近日上映予定
ジョージ・キューカーとハリウッド女性映画の時代
2016/06/18 ~ 2016/07/08
ジョージ・キューカー George Cukor [1899年~1983年]
ニューヨーク生まれ。高校卒業後はブロードウェイで舞台監督として活躍。1929年にパラマウントに招かれ、その後プロデューサーのセルズニックと共にRKO、MGMへ移籍した。
『ロミオとジュリエット』『椿姫』などの古典、出演者は全員女性という『女たち』、傑作ラブコメ『フィラデルフィア物語』、サスペンス『ガス燈』などを次々発表。女優の魅力を最大限に引き出す名人として名を馳せ、女性映画ならキューカーと言われるように。自身がゲイだったキューカーは、誰よりも女性心理を理解する監督であったかもしれない。
監督としての息は長く、51年間に67本の作品を送り出した。1960年以降も『恋をしましょう』、『マイ・フェア・レディ』が大ヒット、82歳で撮った『ベストフレンズ』の瑞々しさが話題を集めた。与えられた脚本でヒット作を撮り上げる職人監督だったが、そのスタイルは端正かつ優雅、まさしくハリウッドの教科書というべきものばかり。演技指導の名手でもあり、出演者をオスカー候補にすること数知れず。自身は数回のノミネートの後、ついに『マイ・フェア・レディ』で監督賞に輝いた。
キャサリン・ヘップバーン、グレタ・ガルボ、ジョーン・クロフォード、イングリッド・バーグマン、ジュディ・ガーランド、エヴァ・ガードナー、ソフィア・ローレン、マリリン・モンロー、オードリー・ヘプバーン、ジャクリーン・ビセット…。キューカーの作品の中で女優達は永遠に輝き続ける。
ハリウッド女性映画
1940 年前後のハリウッドで、これまでなかったような女性視点からの作品群が現れた。恋愛、結婚、自立などの女性的テーマを持つこれらの作品におけるヒロインたちは、それまでのステレオタイプを脱した等身大の女性像として共感を呼び、その懸命に生きる姿は人々に感動を与えた。
今回の特集では、女性映画の典型的作品と言われる『黒蘭の女』のウィリアム・ワイラー、マンキウィッツ、オフュルスなど、キューカーと並ぶ女性映画の名匠の作品に加え、フィルム・ノワールやメロドラマの傑作も上映。ハリウッド女性映画の粋をご堪能ください。
上映予定作品一覧(全18本)
『男装』
『女たち』
『フィラデルフィア物語』
『奥様は顔が二つ』
『ガス燈』
『アダム氏とマダム』
『沙漠の花園』
『黒蘭の女』
『女性No.1』
『ギルダ』
『忘れじの面影』
『女相続人』
『三人の妻への手紙』
『イヴの総て』
『旅愁』
『欲望という名の電車』
『終着駅』
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『君とひととき One Hour With You(デジタル)』
- 上映スケジュール
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公開:1932年
監督:エルンスト・ルビッチ/監督補佐:ジョージ・キューカー
出演:ジャネット・マクドナルド、モーリス・シュヴァリエ、ジュヌヴィエーヴ・トービン、ローランド・ヤング
ルビッチのサイレント期の傑作『結婚哲学』をリメイクしたロマコメ・ミュージカル。ジョージ・キューカーが監督として撮り始めたものの、ラッシュを観て気に入らなかったルビッチが途中から現場を仕切り完成させた。キューカーの名前は補佐としてクレジットされている。
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『男装 Sylvia Scarlett(デジタル)』
- 上映スケジュール
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公開:1935年
監督:ジョージ・キューカー
出演:キャサリン・ヘップバーン、エドモンド・グウェン、ケーリー・グラント、ブライアン・エイハーン、ナタリー・ペイリー、デニー・ムーア、レノックス・ポール
破産した父と共に男装して国外へ夜逃げした娘とイカサマ師が繰り広げる、歌あり恋ありのドタバタ・コメディ。余りの評判の悪さにヘップバーンとキューカーがノーギャラを申し出たというが、ヘップバーンの男装のキュートさと軽妙洒脱な演出で、今やカルト的人気!
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『女たち The Women(HDデジタル)』
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公開:1939年
監督:ジョージ・キューカー
出演:ノーマ・シアラー、ジョーン・クロフォード、ロザリンド・ラッセル、ジョーン・フォンティーン、ポーレット・ゴダード、メアリー・ボランド、マージョリー・メイン、ヴァージニア・ウィードラー、ルース・ハッセイ
高級エステサロンのネイリストが流した噂がもとで巻き起こるドタバタを描く大傑作コメディ。出演者から出演犬(?)まで女性のみ、劇中フィルムにすら男性が出てこないことで有名。キラ星のようなスター女優たちが、嫉妬とゴシップで溢れる社交界の女たちを生き生きと演じる。
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『フィラデルフィア物語 The Philadelphia Story(デジタル)』
- 上映スケジュール
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公開:1940年
監督:ジョージ・キューカー
出演:ケーリー・グラント、キャサリン・ヘップバーン、ジェームズ・スチュワート、ルース・ハッシー、ジョン・ハワード、ローランド・ヤング、メアリー・ナッシュ、ヴァージニア・ワイドラー、ヘンリー・ダニエル、ライオネル・ペープ、レックス・エヴァンス
元妻のトレイシーに未練があるデクスターは、彼女の再婚を阻止せんとスキャンダル雑誌の記者を結婚前夜パーティーに送り込み…。キャサリン・ヘップバーン、ケーリー・グラント、ジェームズ・スチュアートの豪華な三角関係の結末は!? ジェームズ・スチュワートがアカデミー主演男優賞を受賞したロマンチック・コメディの傑作。
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『奥様は顔が二つ Two-Faced Woman(デジタル)』
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公開:1941年
監督:ジョージ・キューカー
出演:グレタ・ガルボ、メルヴィン・ダグラス、コンスタンス・ベネット、ローランド・ヤング、ロバート・スターリング、ルース・ゴードン、フランセス・カーソン、グロリア・デ・ヘイヴン
スキーのインストラクター・カリンは、昔の恋人に移った夫の心を取り戻そうと、双子の妹になりすますが…。グレタ・ガルボが『ニノチカ』のメルヴィン・ダグラスと再びコンビを組んだコメディ作品。素晴らしいスキーシーンなどキューカーの手腕が冴える場面はあれど、当時の評価は散々なもの。ショックを受けたガルボは本作を「我が墓標」と呼び、芸能界を引退してしまう。
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『ガス燈 Gaslight(デジタル)』
- 上映スケジュール
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公開:1944年
監督:ジョージ・キューカー
出演:シャルル・ボワイエ、イングリッド・バーグマン、ジョセフ・コットン、メイ・ウィッティ、アンジェラ・ランズベリー、テリー・ムーア
殺された叔母の遺産を相続したポーラ。留学先で出会ったグレゴリーと結婚し帰国するが…。ガス燈の灯るロンドンを舞台にしたサイコ・サスペンスの名作。精神的に追い詰められ混乱していく可憐な新妻を演じたイングリッド・バーグマンは、迫真の演技でアカデミー主演女優賞を受賞した。
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『アダム氏とマダム Adam’s Rib(デジタル)』
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公開:1949年
監督:ジョージ・キューカー
出演:スペンサー・トレイシー、キャサリン・ヘップバーン、ジーン・ヘイゲン、ジュディ・ホリデイ、デヴィッド・ウェイン、トム・イーウェル
夫の浮気現場で妻が起こした発砲事件を担当することになった検事のアダム。ところが、アダムの妻・アマンダが、妻側の弁護士を買ってでて…。長年恋人関係にあったキャサリン・ヘップバーンとスペンサー・トレイシーが夫婦役を演じた傑作コメディ。知的でウィットに富んだ会話と二人の名優の息のあった演技に酔いしれる一本。
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『沙漠の花園 The Garden of Allah(デジタル)』
- 上映スケジュール
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公開:1936年
監督:リチャード・ボレスラウスキー
出演:マレーネ・ディートリッヒ、シャルル・ボワイエ、C・オーブリー・スミス、ベイジル・ラスボーン、ティリー・ロッシュ、ジョセフ・シルドクラウト、ジョン・キャラダイン、アラン・マーシャル、ヘンリー・ブランドン
父の死後、新たな人生を求めてアルジェリアの砂漠に向かったドミニは、トラピスト修道院から逃げ出した一人の僧と出会う。二人の仲は急速に深まっていくが…。テクニカラーで映し出されるディートリッヒの神々しいまでの美しさに目を見張る、愛と信仰をめぐるドラマ。
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『黒蘭の女 Jezebel(デジタル)』
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公開:1938年
監督:ウィリアム・ワイラー
出演:ベティ・デイヴィス、ヘンリー・フォンダ、ジョージ・ブレント、ドナルド・クリスプ、フェイ・ベインター
南北戦争前夜のニューオリンズ。名家の令嬢のジュリーは、自らの意固地さから愛する婚約者を失い…。気位の高さゆえに自分も周囲の者も傷つけていくジュリーをベティ・デイヴィスが熱演。モノクロ版『風と共に去りぬ』と呼ばれ、アカデミー主演女優賞と助演女優賞をダブル受賞した。
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『女性No.1 Woman of the Year(デジタル)』
- 上映スケジュール
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公開:1942年
監督:ジョージ・スティーヴンス
出演:スペンサー・トレイシー、キャサリン・ヘップバーン、フェイ・ベインター、レジナルド・オーウェン、マイナー・ワトソン、ウィリアム・ベンディックス、ロスコー・カーンス
一目惚れで結婚したスポーツ記者の夫と政治記者の妻。しかし、妻は仕事一筋で家庭を顧みず、さらに勝手に難民の少年を養子にしたことから…。スペンサー・トレイシーとキャサリン・ヘプバーン初の共演作であり、その後二人は長年のパートナーとなった。ハリウッドを代表する名役者同士の丁々発止のやり取りをお楽しみあれ!
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『ギルダ Gilda(デジタル)』
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公開:1946年
監督:チャールズ・ヴィダー
出演:リタ・ヘイワース、グレン・フォード、ジョージ・マクレディ、ジョセフ・カレイア、ジョー・ソーヤー、ルース・ローマン
第二次大戦下の南米を舞台に、男女の愛憎劇に国際的陰謀を絡めて描いた暗黒街もの。黒の長手袋を脱ぎながら『Put the Blame on Mame』を歌う余りにも有名なシーンが、リタ・ヘイワースのセックス・シンボルとしてのイメージを確固たるものにした。ルドルフ・マテによる光と影の映像も素晴らしい伝説のフィルム・ノワール。
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『忘れじの面影 Letter from an Unknown Woman(HDデジタル)』
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公開:1948年
監督:マックス・オフュルス
出演:ジョーン・フォンテーン、ルイ・ジュールダン、マディ・クリスチャンス、マルセル・ジュルネ、アート・スミス
19世紀末ウィーン。かつて天才ピアニストと呼ばれながら今は零落したステファンの元に、見知らぬ女性からの手紙が届き…。初恋の男を生涯思い続ける女性のひたむきな想いを描いたビターなメロドラマ。マックス・オフュルスによる巧みな語り口と流麗なカメラ、そして薄幸の美女を演じるジョーン・フォンテーンが忘れ難い。
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『女相続人 The Heiress(デジタル)』
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公開:1949年
監督:ウィリアム・ワイラー
出演:オリヴィア・デ・ハヴィランド、モンゴメリー・クリフト、ラルフ・リチャードソン、モナ・フリーマン、ミリアム・ホプキンス
資産家の父親から見下されるオールドミスのキャサリンが初めて恋に落ちるが…。前半の内向的な娘から一転、男を憎み軽蔑する氷の女に変貌するキャサリンを、オリヴィア・デ・ハヴィランドが魂の名演。人間の暗黒面を描くウィリアム・ワイラーのドロドロ作品群の中でも抜きんでた恐ろしさ! 主演女優賞をはじめアカデミー4部門受賞。
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『三人の妻への手紙 A Letter to Three Wives(デジタル)』
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公開:1949年
監督:ジョセフ・L・マンキウィッツ
出演:ジーン・クレイン、リンダ・ダーネル、アン・サザーン、カーク・ダグラス、ポール・ダグラス、ジェフリー・リン、セルマ・リッター
三人の仲良し人妻宛に、「あなた達の夫の一人と駆け落ちする」という手紙が町一番の美女・アディから届く。それぞれ思い当たることのある妻たちは…。ナレーションだけで姿を現さないアディを狂言回しに、三人の妻に夫婦生活を回想させるという脚本は洗練の極み。マンキウィッツにアカデミー賞監督賞をもたらした傑作!
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『イヴの総て All about Eve(デジタル)』
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公開:1950年
監督:ジョセフ・L・マンキウィッツ
出演:ベティ・デイヴィス、アン・バクスター、ジョージ・サンダース、ゲイリー・メリル、マリリン・モンロー、ヒュー・マーロウ、グレゴリー・ラトフ、ランディ・スチュアート、セレステ・ホルム、セルマ・リッター、バーバラ・ベイツ、クレイグ・ヒル
田舎から出てきてマーゴの付き人になったイヴが、スター女優へとのし上がっていく姿を通して、したたかな女の総てを描ききった傑作。踏み台にされる大女優・マーゴ役のベティ・デイヴィスはさすがの貫禄。アカデミー賞6部門、カンヌ2部門を受賞した。
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『旅愁 September Affair(16mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1950年
監督:ウィリアム・ディターレ
出演:ジョセフ・コットン、ジョーン・フォンテーン、ジェシカ・タンディ、フランソワーズ・ロゼー、ロバート・アーサー、ジミー・ライドン
ローマからフランスへ向かう機内で出逢った、妻子ある建築技師・デヴィッドとピアニストのマニナ。修理のため立ち寄ったナポリで観光するうち、飛行機に乗り遅れた二人は…。ロマンチックなイタリアの風景と“セプテンバー・ソング”の美しいメロディが全編を彩る。
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『欲望という名の電車 A Streetcar Named Desire(16mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1951年
監督:エリア・カザン
出演:ヴィヴィアン・リー、マーロン・ブランド、キム・ハンター、カール・マルデン、ルディ・ボンド、ニック・デニス、ペグ・ヒリアス、ライト・キング、リチャード・ガリック
ニューオリンズのうらぶれた下町。Desire(欲望通り行き)と表示された路面電車から、孤独な未亡人ブランチ・デュボワが降り立った。荒んだ過去を持つブランチ役のヴィヴィアン・リーは、渾身の演技でアカデミー賞主演女優賞を受賞。他にも助演女優賞、助演男優賞など数多くの賞をもたらした。
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『終着駅 Terminal Station(デジタル)』
- 上映スケジュール
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公開:1953年
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
出演:ジェニファー・ジョーンズ、モンゴメリー・クリフト、リチャード・ベイマー、ジーノ・チェルヴィ
米国人の若妻・メアリーは、ローマ旅行中に出会った青年・ジョヴァンニと恋に落ち…。テルミニ駅での切ない別れと、駅を行き交う人々の描写が交錯する濃密なメロドラマ。プロデューサーのセルズニックが『逢びき』に対抗しようと、デ・シーカを招いて作りあげた恋愛映画の名作。
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