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近日上映予定

  • 日本ヌーヴェルヴァーグとは何だったのか

  • 2019/02/02 ~ 2019/02/22

1957年、フランスで『カイエ・デュ・シネマ』を中心として誕生した“ヌーヴェルヴァーグ”。それらの作品における周辺化された人間への注目、反権威や政治、性といったテーマ、ドキュメンタリー・タッチの生々しさ、ジャズの多用は世界の映画人に衝撃を与えた。日本における影響は撮影所内の新人監督たちから始まり、それがインディペンデントな運動へと波及した。

1960年代前半、松竹の大島渚、篠田正浩、吉田喜重を中心に高橋治、森川英太郎、石堂淑朗、田村孟が参加して作り上げた新しい作品群は、 長部日出雄によって“松竹ヌーヴェルヴァーグ”と名付けられた。日活でも、トリュフォーに絶賛されたという『狂った果実』の中平康や蔵原惟繕といった新人に加え、鈴木清順もその動きに呼応した。一方、東宝では、石原慎太郎の監督デビュー作『若い獣』への反対運動をきっかけに、恩地日出夫、岡本喜八、須川栄三ら新人監督がデビューし、この動きは“東宝ヌーヴェルヴァーグ”とも言われる。本特集では松竹ヌーヴェルヴァーグのメンバーの作品を中心に、スタジオの新たな波を代表する作品、さらに羽仁進や勅使河原宏らの独立系作品を取り上げる。

※第二週のスケジュール(2/9~2/14)が変更になりました。当サイト掲載のスケジュールは最新です。
お客様にはご迷惑をおかけしてしまい申し訳ございません。
どうかご了承の上ご来館いただきますよう宜しくお願い申し上げます。

  • 上映予定作品一覧(全22本)

若い獣
われらの時代
彼女だけが知っている
死者との結婚
悪人志願
すべてが狂ってる
明日はいっぱいの果実
武士道無残
若い狼
非情の男
不良少年
三味線とオートバイ
狼の王子
非行少女
自動車泥棒
他人の顔
ゴメスの名はゴメス・流砂
無理心中 日本の夏
荒野のダッチワイフ
紅の流れ星
愛奴
狂熱の果て(併映『罠』+『炎1960~1970』)
  • 『若い獣(35mm)』

  • 若い獣(35mm) 上映スケジュール
  • 公開:1958年
    監督:石原慎太郎
    出演:久保明、団令子、河津清三郎、新珠三千代、佐原健二、東野英治郎、東郷晴子、瀬良明、田島義文、佐藤允、白石奈緒美、夏木陽介
    かつて東宝社員だった石原慎太郎の初監督作で、原作・脚本・特別出演もしている。ボクシングを通じて青春の夢と挫折を描いた佳作で出演陣も豪華。当時、多くの助監督を差し置いて素人を監督にするのかという抗議活動が起こった問題作。
    ©東宝

  • 『われらの時代(35mm)』

  • われらの時代(35mm) 上映スケジュール
  • 公開:1959年
    監督:蔵原惟繕
    出演:長門裕之、吉行和子、渡辺美佐子、小高雄二、金子信雄、梅野泰靖
    60年安保を目前にして緊張が高まる政治の時代。屈折した青春を送る若者達を、シャープなモノクロ映像、スリリングなジャズ、スピード感のある展開で描く。大江健三郎の原作にあった“天皇暗殺”の件は、日活社長の猛反対により設定変更となった。
    ©日活

  • 『彼女だけが知っている(35mm)』

  • 彼女だけが知っている(35mm) 上映スケジュール
  • 公開:1960年
    監督:高橋治
    出演:小山明子、渡辺文雄、笠智衆、水戸光子
    連続強姦事件の毒牙にかかった娘は…。ヒロインの苦悩と葛藤に事件の行方を絡めて描いたサスペンス。松竹ヌーヴェルヴァーグの牽引者の一人である高橋治監督のデビュー作で、中村八大によるMJQスタイルの音楽、傾いた構図、影を強調した画面構成など斬新な手法が冴える。
    ©1960松竹株式会社

  • 『死者との結婚(35mm)』

  • 死者との結婚(35mm) 上映スケジュール
  • 公開:1960年
    監督:高橋治
    出演:小山明子、渡辺文雄、瞳麗子、東山千恵子、高野真二
    高橋治がウィリアム・アイリッシュを映画化。ファーストシーンのカッコよさ、船の沈没シーンの迫力、スピーディな展開と前田憲男の音楽のなど、洗練された手法が素晴らしいサスペンスの傑作。脚本に田村孟が参加している。
    ©1960松竹株式会社

  • 『悪人志願(35mm)』

  • 悪人志願(35mm) 上映スケジュール
  • 公開:1960年
    監督:田村孟
    出演:炎加世子、津川雅彦、渡辺文雄、月丘昌美、千之赫子、三島雅夫
    真夏の太陽がギラつく鉱山の飯場を舞台に、心中未遂の女とヤクザが繰り広げる青春残酷物語。『太陽の墓場』『乾いた湖』に続きヌーヴェルヴァーグのミューズ炎加世子がヒロインを演じた。田村孟唯一の監督作で、当時の田村や大島らの松竹での違和感を反映したかのような一本。
    ©1960松竹株式会社

  • 『すべてが狂ってる(35mm)』

  • すべてが狂ってる(35mm) 上映スケジュール
  • 公開:1960年
    監督:鈴木清順
    出演:川地民夫、禰津良子、奈良岡朋子、芦田伸介、中川姿子、伊藤孝雄、吉永小百合、初井言栄、穂積隆信、宮城千賀子
    愛人になった母親を許せないジロウを中心に、不良少年少女たちの無軌道な青春を描く。自暴自棄になり破滅へと突っ走るマザコン男・ジロウを演じる川地民夫ははまり役。自在に動き回るカメラやスピーディな展開、前衛ジャズなど、斬新な演出が冴える清順版『勝手にしやがれ』。
    ©日活

  • 『明日はいっぱいの果実(35mm)』

  • 明日はいっぱいの果実(35mm) 上映スケジュール
  • 公開:1960年
    監督:斎藤正夫
    出演:鰐淵晴子、姫ゆり子、杉浦直樹、山下洵一郎、小坂一也、大泉滉、左卜全、伊藤雄之助、三上真一郎
    家出して東京にやってきた少女の冒険譚。大人と子供の間の微妙な年ごろの美少女を鰐淵晴子が演じる、知る人ぞ知るナンセンス風刺カルト作。不発弾を拾い、子豚を抱き、穴に落ち、車をスクラップにし、札束を握って大都会を駆け抜ける鰐淵晴子!
    ©1960松竹株式会社

  • 『武士道無残(35mm)』

  • 武士道無残(35mm) 上映スケジュール
  • 公開:1960年
    監督:森川英太朗
    出演:森美樹、高千穂ひづる、山下洵一郎、渡辺文雄、桜むつ子、倉田爽平、永田光男、雲井三郎、片岡市女蔵、尾上菊太郎
    松竹の時代劇ヌーヴェルヴァーグ第一弾で、新人の森川英太朗が監督に抜擢された。殉死するよう強いられた若者と、その兄夫婦が武士道に翻弄される様を描いた不条理劇で、冷徹な官僚をやらせたら天下一品の渡辺文雄の家老も最高。
    ©1960松竹株式会社

  • 『若い狼(35mm)』

  • 若い狼(35mm) 上映スケジュール
  • 公開:1961年
    監督:恩地日出夫
    出演:夏木陽介、星由里子、西村晃、田中邦衛、菅井きん、鈴木和夫、飯田紀美夫、中丸忠雄、小栗一也、一の宮あつ子、織田政雄、佐田豊、中村美代子、小林政忠、三田照子、松村達雄
    田舎から東京に出てきた男女の転落を、隠し撮りを含む全編ロケ撮影で描いた恩地日出夫デビュー作。技巧的な台詞回し、モダンジャズなどヌーヴェルヴァーグの影響が色濃い一作で、星由里子が初めてのキス・シーンで涙を流したことでも有名。
    ©東宝

  • 『非情の男(35mm)』

  • 非情の男(35mm) 上映スケジュール
  • 公開:1961年
    監督:高橋治
    出演:三上真一郎、瞳麗子、芳村真理、久我美子、渡辺文雄、織田政雄、城所英夫、三井弘次、左卜全、小沢栄太郎
    右翼団体から勧誘されたことをきっかけに、元歴史教師を顧問にして青年結社を始めたチンピラの五郎は、安保デモや平和大行進に殴り込もうとするが…。金がすべてとうそぶく男を描いた高橋治監督作品。久我美子、渡辺文雄、小沢栄太郎と共演者が豪華!
    ©1961松竹株式会社

  • 『不良少年(デジタル)』

  • 不良少年(デジタル) 上映スケジュール
  • 公開:1961年
    監督:羽仁進
    出演:山田幸男、吉武広和、山崎耕一郎、黒川靖男、伊藤正幸、瀬川克弘、佐藤章、中野一夫
    実際の不良少年たちを起用して、彼らの街や少年院での姿を描いた羽仁進監督劇映画第1作。ドキュメンタリーの手法を用いた実験的試みは多くの映画人に衝撃を与え、一躍、日本のヌーヴェルヴァーグの旗手として注目を浴びた。
    資料提供:岩波映像株式会社 記録映画保存センター

  • 『三味線とオートバイ(35mm)』

  • 三味線とオートバイ(35mm) 上映スケジュール
  • 公開:1961年
    監督:篠田正浩
    出演:桑野みゆき、川津祐介、月丘夢路、森雅之、菅原文太、瞳麗子、富永ユキ、柴田葉子
    小唄の師匠の母と現代娘の世代間相克をテーマにした一作で、真鍋博の楽しいタイトルデザインや桑野みゆきの野心的な演技が光る。川口松太郎原作の大船調ホームドラマという枠組みの中で新しい作品を作ろうとしていた篠田正浩の過渡期的作品。
    ©1961松竹株式会社

  • 『狼の王子(35mm)』

  • 狼の王子(35mm) 上映スケジュール
  • 公開:1963年
    監督:舛田利雄
    出演:高橋英樹、川地民夫、浅丘ルリ子、鈴木瑞穂、河上信夫、木浦佑三、杉江弘、福田トヨ、安川実、チコ・ローランド、渚幸子、弘松三郎、石山健二郎、垂水悟郎、高品格、内藤武敏、田中明夫、藤竜也、加藤嘉
    終戦直後の北九州でヤクザに拾われた浮浪児のは…。変わってしまった日本への違和感をニュース映像を交えてスタイリッシュに表現、男が最期に狼に戻っていく展開が心に響く。脚本に田村孟と森川英太郎が参加した、高橋英樹&舛田利雄の最高傑作の一本。
    ©日活

  • 『非行少女(35mm)』

  • 非行少女(35mm) 上映スケジュール
  • 公開:1963年
    監督:浦山桐郎
    出演:浜田光夫、和泉雅子、小池朝雄、香月美奈子、小沢昭一、小夜福子、杉山俊夫、小林トシ子、北林谷栄、浜村純
    不幸の連鎖の中で非行少女のレッテルを貼られた少女の心情を、丁寧な演出と緻密な映像で描いた傑作。浦山桐郎監督のしごき演出に耐え切れず、「ウラ公を殺して、自分も死ぬ」とまで思いつめた和泉雅子が一世一代の名演技をみせる。
    ©日活

  • 『自動車泥棒(35mm)』

  • 自動車泥棒(35mm) 上映スケジュール
  • 公開:1964年
    監督:和田嘉訓
    出演:安岡力也、デビィ・シェス(真理アンヌ)、寺田農、フランツ・フリーデル、上岡肇(ケン・サンダース)、勝見守利、関本太郎
    混血児の“酋長”は、盗んだ部品で作った自動車で仲間と孤児院を出たものの…。ラストでカラーが使われたり、度々ダンスシーンが挿入されるなど、斬新な手法が光る和田監督のデビュー作。若者の疎外感をあぶりだした異色の青春映画。
    ©東宝

  • 『他人の顔(35mm)』

  • 他人の顔(35mm) 上映スケジュール
  • 公開:1966年
    監督:勅使河原宏
    出演:仲代達矢、入江美樹、平幹二朗、岸田今日子、岡田英次、京マチ子
    映画、華道、書道、陶芸、舞台、オペラ等で活躍した勅使河原宏がアイデンティティの崩壊というテーマに挑む。影響を受けたというゴダール的カメラワークで安部公房の世界を描いた傑作で、無機質で不気味な異世界感が素晴らしい。手術室のデザインは磯崎新によるもの。
    ©一般財団法人草月会

  • 『ゴメスの名はゴメス・流砂(デジタル)』

  • ゴメスの名はゴメス・流砂(デジタル) 上映スケジュール
  • 公開:1967年
    監督:高橋治
    出演:仲代達矢、栗原小巻、芥川比呂志、岸田今日子、平幹二朗、中谷一郎、永田靖、橋本功
    石油会社の技師・坂本は、姿を消した友人の行方を追ううち殺人事件に遭遇。殺された男は「ゴメスの名は…」という言葉を残した。全5話のドラマを再編集した映画版。ドラマは当初、岡本喜八がベトナムで撮影予定だったが国際情勢により中止、舞台を香港に移して高橋治が完成させた。
    ©日本映画放送

  • 『無理心中 日本の夏(35mm)』

  • 無理心中 日本の夏(35mm) 上映スケジュール
  • 公開:1967年
    監督:大島渚
    出演:桜井啓子、佐藤慶、殿山泰司、溝口舜亮、戸浦六宏、田村正和、小松方正、観世栄夫、福田善之、芦田鉄雄、小沢文也
    自殺志願の男とネジ子が武器弾薬を運び込む男たちを目撃し…。新宿のフーテン族だった桜井啓子が演じるネジ子の性衝動と、高校生銃マニア(田村正和)の殺人衝動、男(佐藤慶)の自殺衝動が呼応しあう不条理劇。松竹ヌーヴェルヴァーグの旗手・大島の作品の中でも最も過激な一作。
    ©1967松竹株式会社

  • 『荒野のダッチワイフ(35mm)』

  • 荒野のダッチワイフ(35mm) 上映スケジュール
  • 公開:1967年
    監督:大和屋竺
    出演:港雄一、山本昌平、渡みき、辰巳典子、渚マリ、津崎公平、麿赤児、大久保鷹、山谷初男、沢田実
    殺し屋ショウは女の救出に成功するが、帰ってみると依頼者の姿はなく…。現実と幻想が錯綜するリンチの元祖ともいうべき一作。カッコいいオープニング、詩的なセリフ、山下洋輔の鮮烈な音楽…、すべてがスタイリッシュ! 大和屋がピンク映画という土俵で生み出した傑作。
    ©国映

  • 『紅の流れ星(35mm)』

  • 紅の流れ星(35mm) 上映スケジュール
  • 公開:1967年
    監督:舛田利雄
    出演:渡哲也、浅丘ルリ子、杉良太郎、松尾嘉代、奥村チヨ、藤竜也、谷村昌彦、深江章喜、富永美沙子、宍戸錠
    『望郷』を翻案した『赤い波止場』をさらにリメイクした作品。渡哲也が、飄々として饒舌で女たらしで憎めない『勝手にしやがれ』のベルモンドを模した演技を披露。神戸の街並み、カット割り、音楽とダンス! 敵の殺し屋役の宍戸錠も清順ばりにカッコイイ。
    ©日活

  • 『愛奴(35mm)』

  • 愛奴(35mm) 上映スケジュール
  • 公開:1969年
    監督:羽仁進
    出演:末松百合、河原崎健三、額村喜美子、田沼瑠美子、増田貴光、植草甚一
    墓地で出会った円城寺夫人に誘われるまま古い洋館を訪れた秀生は、召使少女・愛奴によって極限の快楽を味わう。羽仁進の作品群の中で最もカルトな一作であり、愛と官能、夢と現実が交錯する問題作。
    ©1969松竹株式会社

  • 『狂熱の果て(併映『罠』+『炎1960~1970』)(35mm)』

  • 狂熱の果て(併映『罠』+『炎1960~1970』)(35mm) 上映スケジュール
  • 公開:1961年
    監督:山際永三
    出演:星輝美、松原録郎、松浦浪路、藤木孝、奈良あけみ、柏木優子、鳴門洋二、沢村みつ子、利根はる恵、中岡慎太郎、大谷くにお
    金持ちの大学生たちが、ドライブ中に老婆を轢き殺してしまい…。安保闘争が終わった空虚な時代の無軌道な若者たちを描いた、和製ヌーヴェルヴァーグの中でも最も閉塞感と狂気に満ちた作品。六本木族だった秋本まさみが原作を書き出演している。別荘でのダラけたダンスと“アウシュビッツごっこ”が不気味。『罠』1967年/10分/監督・脚本:山際永三/デジタル 粕三平・村木良彦・田原総一朗と山際が4人で制作したオムニバス作品『罠』のなかの一編。チェコからの女子留学生を主演にして各々が自由に創作、それを順不同でつないで上映するという実験的な試みが評価され、草月実験映画奨励賞を受賞した。『炎1960~1970』1968年/12分/監督:山際永三/デジタル 1960年安保闘争の最中樺美智子が死亡した所謂6.15事件の記念集会に呼応して制作された自主映画。写真のコラージュを用い、政治の季節のリアルが映し出されている。
    協力:国立映画アーカイブ

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