近日上映予定
没後二十年メモリアル 新珠三千代・美貌の罪
2021/06/19 ~ 2021/07/09
新珠三千代(本名:戸田馨子)1930 – 2001
奈良市出身。宝塚歌劇団では可憐な美貌と歌唱力でトップ娘役として活躍。1951年に東宝『袴だれ保輔』で映画デビュー。55年に宝塚を退団して日活に入社、看板スターになった。代表作『洲崎パラダイス 赤信号』(1956)がヒットするが、翌年には東宝に移籍。『人間の條件』(1959)でブルーリボン助演女優賞を受賞、『女の中にいる他人』(1966)の演技も評価された。
また、テレビでは『氷点』『細うで繁盛記』で大スターとなり、舞台でも活躍。和服が似合う清楚な日本女性のイメージが定着した。
しかし、映画女優としての新珠は、従順で淑やかな日本女性のイメージを遥かに凌駕し、何かに憑りつかれたような女性、お人好しな女、自らの美貌を利用して男をだます悪女と、幅広い役柄をこなす演技力を発揮した。特に内心何を考えているか分からない謎の女性を演じさせたら天下一品で、その役柄通り私生活について一切語らず、生涯独身であった。
上映予定作品一覧(全19本)
『三つの顔』
『夜の鴎』
『千代田城炎上』
『「赤坂の姉妹」より 夜の肌』
『女の中にいる他人』
『こころ』
『「廓」より 無法一代』
『女殺し油地獄』
『丼池』
『風の視線』
『日本の青春』
『死の十字路』
『洲崎パラダイス 赤信号』
『結婚のすべて』
『黒い画集 第二話 寒流』
『冷飯とおさんとちゃん』
『惜春』
『愛のうず潮』
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『月夜の傘(128分/16mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1955年
監督:久松静児
出演:田中絹代、新珠三千代、坪内美詠子、轟夕起子、宇野重吉、三島耕、伊藤雄之助、渡辺鉄彌、真塩洋一、加藤淳子、三島雅夫、飯田蝶子、二木てるみ、宍戸錠
新婚の新珠、娘を抱えた未亡人・坪内、息子を溺愛する母親・轟、夫に従順な妻・田中。主婦の井戸端会議を軸に、飯田蝶子や東山千栄子も加わり展開する女性映画の名作。壷井栄原作、久松静児監督。姫田真佐久、木村威夫も参加している。シングルファーザーの伊藤雄之助、モラハラ夫・宇野重吉など男性陣や子供たちの演技も素晴らしく、何より未来に希望があった昭和30年代が懐かしい
©日活
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『三つの顔(100分/デジタル)』
- 上映スケジュール
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公開:1955年
監督:井上梅次
出演:三國連太郎、新珠三千代、水島道太郎、伊藤雄之助、広岡三栄子、桂典子、飯田蝶子、殿山泰司
ビルマ戦線での戦友三人は五年後の再会を約束して別れたが…。伊藤雄之助は日雇いに、水島道太郎はボクサーに、そして三國連太郎は警察に追われる身に。三人の人生が再会の日に向かって収束していくアクションドラマ。新珠は水島の病弱な妻役で、彼女のために水島が八百長を引き受けるくだりが哀しい。安部徹と飯田蝶子のキャラも強烈。
©日活
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『夜の鴎(100分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1957年
監督:佐分利信
出演:佐分利信、新珠三千代、佐野周二、高堂国典、桜むつ子、田崎潤、佐原健二、久慈あさみ、那須勝利、大川昌幸、河内桃子、北条美智留、佐田豊、笈川武夫、清水一郎、夏川大二郎
次々に夫を事故で亡くし悲しむけい子は、妻に捨てられ子どもを抱えて困惑する画家・林に同情し…。いつも誰かを愛し、尽くすことに喜びを見出していく女性を演じる新珠三千代が美しい。デザイナーの妻に徹底的に馬鹿にされ捨てられる林を、佐分利が嬉々として演じている。
©TOHO CO.LTD.
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『千代田城炎上(103分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1959年
監督:安田公義
出演:新珠三千代、勝新太郎、三田登喜子、美川純子、加茂良子、毛利郁子、穂高のり子、阿井美千子
江戸中期、大奥に入った町人の娘・新珠が成り上がる。先輩のいじめ、庇護者の出現、さらに重大事件を暴き出世していく新珠。上様の夜伽を拒否し打ち首を命じられる危機も! 安田公義と依田義賢による「大奥キャリア・ウーマン物語」で、勢力争いや陰謀、セクハラなど現代人が観てもリアル。大映の美術、クライマックスの火事シーンも素晴らしい。
©KADOKAWA1959
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『「赤坂の姉妹」より 夜の肌(104分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1960年
監督:川島雄三
出演:淡島千景、新珠三千代、川口知子、伊藤雄之助、田崎潤、フランキー堺、松村達雄、三橋達也、久慈あさみ、山岡久乃、柳沢真一、露口茂、立岡光、蜷川幸雄、佐羽由子、中村是好、菅井きん、安達国晴、本郷淳、横山道代
長女の淡島が経営する赤坂のバーで働く次女の新珠。そこへ三女の川口がやってきて学園闘争に身を投じ…。男を利用する淡島と反発する新珠のキャットファイトが凄い。好色政治家の伊藤雄之助、怪しいフランキー堺、インテリ三橋達也など脇も豪華。豆知識満載の加藤武のナレーションもどこか可笑しい。
©TOHO CO.LTD.
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『女の中にいる他人(102分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1966年
監督:成瀬巳喜男
出演:小林桂樹、新珠三千代、草笛光子、三橋達也、若林映子、稲吉千晴、塩崎景子、長岡輝子、稲葉義男、加東大介、黒沢年男
親友の妻との不倫の果て首締めプレイで殺してしまった夫。良心の呵責に耐えられず妻と友人に打ち明けるが二人に口止めされ…。平和な日常が壊されるとき妻が出した結論は!? 恐怖を煽る陰影など成瀬らしからぬノワール演出、新珠の能面のような無表情が恐ろしい。エドワード・アタイヤの同原作をシャブロルも映画化しているので比べるのも一興。
©TOHO CO.LTD.
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『こころ(122分/16mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1955年
監督:市川崑
出演:森雅之、新珠三千代、三橋達也、安井昌二、田村秋子、鶴丸睦彦、北林谷栄、下元勉、久松晃、下絛正巳、山田禅二、伊丹慶治
先生を森雅之、奥さんを新珠が演じているが、原作とは違い名前がついている。書生役をするには苦しい森に対し新珠の魅力全開。アップの多用も素晴らしい。予定されていた小林正樹監督に代わり二十日間で撮りあげた市川崑だが、カットや構図が卓越しており難しい原作の映像化に成功している。
©日活
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『「廓」より 無法一代(102分/デジタル)』
- 上映スケジュール
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公開:1957年
監督:滝沢英輔
出演:三橋達也、新珠三千代、芦川いづみ、宇野重吉、利根はる恵、清水将夫、宍戸錠、殿山泰司、澤村國太郎、高野由美
明治末期。三橋達也と新珠夫婦が貫銀楼という女郎屋を開く。働く女たちの悲惨な運命には目もくれない三橋に新珠は疑問を抱き…。廓の内情を暴露した西口克己『廓』の映画化。客の子を妊娠したあげく捨てられ自殺する薄幸の遊女役に芦川いづみ。「わいは金をもうけたるぞ!わいは鬼やぞ!」三橋の慟哭も心に迫る。
©日活
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『女殺し油地獄(99分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1957年
監督:堀川弘通
出演:中村扇雀、中村鴈治郎、三好栄子、香川京子、若宮忠三郎、新珠三千代、山茶花究、池田栖子、志摩多佳子、藤乃高子、上田寛、岩井半四郎、三津田健、芦屋雁之助、芦屋小雁
老舗油屋の跡継ぎの与兵衛は、放蕩、悪態の限りをつくし、遊女に入れあげ無理な借金を重ねるが…。原作は凄絶なラストが有名な近松門左衛門の世話もの。我儘な子供のままのダメ男を中村扇雀、真面目に暖簾を守る義父役を中村雁治郎という父子の演技合戦が見もの。人の良いのが仇になり悲劇を招く新珠の美しさがひときわ印象的。
©1957東宝
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『丼池(102分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1963年
監督:久松静児
出演:司葉子、三益愛子、新珠三千代、森光子、佐田啓二、中村鴈治郎
昭和27年、大阪の丼池。老舗問屋の乗っ取りを巡って、女たちの意地と情のバトルが勃発する。大卒論理派金貸し・司葉子と老練の高利貸し・三益愛子、色仕掛けで店を狙う新珠の三つ巴の騙し合いに加え、空売り、買占め、インサイダー等の頭脳戦も手に汗握る面白さ!
©TOHO CO.LTD.
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『風の視線(105分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1963年
監督:川頭義郎
出演:新珠三千代、佐田啓二、園井啓介、岩下志麻、山内明、滝田裕介、加藤嘉
身近な3組の夫婦のうち5人が入り乱れてのグダグダ不倫劇。ダンディな佐田啓二、大人しい岩下志麻、2人の男を惹きつける人妻・新珠。一人だけ蚊帳の外の佐田夫人・奈良岡朋子がチクった挙句に訪れる脱力の結末とは!? 佐田と新珠のキスシーンの爆発力と官能性が物凄く、踊る松本清張も見もの。
©1963松竹株式会社
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『日本の青春(129分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1968年
監督:小林正樹
出演:藤田まこと、新珠三千代、黒沢年男、酒井和歌子、田中邦衛、奈良岡朋子、佐藤慶
学徒動員で耳が不自由になった藤田まことも今は幸せに暮らしていたが…。戦争の傷を引きずる父と防衛大志望の息子の関係を軸に、戦争とは青春とは何かを問う遠藤周作原作の映画化。元上官への怨念や新珠への想いを細やかに演じた藤田の演技が素晴らしい。軍隊生活や戦後も傲慢な上官たちの姿に出征経験のある小林正樹の思いが詰まった傑作。
©TOHO CO.LTD.
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『死の十字路(101分/デジタル)』
- 上映スケジュール
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公開:1956年
監督:井上梅次
出演:三國連太郎、大坂志郎、新珠三千代、三島耕、安部徹、芦川いづみ、多摩桂子、東谷暎子、山岡久乃、澤村國太郎
誤って殺した妻の死体を処分しようと奔走するうち更に死体を背負い込んだ男の悲喜劇を倒叙形式で描く。夜の街、うさんくさい警察や探偵などノワールのテイストが色濃い傑作。ヒール役の大坂志郎、安部徹が素晴らしく、愛人の新珠の天然ぶりに思わず失笑。
©日活
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『洲崎パラダイス 赤信号(81分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1956年
監督:川島雄三
出演:新珠三千代、三橋達也、轟夕起子、河津清三郎、芦川いづみ、牧真介、桂典子、田中筆子、冬木京三、小沢昭一
洲崎遊郭に無一文で流れついた男と女が飲み屋の女将にひろわれる。この飲み屋を舞台に、したたかだが憎めない女と優柔不断なダメ男の、別れそうにはなってはまた元の鞘に収まる腐れ縁が描かれる。だらしはないが、切なくヤルセナイ色恋の機微を描いた傑作であり、監督自身お気に入りの一本。ニュープリ英語字幕版でお届けします。
©日活
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『結婚のすべて(85分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1958年
監督:岡本喜八
出演:雪村いづみ、新珠三千代、上原謙、小川虎之助、堺左千夫、上野明美、山田真二、加藤春哉、柳川慶子、三橋達也、三船敏郎、塩沢登代路、白石奈緒美、仲代達矢、団令子ナレーション:小林桂樹
古風な大学教授夫人の新珠と現代娘の雪村を中心に、恋愛結婚が流行りだした当時の風俗を描く風刺恋愛喜劇。ポップな音楽、スピーディーでハイテンションなセリフ回し、切れ味の良い演出と、岡本喜八の才気が爆発するデビュー作。トンデモ役でゲスト出演している世界の三船の演技にも注目!
©1958東宝
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『黒い画集 第二話 寒流(96分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1961年
監督:鈴木英夫
出演:池部良、新珠三千代、平田昭彦、志村喬、宮口精二、丹波哲郎、中村伸郎
同窓で常務の平田昭彦の力で抜擢された池部良は、不倫関係になった料亭の女将・新珠への融資を承諾。しかし平田も新珠に一目ぼれし・・・。池部良が嫉妬に狂う中年男を熱演し、宮口精二、志村喬など名優が脇を固める。新珠の魅力の前では、池部が出世から外れた”寒流”に流されるのもやむなしか。
©TOHO CO.LTD.
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『冷飯とおさんとちゃん(177分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1965年
監督:田坂具隆
出演:中村錦之助、三田佳子、森光子、新珠三千代、木暮実千代、渡辺美佐子、入江若葉、三木のり平、佐藤慶、小沢昭一
山本周五郎原作、中村錦之助主演のオムニバス作品。古本オタクの武家の四男坊の恋を描く『冷飯』、夜の営みの最中に別の男の名前を叫ぶ妻をめぐる『おさん』、貧乏な火鉢職人と家族の物語『ちゃん』。幽霊譚ともいえる『おさん』で新珠は妻から逃れて旅に出た錦之助とねんごろになる女を演じている。
©東映
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『惜春(96分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1967年
監督:中村登
出演:新珠三千代、香山美子、加賀まりこ、平幹二朗、森光子、早川保、伊志井寛、東野英治郎、柴田美保子、永井智雄、横内正、村瀬幸子、木村俊恵
老舗糸屋の八代目当主の遺言で、三人姉妹のうち後継者にふさわしい婿をとった者が店を相続することになるが…。糸屋の跡継ぎをめぐり、腹違いの妹とその母が長女を陥れようとするドロドロのメロドラマ。長女・新珠の人の良さと優美さに対し、妾・森光子のお下劣振りが凄い。
©1967松竹株式会社
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『愛のうず潮(96分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1962年
監督:久松静児
出演:新珠三千代、三橋達也、平田昭彦、草笛光子、若林映子、佐原健二
女学校卒業後に結婚した新珠。それから五年、夫の平田昭彦はNY支店長の椅子のため社長の姪と愛人関係に。そんなある日、写真家の三橋達也と知り合い…。世間知らずで優柔不断な新珠と強烈モラハラ夫のカップルが凄すぎる久松静児によるメロドラマの傑作!経年劣化が進んでいるため3回上映とさせていただきます。
©1962東宝
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