近日上映予定
ネオリアリスモ
2016/11/12 ~ 2016/11/25
第2次大戦中のイタリア。降伏後も国内にはびこるファシストやナチスに抵抗するため結成された国民戦線には、多くの映画人たちが参加。終戦後、彼らは戦争の悲惨にあえぐ社会を徹底したリアリズムとドキュメンタリー手法で描き、ロケーション撮影、アフレコ、素人俳優の起用を特徴とするスタイルを確立した。それがネオリアリスモである。代表的監督は、ロベルト・ロッセリーニ、ヴィットリオ・デ・シーカ、ルキノ・ヴィスコンティ、フェデリコ・フェリーニなど。
1949年、時の政府が国を中傷する作品に対する政策を強め、社会問題を扱った作品は減少。ロマンスやファンタジー、労働階級を庶民喜劇風に描く「バラ色のネオリアリズム」作品が増える風潮の中、「ウンベルトD」は政府から危険な逆行と見られた。
上映予定作品一覧(全12本)
『靴みがき』
『自転車泥棒』
『ドイツ零年』
『ストロンボリ』
『寄席の脚光』
『神の道化師フランチェスコ』
『ミラノの奇跡』
『白い酋長』
『ベリッシマ』
『ウンベルトD 』
『ヨーロッパ1951年 』
-
『無防備都市 Roma, Citta, Aperta(デジタル)』
- 上映スケジュール
-
公開:1945年
監督:ロベルト・ロッセリーニ
出演:アルド・ファウリーツィ、アンナ・マニャーニ、マルチェロ・パリエーロ、マリア・ミーキ
第二次大戦末期、無条件降伏したイタリアにドイツ軍が侵攻。無防備都市となったローマで、ナチスに抵抗するパルチザンが立ち上がるが…。終戦前後に撮影された荒廃した街、次々にゲシュタポに殺されていく人々、感情を揺さぶる鮮烈なシーンで世界に衝撃を与えた歴史的傑作。イングリッド・バーグマンがロッセリーニに走るきっかけとなったことでも有名な、第一回カンヌグランプリ受賞作。
-
『靴みがき Sciusucià(16mm)』
- 上映スケジュール
-
公開:1946年
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
出演:フランコ・インテルレンギ、リナルド・スモルドーニ、アニエロ・メレ
ローマの靴みがきパスクアーレとジュゼッペは、貸馬屋の馬を買うため占領軍のヤミ物資の横流しに手を出し…。自分の力で生きていかざるを得ない少年たちの過酷な運命を通して、最も弱い者が犠牲になる戦争の悲惨と大人たちの欺瞞を真正面から描く。『自転車泥棒』と並ぶデ・シーカの代表作の1本。
-
『自転車泥棒 Ladri di Biciclette(16mm)』
- 上映スケジュール
-
公開:1948年
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
出演:ランベルト・マジョラーニ、エンツォ・スタヨーラ、リアネーラ・カレル、ジーノ・サルタマレンダ
失業し貧困に喘ぐアントニオがやっと得たポスター貼り。しかし、仕事に必要な自転車が盗まれ…。一台の自転車をきっかけに次々に起こる不運の連鎖。貧しさゆえの犯罪と、抗いようのない現実に追い込まれていく人間の姿を、素人の起用と全編ロケーション撮影によって生々しく描く。衝撃のラストシーンがいつまでも澱のように心に残る永遠の傑作。
-
『ドイツ零年 Germania, Anno Zero(デジタル)』
- 上映スケジュール
-
公開:1948年
監督:ロベルト・ロッセリーニ
出演:エドムント・メシュケ、エルンスト・ピットシャウ、バーバラ・ヒンツ
第二次大戦直後のベルリン。病気の父と無職の兄に代って働きに出た少年・エドムントは、元担任教師に出会い、彼のナチ思想に感化されるが…。敗戦によって無と帰したドイツ零年。廃墟の中を、忘れられた子どもたちとナチスの亡霊が彷徨い歩く。戦争がもたらす悲惨と絶望を冷徹なドキュメンタリー・タッチで描き、ヌーヴェル・ヴァーグの作家達に甚大な影響を与えた傑作。
-
『ストロンボリ Stromnoli, Terra DI Dio(HDデジタル)』
- 上映スケジュール
-
公開:1949年
監督:ロベルト・ロッセリーニ
出演:イングリッド・バーグマン、マリオ・ビターレ、レンツォ・シザーナ、マリオ・スポンゾ、ダエタノ・ファムラロ
難民キャンプで出会い結婚した男の故郷ストロンボリ島にやってきたカーリンは、貧しさや村人との軋轢に苦しみ…。都会から溶岩の島に嫁に来たカーリンが「私は文明社会の女よ」「帰りたい、帰りたい」と苦しんだあげく、とんでもない行動に出る! バーグマンを徹底的にいたぶるロッセリーニの演出が凄い問題作。噴火スペクタクルやマグロ漁のシーンが圧倒的迫力で迫る。
-
『寄席の脚光 Luci del Varieta(デジタル)』
- 上映スケジュール
-
公開:1950年
監督:アルベルト・ラトゥアーダ、フェデリコ・フェリーニ
出演:ペッピノ・デ・フィリッポ、カルラ・デル・ポッジョ、ジュリエッタ・マシーナ、ジョン・キッツミラー
ドサ回りの寄席芸人一座を舞台に、新人ダンサーに入れ込む座長と内縁の妻、根無し草の芸人たちが織りなす人生模様をほろ苦く描く。フェリーニが担当したといわれるステージシーンが素晴らしく、手品やダンスなど三流ながらも陽気な芸人たちが生き生きと描かれる。共同監督だが、フェリーニが初めてメガホンを握ったバック・ステージものの佳作。日本未公開。
-
『神の道化師フランチェスコ Francesco, Giullare di Dio(HDデジタル)』
- 上映スケジュール
-
公開:1950年
監督:ロベルト・ロッセリーニ
出演:ナザリオ・ジェラルディ、アルド・ファブリッツィ、ロベルト・ソレンティーノ
子どものように純真な聖人フランチェスコと彼を慕う門弟たちの布教の旅を、短いエピソードを重ねドキュメンタリー・タッチで描く。ちょっと間抜けでユーモラスな逸話の数々に笑ったりホロッとしたり。ラディカルな宗教者であったフランチェスコが愛嬌ある人物として描かれており、観終わった後心が温かくなる名作。共同脚本はフェリーニ。
-
『ミラノの奇跡 Miracolo a Milano(16mm/日本語吹替版)』
- 上映スケジュール
-
公開:1951年
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
出演:フランチェスコ・ゴリザーノ、パオロ・ストッパ、エンマ・グラマティカ、ブルネラ・ボーヴォ
ネオレアリスモの名匠デ・シーカによるメルヘン風刺譚。育ての親が死に街に放り出された捨て子のトトは、貧しい仲間とバラック部落を作るが、その土地から石油が出たからさあ大変! 貧しいが純粋な人々に訪れる奇跡に感動必至の隠れた傑作。『E.T.』に影響を与えたという有名なシーンも。
-
『白い酋長 Lo Sceicco Bianco(デジタル)』
- 上映スケジュール
-
公開:1951年
監督:フェデリコ・フェリーニ
出演:レオポルド・トリエステ、ブルネラ・ボーヴォ、アルベルト・ソルディ、ジュリエッタ・マシーナ
連続活劇「白い酋長」の主演スター・リボリに夢中のワンダは、新婚旅行中なのに夫そっちのけでリボリを追いかけ…。子どものような主人公、幻想に溢れた光景、大騒動のすえに訪れる大団円、そして果てしないおしゃべり。後のフェリーニの総てが詰まったような初単独監督作。夜の街で火吹き芸に拍手を送るカリビアという娼婦を演じるはジュリエッタ・マシーナ! 日本未公開。
-
『ベリッシマ Bellissima(デジタル)』
- 上映スケジュール
-
公開:1951年
監督:ルキノ・ヴィスコンティ
出演:アンナ・マニャーニ、ワルテル・キアーリ、ディーナ・アビチェラ、アレッサンドロ・ブラゼッティ
娘を映画スターにしようと、ベリッシマ(美少女)コンテストに出場させるステージ・ママをアンナ・マニャーニが演じる。自分の夢のため、娘が嫌がろうと夫が反対しようと猪突猛進、ひたすら喋りつづけするマニャーニが圧巻。万国共通のお受験ママの悲喜劇だが、ラストは感動必至の人情話。貧しき庶民の生き生きとした姿は、まさに“赤い貴族”ヴィスコンティの面目躍如!
-
『ウンベルトD Umberto D(16mm)』
- 上映スケジュール
-
公開:1952年
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
出演:カルロ・バティスティ、マリア・ピア・カジリオ、リナ・ジェナリ
家賃を滞納して部屋から追い出された元公務員の年金生活者ウンベルト。物乞いをしようと思い立つがプライドが許さず…。地位、お金、住居、人間関係。これまでの人生の全てを失いながらも、なお人間らしく生きようとするウンベルトの姿をリアルに描き、人間の魂の尊厳とは何かに迫る。スコセッシが「ネオリアリスモの極致」と絶賛し、キアロスタミやホウシャオシェンも愛してやまない傑作中の傑作。
-
『ヨーロッパ1951年 Europa'51(HDデジタル)』
- 上映スケジュール
-
公開:1952年
監督:ロベルト・ロッセリーニ
出演:イングリッド・バーグマン、アレクサンダー・ノックス、エットレ・ジャンニーニ、ジュリエッタ・マシーナ
アメリカからイタリアにやってきたブルジョア夫人・アイリーンは、我が子を自殺で失い…。魂の救いを求めて訪ねる工場やスラムの生々しさ、貧しい子どもに初めてパンを与えたアイリーンの雷に撃たれたようなクローズアップが素晴らしい。自責の念から貧しい人々に近づき、やがて愛に目覚めていくアイリーンは“聖人”か“狂人”か!? 信じるもののため地位や家族すら捨てる姿は、バーグマンの実像と重なる。
新着情報
一覧を見る- 2024/12/28
- 特集「デトレフ・ジールクからダグラス・サークへ」の上映素材について
- 2024/12/27
- 特集「デトレフ・ジールクからダグラス・サークへ」記事掲載のお知らせ②
- 2024/12/26
- 特集「デトレフ・ジールクからダグラス・サークへ」記事掲載のお知らせ①
- 2024/12/20
- 特集「脚本家で観るロマンポルノ」トークショーのお知らせ
- 2024/12/16
- 当館の偽アカウントにご注意ください
- 2024/12/02
- 特集「『酔わせる映画』刊行記念 楽しくて怖い酒映画傑作選」トークショーのお知らせ
- 2024/11/25
- 特集「生誕100年の人々」記事掲載のお知らせ
- 2024/11/25
- 特集「生誕100年の人々」のフィルム状態について
- 2024/11/06
- 「デトレフ・ジールクからダグラス・サークへ」トークショーのお知らせ
アクセス
〒150-0044
東京都渋谷区円山町1‐5
KINOHAUS(キノハウス) 4F
03-3461-7703
東京都渋谷区円山町1‐5
KINOHAUS(キノハウス) 4F
03-3461-7703