近日上映予定
Film Gris 赤狩り時代のフィルム・ノワール
2023/12/23 ~ 2024/01/26
Film gris(フィルム・グリ)
85年に実験映画監督トム・アンダーセン(Thom Andersen)が提唱した定義。1947~1951年に撮られた、アメリカ社会に対する左翼的な批判を特徴とするフィルム・ノワールの分派。冷戦や赤狩りを背景に、資本主義や反共産主義の問題を示し、個人よりも社会的問題に焦点を当てた作品が作られた。
挙げられている監督
エイブラハム・ポロンスキー、ジョセフ・ロージー、ジョン・ベリー、ロバート・ロッセン、ニコラス・レイ、サイ・エンドフィールド、ジョン・ヒューストン、ジュールス・ダッシン 他
本特集ではハリウッド・テンと呼ばれた10人の功績と裁判を描いたショート・ドキュメンタリー『ハリウッド・テン』を上映し、メンバーであったエドワード・ドミトリクとダルトン・トランボ、アルヴァ・ベッシ―の作品も取り上げる。
※全作品デジタル上映
上映予定作品一覧(全32本)
『十字砲火』
『真昼の暴動』
『ボディ・アンド・ソウル』
『深夜の歌声』
『野望の果て』
『キーラーゴ』
『裸の町』
『悪の力』
『夜の人々』
『緑色の髪の少年』
『深夜復讐便』
『ストレンジャーズ6』
『テンション』
『オール・ザ・キングスメン』
『暗黒への転落』
『街の野獣』
『破局』
『群狼の街』
『流砂』
『恐喝の報酬 』
『アンダーワールド・ストーリー』
『暴力の街』
『拳銃魔』
『地獄の英雄』
『不審者』
『その男を逃すな』
『M』
『ラケット』
『拳銃を売る男』
『大いなる夜』
『ハリウッド・テン』
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『呪いの血 The Strange Love of Martha Ivers(115分)』
- 上映スケジュール
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公開:1946年
監督:ルイス・マイルストン
出演:バーバラ・スタンウィック、カーク・ダグラス、リザベス・スコット、ヴァン・ヘフリン、ジュディス・アンダーソン、ダリル・ヒックマン
叔母を誤って殺してしまったマーサと彼女をかばったウォルター。十数年後、結婚した二人の元をある男が訪ねてきて…。名匠マイルストンによるサスペンス。堂々たる悪女振りのスタンウィック、これがデビュー作であるカーク・ダグラスの演技が冴える。過去に追われる男女を描いたノワール・メロドラマ。
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『十字砲火 Crossfire(86分)』
- 上映スケジュール
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公開:1947年
監督:エドワード・ドミトリク
出演:ロバート・ヤング、ロバート・ミッチャム、ロバート・ライアン、グロリア・グラハム、ポール・ケリー、サム・レヴィーン、マリオ・ドワイアー、ジャクリーン・ホワイト
大戦後の混乱期に起こった殺人事件を通して、アメリカに根強く残るユダヤ人差別を暴くフィルム・ノワール。スタイリッシュなショットや光と影の映像、ハードボイルドな台詞が冴える傑作だが、憎悪の連鎖を激烈に描いたため公開から3ヶ月で上映禁止になり、監督と脚本家も赤狩りの対象になった。
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『真昼の暴動 Brute Force(98分)』
- 上映スケジュール
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公開:1947年
監督:ジュールス・ダッシン
出演:バート・ランカスター、ヒューム・クローニン、チャールズ・ビックフォード、イヴォンヌ・デ・カーロ、アン・ブライス、エラ・レインズ、ハワード・ダフ、ジェフ・コーリイ
ジュールス・ダッシンによる刑務所集団脱走映画。囚人リーダーのバート・ランカスター、冷酷非道な看守長ヒューム・クローニンが凄まじい演技を見せる。『裸の町』と同じマーク・ヘリンジャー製作のセミ・ドキュメンタリー犯罪映画の一つで、クライマックスの囚人大集団のシーンは圧巻!
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『ボディ・アンド・ソウル Body and Soul(106分)』
- 上映スケジュール
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公開:1947年
監督:ロバート・ロッセン
出演:ジョン・ガーフィールド、リリー・パルマー、ヘイゼル・ブルックス、アン・リヴェール、ウィリアム・コンラッド、ロイド・ガフ、カナダ・リー、アート・スミス、ジェームズ・バーク、ヴァージニア・グレッグ
父の死で困窮しプロボクサーになったガーフィールドは快進撃を続け富と名声を得るが、欲望の落とし穴にはまり…。八百長試合直前にボクサーが過去を回想する。試合シーンのリアリティと緊張感が凄いロバート・ロッセンとポロンスキーによる異色ノワールにして、ボクシング映画の傑作。助監督にアルドリッチ。前チャンプだった黒人トレーナーの悲惨な末路が脳裏に焼きついて離れない。
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『深夜の歌声 Road House(96分)』
- 上映スケジュール
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公開:1948年
監督:ジーン・ネグレスコ
出演:アイダ・ルピノ、コーネル・ワイルド、セレステ・ホルム、リチャード・ウィドマーク、O・Z・ホワイトヘッド、ロバート・カーンズ
クラブ「ロードハウス」の経営者のウィドマークは新しい歌手のルピノに惚れる。だが彼女はウィドマークの片腕コーネル・ワイルドと愛し合うようになり…。イケてる富豪を演じるが、そこはウィドマーク。愛する女と親友に裏切られたと決めつけてワイルドを罠にはめ、しまいには狂気の笑いがさく裂!アイダ・ルピノのハスキーボイスな歌声も良い。
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『野望の果て Ruthless(105分)』
- 上映スケジュール
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公開:1948年
監督:エドガー・G・ウルマー
出演:ザカリー・スコット、ルイス・ヘイワード、ダイアナ・リン、シドニー・グリーンストリート、ルシル・ブレマー、マーサ・ヴィッカーズ、レイモンド・バー
次々と女性を乗り換えることで成り上がった億万長者ヴェンディグ。人を金儲けと出世の手段としか見ない無慈悲な男をザカリー・スコットが見事に演じる。フラッシュバックの多用や見事なモノクロ映像など、ウルマーによる『市民ケーン』ともいうべき人間ドラマ。脚本にハリウッド・テンのアルヴァ・ベッシ―がノンクレジットで参加している。
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『キーラーゴ Key Largo(100分)』
- 上映スケジュール
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公開:1948年
監督:ジョン・ヒューストン
出演:ハンフリー・ボガート、ローレン・バコール、クレア・トレヴァー、エドワード・G・ロビンソン、ライオネル・バリモア、モンテ・ブルー、トーマス・ゴメス、ハリー・ルイス、ジョン・ロドニー、マーク・ローレンス
フロリダ半島のキーラーゴのホテルを舞台に、復員将校と戦友の未亡人がギャング一味と対決する。ホテルという限定された空間で高まる緊張感、ボギー&バコールvs.エドワード・G・ロビンソンの駆け引きがスリリングな傑作ハードボイルド。
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『裸の町 The Naked City(96分)』
- 上映スケジュール
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公開:1948年
監督:ジュールス・ダッシン
出演:ドン・テイラー、ハワード・ダフ、バリー・フィッツジェラルド、ドロシー・ハート、テッド・デ・コルシア、ポール・フォード
全編ニューヨーク・ロケによるドキュメンタリー・タッチの犯罪捜査もの。隠しカメラによるゲリラ撮影によって一般人を巻き込んだ手法は斬新。華やかな見せかけの裏に潜む暗黒面を暴かれる“裸の町=ニューヨーク”こそがこの作品の主人公である。
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『悪の力 Force of Evil(79分)』
- 上映スケジュール
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公開:1948年
監督:エイブラハム・ポロンスキー
出演:ジョン・ガーフィールド、ビアトリス・ピアソン、トーマス・ゴメス、ロイ・ロバーツ、マリー・ウィンザー、ホーランド・チャンバーリン、ボー・ブリッジス
30年代のアメリカ。悪と金をめぐって貧民街育ちの弁護士が苦悩する。権力に抗えない人間の姿を描いた救いのないフィルム・ノワールで、左派傾向の強い作品。キャリアの絶頂にいたガーフィールドは赤狩りで業界追放され、ポロンスキーもまたリストにあげられた。スコセッシが最も影響を受けたギャング映画として挙げた1本。
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『夜の人々 They Live by Night(96分)』
- 上映スケジュール
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公開:1948年
監督:ニコラス・レイ
出演:ファーリー・グレンジャー、キャシー・オドネル、ハワード・ダ・シルヴァ、ジェイ・C・フリッペン、ウィル・ライト、イアン・ウルフ
犯罪仲間と世間の目に追いつめられた男女の逃避行を描いたニコラス・レイ初監督作品。モーテルに身を寄せ、夜中に簡易結婚式場で結ばれる。夜に生きることを宿命づけられた2人の愛と束の間の幸福を描いた切なくも初々しい青春犯罪映画。ゴダールが「精神においてA級」と評価したことでも知られる傑作。
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『緑色の髪の少年 The Boy with Green Hair(82分)』
- 上映スケジュール
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公開:1948年
監督:ジョセフ・ロージー
出演:ディーン・ストックウェル、ロバート・ライアン、パット・オブライエン、バーバラ・ヘイル、ドウェイン・ヒックマン、サミュエル・S・ハインズ
戦争で親を亡くした“刻印”として髪の毛が緑色になってしまった少年の寓話。悲惨さと歌唱シーンやファンタジー的要素がない交ぜになった、戦闘シーンが一切ない反戦映画で、1年前にトルーマンによって実行された水爆実験への異議申し立てでもある。
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『深夜復讐便 Thieves’ Highway(94分)』
- 上映スケジュール
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公開:1949年
監督:ジュールス・ダッシン
出演:リチャード・コンテ、ヴァレンティナ・コルテーゼ、リー・J・コッブ、バーバラ・ローレンス、ジャック・オーキー、ミラード・ミッチェル
父が青果業者に騙され両足と大金を失ったと知った息子(リチャード・コンテ)が自ら林檎を買いつけ市場に乗り込む復讐譚。間抜けなのに口だけは一丁前なコンテにイライラさせられた分、復讐シーンにはすっきり。運命の女性とのラストにもグッとくる。無惨に地面を転がっていく林檎、夜のトラック追跡場面など忘れられないショットに溢れた変化球ノワール。
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『ストレンジャーズ6 We Were Strangers(106分)』
- 上映スケジュール
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公開:1949年
監督:ジョン・ヒューストン
出演:ジェニファー・ジョーンズ、ジョン・ガーフィールド、ペドロ・アルメンダリス、ギルバート・ローランド、ラモン・ノヴァロ、ウォーリー・カッセル、デヴィッド・ボンド、ホセ・ペレス
1930年代の独裁政権下キューバ。キューバ生まれの米国人ガーフィールドをリーダーとする反体制組織が爆弾テロを仕掛ける。様々な出自のメンバー間に軋轢が生まれ精神を病む者も出るなか、秘密警察の目を逃れての穴掘り作業が緊張感を生み、救いのない展開に絶望感が募る。公開当時アメリカでも賛否両論で、日本でも未公開だった。
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『テンション Tension(92分)』
- 上映スケジュール
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公開:1949年
監督:ジョン・ベリー
出演:リチャード・ベースハート、オードリー・トッター、シド・チャリシー、バリー・サリヴァン、ロイド・ガフ、トム・ダンドレア、ウィリアム・コンラッド
警部補が輪ゴムを引っ張りながら「事件解決の決め手は緊張(テンション)」と語るシーンの後、“Tension”のタイトルがドーンと出るオープニングからカッコいい傑作ノワール。妻に執着するドラッグストア店長の夫が、別人になりすまして妻を奪った男を殺そうと企てる。徹底的に夫をバカにする悪妻を全力で演じるオードリー・トッターが素晴らしい!
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『オール・ザ・キングスメン All the King’s Men(110分)』
- 上映スケジュール
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公開:1949年
監督:ロバート・ロッセン
出演:ブロデリック・クロフォード、ジョン・アイアランド、ジョーン・ドルー、アン・シーモア、ジョン・デレク、マーセデス・マッケンブリッジ、シェパード・ストラドウィック
ウィリー・スタークという男の人生を新聞記者で参謀でもあったジャックの視点から描き、アカデミー三部門を制した名作。校舎建設不正を告発したウィリーは、実際に崩落事故が起こったことでヒーローになり、苦難の末に州知事に上り詰めるが…。社会革命を目指した男が権力の虜になり腐敗していく様をリアルに演じたブロデリック・クロフォードの名演を観よ。
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『暗黒への転落 Knock on Any Door(100分)』
- 上映スケジュール
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公開:1949年
監督:ニコラス・レイ
出演:ハンフリー・ボガート、ジョン・デレク、ジョージ・マクレディ、アレン・ロバーツ、スーザン・ペリー
警官殺害で逮捕されたスラム街出身の青年。彼を担当する弁護士の闘いを描く法廷劇。居場所がない孤独な人々を描いてきたニコラス・レイが、家庭を失い悪事に手を染めることになった青年を通して、環境が犯罪者を作るのかというテーマに挑んだ社会派映画。弁護士役をボギーが熱演。
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『街の野獣 Night and the City(97分)』
- 上映スケジュール
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公開:1950年
監督:ジュールス・ダッシン
出演:リチャード・ウィドマーク、グーギー・ウィザース、ジーン・ティアニー、ヒュー・マーロウ、ハーバート・ロム、マイク・マズルキ、デヴィッド・ヘミングス
いかさま客引きのチンピラがレスリング興行で一発当てようとするが…。ノワール的陰影とシャープなカメラ、夢見たレスリング興行が観客ゼロのガチ死闘になる展開が素晴らしい。口だけ野郎のウィドマークと貢ぐ女ティアニー、クラブ・オーナーの夫を嫌う妻、欧州から来たレスラー親子などキャラも魅力的。赤狩りでハリウッドを離れたジュールス・ダッシンがイギリスで撮った傑作。
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『破局 The Breaking Point(98分)』
- 上映スケジュール
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公開:1950年
監督:マイケル・カーティス
出演:ジョン・ガーフィールド、パトリシア・ニール、フィリス・サクスター、ワレス・フォード、シェリー・ジャクソン
弱いくせにプライドだけはある頑固なガーフィールドは、借金して買った船に釣り人を乗せているが生活は苦しい。そんなとき「ちょっとした“荷物”を運べば大金が得られる」という口車に乗り、坂道を転がるように悪の道に堕ちてしまう。彼に愛を捧げる妻、父を待つ黒人の少年のラストシーンが余りにも切ない人生転落物語。
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『群狼の街 Try and Get Me!(92分)』
- 上映スケジュール
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公開:1950年
監督:サイ・エンドフィールド
出演:フランク・ラヴジョイ、キャサリーン・ライアン、ロイド・ブリッジス、リチャード・カールソン、キャサリン・ロック、アデル・ジャーゲンス、アイリーン・ヴァーノン
失業して家庭は困窮、妻は次の子を妊娠。夫はしぶしぶ強盗犯の運転手になるが…。殺人に巻き込まれ神経をやられる男、犯罪を煽情的に伝える地方新聞記者と踊らされる大衆。モブシーンが圧巻で、救いのないラストも凄い。1933年に起きたリンチ事件の映画化で、フリッツ・ラング『激怒』も同事件をモデルにしている。「赤狩り」で国を追われたエンドフィールドだからこその一本。
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『流砂 Quicksand(80分)』
- 上映スケジュール
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公開:1950年
監督:アーヴィング・ピシェル
出演:ミッキー・ルーニー、ジーン・キャグニー、バーバラ・ベイツ、ピーター・ローレ、テイラー・ホームズ、アート・スミス、ウォリー・キャッセル、リチャード・レイン
一目惚れした女とのデート代20ドルを自動車整備工場のレジから“借りた”ミッキー・ルーニーだが…。出来心で借りた20ドルを返すため次々悪手を打ったあげく、袋小路に追い込まれていく“逆わらしべ長者”ルーニー。彼の幼く浅はかな雰囲気が役にぴったり。ノワールらしい陰影に富んだカメラも素晴らしい。
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『恐喝の報酬 Shakedown(81分)』
- 上映スケジュール
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公開:1950年
監督:ジョセフ・ペブニー
出演:ハワード・ダフ、ブライアン・ドンレヴィ、ペギー・ダウ ローレンス・ティアニー、ブルース・ベネット、アンヌ・ヴェルノン、ステイプルトン・ケント、ピーター・ヴァーゴ、チャールズ・シャーロック
倫理観の欠片もなく、金と出世のために人を利用するだけの写真家ハワード・ダフは、マフィアのボスに近づき、犯罪者とネタを売り買いするが…。出世街道まっしぐらのダフが、ボスの妻に惚れて泥沼にハマる。『ナイトクローラー』の先駆的作品とも言えるピカレスク。ボスの妻役はベッケルのミューズとなるアンヌ・ヴェルノン。
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『アンダーワールド・ストーリー The Underworld Story(91分)』
- 上映スケジュール
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公開:1950年
監督:サイ・エンドフィールド
出演:ダン・デュリエ、ハーバート・マーシャル、ゲイル・ストーム、ハワード・ダ・シルヴァ、マイケル・オシア、メアリー・アンダーソン、ガー・ムーア
すっぱ抜き記事が元で検事が殺され、警察・司法からも業界からも追放された新聞記者ダン・デュリエは、田舎新聞の株を買う資金をマフィアのボスにたかりに行くが…。小悪党でお馴染みデュリエが、柄にもなく罪を着せられた黒人メイドに肩入れし“良心的大メディア”に一発食らわせる!徹底したリアリズム描写で独自の地位を築いたサイ・エンドフィールドの傑作。
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『暴力の街 The Lawless(83分)』
- 上映スケジュール
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公開:1950年
監督:ジョセフ・ロージー
出演:マクドナルド・ケリー、ゲイル・ラッセル、ジョニー・サンズ、ラロ・リオス、リー・パトリック、ジョン・ホイト
ヒスパニックと白人の青年同士のちょっとしたイザコザをきっかけに、隠された嫌悪感が噴出し街を巻き込む暴動に発展。それを追う記者の奮闘を描く。熱にうなされるように暴徒化していく普通の人々のショットが素晴らしく、暴動への反撃の狼煙となる新聞が配られるまでの流れがサスペンスフルな人間ドラマ。
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『拳銃魔 Gun Crazy(87分)』
- 上映スケジュール
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公開:1950年
監督:ジョセフ・H・リュイス
出演:ジョン・ドール、ペギー・カミンズ、ベリー・クルーガー、モリス・カルノフスキー、アナベル・ショウ、ハリー・ルイス、ネドリック・ヤング、ラスティ・タンブリン
拳銃に魅せられた男女の宿命的な出会いから破滅までを異常な緊張感で描いたフィルムノワール屈指の傑作。銀行強盗の一部始終を捉えた伝説の長回しが素晴らしい。監督は同時録音、即興演出で名高いフィルムノワールの隠れた巨匠ジョセフ・H・リュイス。
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『地獄の英雄 Ace in the Hole(111分)』
- 上映スケジュール
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公開:1951年
監督:ビリー・ワイルダー
出演:カーク・ダグラス、リチャード・ベネディクト、ジャン・スターリング、ボブ・アーサー、ポーター・ホール
落ちぶれた元大手新聞記者が落盤事故を利用し返り咲こうとするが…。生き埋め現場を見ようと野次馬が押しかけ、屋台や遊園地までやってくる展開がシュール。命を特ダネと引きかえにする非情な男と大衆の愚かさを描き公開時は不入りだったが、近年再評価された50年代ワイルダーの代表作。
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『不審者 The Prowler(93分)』
- 上映スケジュール
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公開:1951年
監督:ジョセフ・ロージー
出演:イヴリン・キース、ヴァン・ヘフリン、ジョン・マクスウェル、キャサリン・ウォーレン、エマーソン・トリーシー、マッジ・ブレイク、ウィートン・チャンバース、ロバート・オステルロッホ、シェリー・ホール、ルイーズ・ロリマー
人妻による深夜の不審者通報から始まるジェットコースター・ノワール。人格破綻者の悪徳警官に運命を狂わされた人妻が辿りついた果ての光景に驚愕必死。ジョセフ・ロージー初期の傑作であり、“赤狩り”で映画界から干されたダルトン・トランボがノン・クレジットで脚本を担当している。
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『その男を逃すな He Ran All the Way(78分)』
- 上映スケジュール
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公開:1951年
監督:ジョン・ベリー
出演:ジョン・ガーフィールド、シェリー・ウィンタース、ウォーレス・フォード、セレナ・ロイル、グラディス・ジョージ、ノーマン・ロイド
小悪党が成り行きである一家を人質に立てこもるが…。赤狩りで映画界を干され39歳という若さで亡くなったジョン・ガーフィールドが、愛情を知らずに育った男の哀しみを演じきった遺作。同じく本作を最後に追放され渡仏したジョン・ベリー監督のサスペンスフルかつスピーディーな演出が冴える隠れた傑作ノワール。
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『M(88分)』
- 上映スケジュール
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公開:1951年
監督:ジョセフ・ロージー
出演:デヴィッド・ウェイン、ハワード・ダ・シルヴァ、マーティン・ガベル、ルーサー・アドラー、スティーヴ・ブロディ、レイモンド・バー、グレン・アンダース、ノーマン・ロイド、ウォルター・バーク、ジョン・ミルジャン、ロイ・エンゲル
ナチスの足音が聞こえるベルリンでの幼女連続殺人を描いたラング版を、ロージーがLAを舞台に忠実にリメイク。犯人役にピーター・ローレのような強烈な個性はないが、普通に見える人間が抱える異常性が恐怖を煽る。坂や有名なブラッドベリービルを活かしたアーネスト・ラズロの撮影がスタイリッシュ。
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『ラケット The Racket(89分)』
- 上映スケジュール
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公開:1951年
監督:ジョン・クロムウェル、ニコラス・レイ(ノン・クレジット)他
出演:ロバート・ミッチャム、リザベス・スコット、ロバート・ライアン、ウィリアム・タルマン、レイ・コリンズ、ジョイス・マッケンジー、ロバート・ハットン
幼馴染の二人がギャング(ロバート・ライアン)と警部(ロバート・ミッチャム)として対決する。腐敗した市政と無法化した街を舞台に描かれた『暴力団』(1928)の現代的なリメイク。途中からニコラス・レイが加わって完成したという。正気を失っていくライアンがはまり役だが、『ヒッチハイカー』で恐怖のヒッチハイカーを演じたウィリアム・タルマンの警官役も渋い。
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『拳銃を売る男 Imbarco a Mezzanotte(82分)』
- 上映スケジュール
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公開:1952年
監督:ジョセフ・ロージー
出演:ポール・ムニ、ジョーン・ロリング、ヴィトリオ・マヌンタ、ルイザ・ロッシ、アルド・シルヴァーニ、アルノルド・フォア、アルフレッド・ヴァレッリ、エレナ・マンソン
何もかもを失った男が、空腹のあまり無銭飲食をしたあげく女店主を殺してしまう。警察に追われる中、牛乳泥棒の少年と出会い共に逃げるが…。ロージー亡命後初の作品で、明らかにネオレアリズモ的な語り口。主演のポール・ムニと撮影のアンリ・アルカンが素晴らしい。資金源のファシストとコミュニストが混在する撮影現場は混乱したという逸話がある。
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『大いなる夜 The Big Night(73分)』
- 上映スケジュール
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公開:1951年
監督:ジョセフ・ロージー
出演:ジョン・バリモア・Jr、プレストン・フォスター、ハワード・セント・ジョン、ジョーン・ロリング、ドロシー・カミンゴア、フィリップ・ボーヌフ、ホーランド・チャンバーリン、マイロン・ヒーリー、エミール・メイヤー、マウリ・リン
17歳の誕生日を迎えたいじめられっ子が、屈辱的な暴行を受ける父親の姿を目撃。復讐のため拳銃を持って夜の町に出る。彼はファーストキスを経験し、最後に父親の意外な真実を知ることになる。少年の感情のうねりが凝縮されて詰まった一晩の出来事をコンパクトに描いた成長譚。ジョセフ・ロージーが赤狩りを逃れてヨーロッパに亡命する前、ハリウッドで最後に撮った佳作。(併映作品:『ハリウッド・テン』)
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『ハリウッド・テン The Hollywood Ten(15分)』
- 上映スケジュール
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公開:1950年
監督:ジョン・ベリー
出演:アルバート・マルツ、レスター・コール、サミュエル・オーニッツ、エイドリアン・スコット、アルヴァ・ベッシー、エドワード・ドミトリク、ダルトン・トランボ、リング・ラードナー・Jr、ローレン・バコール、ハンフリー・ボガート、ジョン・ハワード・ローソン、ハーバード・ビーバーマン
1947年、下院非米活動委員会に召喚された監督のドミトリク、脚本家トランボなど“ハリウッド・テン”の紹介と、委員会の行方を描いた短編ドキュメンタリー。彼らは議会侮辱罪に問われ、審理の結果有罪になる。その後の控訴も却下され1年間投獄されることになった。(併映作品:『大いなる夜』)
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