニック』といった趣の一作。
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『人間廃業 Der Mann, der seinen Mörder sucht(53分)』
- 上映スケジュール
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公開:1931年
監督:ロバート・シオドマク
出演:ハインツ・リューマン、リエン・ダイヤース、ライモンド・ヤニチェック
シオドマクの珍しいコメディでビリー・ワイルダーが脚本で参加している。死にたい主人公は殺し屋を依頼する。ところが、ある女性を愛し生への執着が芽生え、殺し屋との契約をキャンセルしようとするが…。今となっては新味にかけるが当時は斬新だった設定、溢れるブラック・ユーモアが興味深い。ウーファのセットの見事さにも注目。
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『世界の涯に Zu neuen Ufern(103分)』
- 上映スケジュール
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公開:1937年
監督:ダグラス・サーク
出演:ツァラー・レアンダー、ウィリー・ビルゲル、カローラ・ヘーン、ヴィクトル・シュタール
シドニーに転任した恋人の罪を被り、同地に流刑になった歌姫のツァラー・レアンダー。男は昇進し将軍の娘と婚約。レアンダーは現地男性と結婚して釈放されるが…。サーク初期の傑作として名高いメロドラマ。男を信じる女と立場に囚われる男。再会、すれ違い、全てを祝福する歌声。ショーのシーンも素晴らしく、感情を揺さぶるサークの巧みな演出は完成の域にある。
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『南の誘惑 La Habanera(98分)』
- 上映スケジュール
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公開:1937年
監督:ダグラス・サーク
出演:ツァラー・レアンダー、ユリア・セルダ、フェルディナンド・マリアン、カール・マルテル、ボリス・アレキン、パウル・ビルト、エドウィン・ユルゲンセン
熱帯の島で地元名士と恋に落ち衝動的に結婚したスウェーデン人の娘。やがて嫉妬深い夫に愛も消える。そんなとき、熱病の調査のため医師が島を訪れ…。短いカットで夫婦の10年間を表現する大胆な飛躍! さすがの演出が冴えるサーク独時代最後の作品。ツァラー・レアンダーが地獄に落ちるヒロインを熱演。
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『モルナール船長 Mollenard(107分)』
- 上映スケジュール
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公開:1938年
監督:ロバート・シオドマク
出演:アリ・ボール、アルベール・プレジャン、ガブリエル・ドルジア、ロベール・リナン、ジナ・マネス、ピエール・ルノワール
シオドマクがベルギー作家の小説をフランスで映画化。前半は中国を舞台にした武器密輸をめぐるアクション・サスペンスだが、船が遭難しフランスに帰国する後半は一転、夫を憎む妻との関係、病気に苦しむ船長のアイデンティティを描く社会的ドラマとなる。フランスでは批評家から高い評価を受け、特に中流階級を攻撃した左翼支持者に人気があったという。
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『罠 Pièges(113分)』
- 上映スケジュール
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公開:1939年
監督:ロバート・シオドマク
出演:モーリス・シュヴァリエ、マリー・デア、ピエール・ルノワール、アンドレ・ブリュノ、エリック・フォン・シュトロハイム、ジャン・テメルソン
シオドマクがナチス占領前に亡命先のパリで撮った作品。パリで連続行方不明事件が発生、警察は囮捜査を進めるが…。囮の娘が容疑者の一人と恋に落ちるというロマンチック・フレンチ・ノワール。シュトロハイムも一瞬登場。後にサークが『誘拐魔』のタイトルでリメイクした。
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『闇に浮かぶ犯罪 Eyes in the Night(77分)』
- 上映スケジュール
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公開:1942年
監督:フレッド・ジンネマン
出演:エドワード・アーノルド、アン・ハーディング、ドナ・リード
盲目の探偵マックのもとに、旧友のノーマが訪れる。元恋人ポールが義理の娘バーバラと恋仲になった事を懸念していたのだが…。盲目を活かした駆け引き、相棒犬フライデーの活躍が楽しいミステリー。銃声と閃光だけで演出する、暗闇の地下室での戦いがスリリング。
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『ヒトラーの狂人 Hitler’s Madman(84分)』
- 上映スケジュール
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公開:1943年
監督:ダグラス・サーク
出演:パトリシア・モリソン、ジョン・キャラダイン、アラン・カーティス、ハワード・フリーマン
ナチス支配下のチェコで起きたハイドリッヒ暗殺とナチスによる報復を描く。本人そっくりというジョン・キャラダイン扮するハイドリッヒの冷酷非情さに加え、村を殲滅させる凄惨な報復描写も凄い。同事件を題材にした『死刑執行人もまた死す』と見比べるのも一興。無名時代のエヴァ・ガードナーも出演している。
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『第七の十字架 The Seventh Cross(112分)』
- 上映スケジュール
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公開:1944年
監督:フレッド・ジンネマン
出演:スペンサー・トレイシー、シグニ・ハッソ、ヒューム・クローニン、ジェシカ・タンディ、アグネス・ムーアヘッド、フェリックス・ブレサート
1936年ドイツ。反政府運動で収容された七人が脱走。怒り狂った所長は十字架に磔にすると宣言し、ゲシュタポの執拗な追跡が始まる。仲間が捕まっていく中、最後に残ったハイスラーは果たして!? 親ナチ、反ナチの人々が入り混じる等身大のドイツの姿が生々しく描かれた、自身もユダヤ系のジンネマンの傑作。
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『夏の嵐 Summer Storm(107分)』
- 上映スケジュール
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公開:1944年
監督:ダグラス・サーク
出演:ジョージ・サンダース、リンダ・ダーネル、エドワード・エヴェレット・ホートン、シグ・ルーマン、アンナ・リーサラ・パッデンフランク・オース
帝政ロシア末期。判事のジョージ・サンダースは愛する人がいながら木こりの娘にのめり込むが…。男を踏み台にするリンダ・ダーネルと破滅してゆく貴族階級の男たちが、激変する時代を象徴するようだ。果てしない野心を秘めた娘を演じるリンダ・ダーネルの圧倒的魅力を堪能する1本。
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『幻の女 Phantom Lady(87分)』
- 上映スケジュール
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公開:1944年
監督:ロバート・シオドマク
出演:エラ・レインズ、フランチョット・トーン、アラン・カーティス、トーマス・ゴメス
ウィリアム・アイリッシュの原作を大胆に改変し前半で犯人を明かすことでサスペンスを高めた傑作で、サイコバスの犯人の手への執着が恐怖を増幅させる。上司の無実を信じる秘書が目撃者たちを尾行する夜のロケのショットの素晴らしさとエネルギッシュなジャズセッションが印象的。
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『容疑者 The Suspect(85分)』
- 上映スケジュール
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公開:1944年
監督:ロバート・シオドマク
出演:チャールズ・ロートン、エラ・レインズ、ディーン・ハーレン、ヘンリー・ダニエル、ロザリンド・イバン、モリー・ラモント
タバコ会社の支配人ロートンは、求職にきたエラ・レインズと恋におちる。そんなとき悪妻が死にレインズと結婚できたロートンだが…。ラストまで先が読めないノワール・ミステリー。善人ゆえの葛藤や不安を繊細に表現するロートンの名人芸を堪能せよ。
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『ハリーおじさんの悪夢 The Strange Affair of Uncle Harry(80分)』
- 上映スケジュール
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公開:1945年
監督:ロバート・シオドマク
出演:ジョージ・サンダース、ジェラルディン・フィッツジェラルド、エラ・レインズ、サラ・オールグッド、サミュエル・S・ハインズ、ハリー・フォン・ゼル
地方の旧家で2人の姉と暮らすハリー。同僚の女性との仲を姉の1人が裂こうとしたことから…。ドイツから亡命しB級娯楽映画の巨匠と言われたロバート・シオドマク監督による恐ろしいフィルム・ノワール。観る者に人間の悪意がじわじわと迫る。
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『らせん階段 The Spiral Staircase(84分)』
- 上映スケジュール
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公開:1946年
監督:ロバート・シオドマク
出演:ドロシー・マクガイア、エセル・バリモア、ジョージ・ブレント、ロンダ・フレミング、エルザ・ランチェスター、ゴードン・オリヴァー、ケント・スミス
田舎町で体の不自由な女性ばかりを狙う連続殺人事件が起こる。幼い頃のショックで話せない女中に迫る影の正体は!? 冒頭から映し出されるらせん階段、閉ざされた屋敷、嵐の夜、そして犯人の瞳の中に写り込む被害者。ゴシック・スリラーとサイコ・サスペンスが合体したお手本のような傑作。
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『殺人者 The Killers(103分)』
- 上映スケジュール
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公開:1946年
監督:ロバート・シオドマク
出演:バート・ランカスター、エヴァ・ガードナー、アルバート・デッカー、エドモンド・オブライエン
殺された男の高額保険を不審に思った調査員がたどり着いた真相とは!? 女に狂わされた元ボクサーの人生が徐々に明らかになる展開、陰影が際立つ映像が素晴らしいノワール。ヘミングウェイの短編を膨らませた脚本にはジョン・ヒューストンが参加した(ノンクレジット)。
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『暗い鏡 The Dark Mirror(86分)』
- 上映スケジュール
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公開:1946年
監督:ロバート・シオドマク
出演:リュー・エアーズ、トーマス・ミッチェル、オリヴィア・デ・ハヴィランド、リチャード・ロング
目撃者が複数いる中で医師が殺されるが、容疑者ルースのアリバイも鉄壁で…。ルースとテリーの双子をオリヴィア・デ・ハヴィランドが演じる心理サスペンス。まるで鏡に写る姿が左右反転するように正反対の人物を演じ分けるデ・ハヴィランドが圧巻、かつ同じシーンで二人を撮影した技術はさすがのシオドマク! クローネンバーグの『戦慄の絆』の元ネタ。
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『奇妙な女 The Strange Woman(100分)』
- 上映スケジュール
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公開:1946年
監督:エドガー・G・ウルマー
出演:ヘディ・ラマー、ジョージ・サンダース、ルイス・ヘイワード、ジーン・ロックハート、ヒラリー・ブルック
貧しい家庭で父親に虐待されて育ったジェニーは、美貌を武器に富と地位を手に入れるが…。冷酷かつ衝動的な悪女でありながら、経営手腕や社会性も持つというヒロインの複雑な人格が、物語に魅力と深みを与えている。絶世の美女ヘディ・ラマーがジェニーを魂の熱演。サークが一部演出を担当したという、ファム・ファタールものの傑作。
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『パリのスキャンダル A Scandal in Paris(100分)』
- 上映スケジュール
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公開:1946年
監督:ダグラス・サーク
出演:ジョージ・サンダース、シグニ・ハッソ、キャロル・ランディス 、エイキム・タミロフ
犯罪者から警視総監になった実在のヴィドックをモデルに、ジョージ・サンダースがモテモテ知能犯を演じるクライム・ラブコメ。純情な令嬢と計算高い元歌姫のダブルヒロインも魅力的。ご都合主義ながらラストに向けて盛り上がる展開はさすがサーク!影を使った演出やお猿さんも最高。
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『誘拐魔 Lured(103分)』
- 上映スケジュール
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公開:1947年
監督:ダグラス・サーク
出演:ジョージ・サンダース、ルシル・ボール、チャールズ・コバーン、ボリス・カーロフ、セドリック・ハードウィック、ジョセフ・カレイア、アラン・モーブレイジョージ・ザッコ、ロバート・クート、アラン・ネイピア、タニス・チャンドラー
連続女性誘拐魔vs女探偵! ブレイク直前のルシル・ボールとジョージ・サンダース、そしてボリス・カーロフという曲者役者を巧みに捌くダグラス・サークの手腕も見事なロマンチック・サスペンス。コメディタッチの演出、二転三転の脚本が素晴らしい。
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『山河遥かなり The Search(103分/16mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1948年
監督:フレッド・ジンネマン
出演:モンゴメリー・クリフト、イヴァン・ヤンドル、アリーン・マクマホン、ウェンデル・コーリー、ヤルミラ・ノヴォトナ
米兵ラルフに拾われた少年カレルは、ナチスの収容所で母と生き別れになったことから人に心を閉ざしていた。しかし、ラルフの優しさで心を開いたカレルは母を捜す旅に出ようとする。一方、別れた母もまた息子を捜し求め…。戦争で引き裂かれた母子がGIによって救われるヒューマン・ドラマ。
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『眠りの館 Sleep, My Love(98分)』
- 上映スケジュール
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公開:1948年
監督:ダグラス・サーク
出演:クローデット・コルベール、ロバート・カミングス、ドン・アメチー、ヘイゼル・ブルックス、リタ・ジョンソン、ジョージ・カラリス、レイモンド・バー
クローデット・コルベールは乗った覚えのない夜行列車のベッドの上で目覚める。彼女は夢遊病か、精神病か、それとも!? 人妻が精神的に追い詰められていく『ガス燈』的テーマにダグラス・サークが挑む。高まっていくサスペンス、コルベールとドン・アメチーのキャラの対比など演出が冴える。
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『都会の叫び Cry of the City(95分)』
- 上映スケジュール
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公開:1948年
監督:ロバート・シオドマク
出演:リチャード・コンテ、ヴィクター・マチュア、シェリー・ウィンタース、フレッド・クラーク、ベティ・ガード、デブラ・パジェット、ホープ・エマーソン
同じイタリア系コミュニティで育った幼馴染同士がギャングと警察の立場に分かれ宿命の対決にいたるクライム・サスペンス。自分を陥れた悪徳弁護士に復讐するギャングの逃亡劇に焦点が当てられている。元情婦シェリー・ウィンタースなど印象的な役柄の脇役がそろっている。
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『暴力行為 Act of Violence(82分)』
- 上映スケジュール
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公開:1949年
監督:フレッド・ジンネマン
出演:ヴァン・ヘフリン、ジャネット・リー、ロバート・ライアン、メアリー・アスター、フィリス・サクスター
模範的な市民一家に謎の男が忍び寄る…。過去に追い詰められる男を描くサスペンス・スリラーの隠れた傑作で、男のかつての部下ロバート・ライアンが足を引きずりながら歩くシルエットや足音が不安感を醸し出す。光と影を効果的に活かした夜のシーンも素晴らしい。
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『裏切りの街角 Criss Cross(88分)』
- 上映スケジュール
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公開:1949年
監督:ロバート・シオドマク
出演:イヴォンヌ・デ・カーロ、バート・ランカスター、ダン・デュリエ、スティーヴン・マクナリー、トニー・カーティス
ギャングの女になった元妻を忘れられず、運命を狂わされていく男のフィルム・ノワール。堂々たるファム・ファタールのイヴォンヌ・デ・カーロ、ギャングのボスのダン・デュリエが素晴らしい演技を見せる。斜めの構図の多用や、圧巻の現金輸送車襲撃シーンにシオドマクの演出手腕が冴える。
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『ちょっとフランス風 Slightly French(81分)』
- 上映スケジュール
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公開:1949年
監督:ダグラス・サーク
出演:ドロシー・ラムーア、ドン・アメチー、ジャニス・カーター、ウィラード・パーカー、アデル・ジャーゲンス
完璧主義が行き過ぎて主演のフランス人女優が逃げだし、監督を下ろされたドン・アメチー。見せ物小屋で見つけた女の子を“フランス風”に仕立てて撮影続行を企てるが…。映画内映画のダンスシーンの凄さで度肝を抜かれ、その後は片思いの連鎖に胸キュンの一本。メロドラマの名手サークによるラブコメの傑作!
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『ショックプルーフ Shockproof(80分)』
- 上映スケジュール
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公開:1949年
監督:ダグラス・サーク
出演:コーネル・ワイルド、パトリシア・ナイト、ジョン・バラグレイ、エスター・ミンチオッティ、ハワード・セント・ジョン、ラッセル・コリンズ、チャールズ・ベイツ
恋人のため殺人を犯した女が仮釈放になり保護観察官と恋に落ちるが…。サミュエル・フラー脚本によるノワール。美しいパトリシア・ナイトが帽子を買うシーン、飛び降り自殺のシーンなど冒頭から観るものをワクワクさせるサークの演出が最高。ラストはスタジオが勝手に脚本を書き換えて撮りなおしたもの。
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『血塗られた情事 The File on Thelma Jordon(100分)』
- 上映スケジュール
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公開:1949年
監督:ロバート・シオドマク
出演:バーバラ・スタンウィック、ウェンデル・コーリー、ポール・ケリー、ジョーン・テッツェル、スタンリー・リッジス
妻を愛しながら有力者の義父に反発し自棄になった地方検事補のクリーブ。そこに現れた美女・セルマに惹かれるが…。ストーリーは二転三転、遂には法廷劇に突入する。セルマの裁判で検事に選ばれたクリーブの巧妙なやり口は一見の価値あり。もちろんバーバラ・スタンウィックのファム・ファタールぶりも堪能できる変格ノワール。
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『大いなる罪びと The Great Sinner(110分)』
- 上映スケジュール
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公開:1949年
監督:ロバート・シオドマク
出演:グレゴリー・ペック、エヴァ・ガードナー、メルヴィン・ダグラス、ウォルター・ヒューストン、エセル・バリモア、フランク・モーガン、アグネス・ムーアヘッド
『天使の入江』を100倍強烈にしたような博奕アディクトもの。エヴァ・ガードナーに惚れた作家グレゴリー・ペック。しかし彼女と父は賭博狂で、遺産狙いで祖母の死を待ちわびる始末。彼らの借金返済のため一夜の賭けに挑むペックの運命は!?名優たちが取り憑かれた目をした賭博狂を熱演。祖母(エセル・バリモア)の最期も凄まじい!
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『男たち The Men(87分)』
- 上映スケジュール
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公開:1950年
監督:フレッド・ジンネマン
出演:マーロン・ブランド、テレサ・ライト、エヴェレット・スローン、ジャック・ウェッブ
半身不随となった兵士たちを治療する軍人病院。脊髄を損傷した中尉ケンは婚約者を遠ざけ自棄になっていたが…。医師や患者たち、それぞれの苦悩や葛藤を丁寧に描いた真摯な医療ドラマ。ケンを演じたマーロン・ブランドの銀幕デビュー作。
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『ステキなパパの作り方 Week-End with Father(84分)』
- 上映スケジュール
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公開:1951年
監督:ダグラス・サーク
出演:ヴァン・ヘフリン、パトリシア・ニール、ジジ・ペルー、ジャニーン・ペロー、ジミー・ハント、リチャード・デニング
男の子2人を持つ未亡人と、女の子2人を持つやもめが、キャンプに出掛ける子どもを見送りに行き…。鬼ならぬ子どもの居ぬ間に熱烈な恋に落ちた二人の運命は如何に!? 未亡人役のパトリシア・ニールの美しさが際立つ一本。生意気で難しい年ごろの子どもたちと犬たちの活躍も見もの!
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『丘の雷鳴 Thunder on the Hill(84分)』
- 上映スケジュール
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公開:1951年
監督:ダグラス・サーク
出演:クローデット・コルベール、アン・ブライス、ロバート・ダグラス、アン・クロフォード、フィリップ・フレンド、グラディス・クーパ
洪水を逃れて丘の上の修道院兼病院に避難した村人たち。そこへ死刑囚の若い女性がやってくるが…。彼女の無罪を信じる修道女(クローデット・コルベール)が、周囲に反対されながら事件の真相を探る。訳あり修道女が大活躍するサーク得意の女性映画。唯一の味方の料理番修道女がいい味を出している。修道院のセットも凄い!
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『結婚式のメンバー The Member of the Wedding(90分)』
- 上映スケジュール
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公開:1952年
監督:フレッド・ジンネマン
出演:エセル・ウォーターズ、ジュリー・ハリス、ブランドン・デ・ワイルド、アーサー・フランツ、ナンシー・ゲイツ
南部のうだるような夏。黒人の家政婦と年下の従弟しか友達がいない癇性な12歳の少女フランキーが、兄の結婚式で有頂天になり…。村上春樹の新訳も出たマッカラーズの小説の映画化。夏が過ぎ少女が大人になる一方、仲間だった2人の運命の残酷さに胸が締め付けられる。ジンネマンは「重要なことは狭い台所でなく人の魂の中で起きる」と述べている。熱狂的なファンを持つ傑作!
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『わが望みのすべて All I Desire(79分)』
- 上映スケジュール
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公開:1953年
監督:ダグラス・サーク
出演:バーバラ・スタンウィック、リチャード・カールソン、ライル・ベティカー、マーシャ・ハンダーソン、ローリー・ネルソン
“家庭を顧みないタレントママ像”をバーバラ・スタンウィックが熟演! 鏡や窓などを使ったきめ細やかさ&エモーショナルなサークの演出によって、繊細かつダイレクトに感情を揺さぶってくる。多くの登場人物と複雑な人間関係を80分でさばいてしまう50年代ハリウッドの底力が凄い。
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『地上より永遠に From Here to Eternity(118分)』
- 上映スケジュール
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公開:1953年
監督:フレッド・ジンネマン
出演:バート・ランカスター、モンゴメリー・クリフト、フランク・シナトラ、デボラ・カー、ドナ・リード
ハワイ基地に更迭され、署長に説得されても頑なにボクシングを拒否するプルーイットと、模範的な軍人だが署長の妻に惹かれていく曹長ウォーデン。真珠湾攻撃直前のハワイを舞台に、軍隊でしか生きられない若者たちの青春を描く。美しい海辺の恋が戦争の虚しさを際立たせる。
新着情報
一覧を見る- 2024/11/06
- 「デトレフ・ジールクからダグラス・サークへ」トークショーのお知らせ
- 2024/11/06
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- 当館紹介記事のお知らせ
- 2024/10/12
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- 2024/09/17
- 特集「生誕100年 スタイリッシュ石井輝男」トークショーと舞台挨拶のお知らせ
- 2024/09/06
- 「チラシ送付あり会員」料金改定のお知らせ
- 2024/08/22
- 「ショットとは何か 歴史編」刊行記念 映画 ショット 歴史
- 2024/08/14
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- 2024/08/12
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東京都渋谷区円山町1‐5
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