近日上映予定
渋谷実のおかしな世界 The Bizarre World of Minoru Shibuya
2015/06/27 ~ 2015/07/17
小津安二郎、木下恵介とともに三大巨匠と呼ばれた渋谷実は、「巨匠とだけは呼ばれたくない」一匹狼のひねくれ者で、「いじわる爺さん」という綽名もあった。戦後、庶民のユーモアやペーソスといった大船調から逸脱していった渋谷の作風は社長の城戸四郎を怒らせ、『大根と人参』の後に松竹を追われることにつながった。
人間の醜さの強調、ブラックすぎて笑えない展開、中盤から破綻していく物語、予定調和を断固として拒否するラストなど、失敗作とも見紛うシュールでアヴァンギャルドな作品こそ渋谷の真骨頂。松竹テイストをぶち壊した異端作家・渋谷実の世界を、今こそ再確認してください!
■『奥様に知らすべからず』『母と子』は、一本立て・1000円均一の特別上映です。
上映予定作品一覧(全20本)
『自由学校』
『本日休診』
『現代人』
『勲章』
『青銅の基督』
『女の足あと』
『気違い部落』
『悪女の季節』
『霧ある情事』
『バナナ』
『もず』
『好人好日』
『酔っぱらい天国』
『二人だけの砦』
『モンローのような女』
『大根と人参』
『仰げば尊し』
『奥様に知らすべからず』
『母と子』
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『夜ごとの夢(35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1933年
監督:成瀬巳喜男/助監督:渋谷実
出演:栗島すみ子、斎藤達雄、小島照子、新井淳、吉川満子、坂本武、飯田蝶子
女給をして息子を育てるおみつの許に、かつて家族を捨てた夫が戻ってくるが…。幸せな家庭という夢がことごとく打ち砕かれる現実に、毅然と立ち向かうおみつとダメ夫。成瀬の永遠のテーマである男女の相克が描かれた、サイレント期の代表作。渋谷実は助監督を務めた。
©1933松竹株式会社
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『自由学校(16mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1951年
監督:渋谷実
出演:佐分利信、高峰三枝子、淡島千景、佐田啓二、田村秋子、杉村春子、笠智衆
「自由がほしい」と会社を辞めた五百助は…。五百助をポンポン罵倒した挙句、首根っこを掴んで家から追い出した妻の駒子が急にモテモテになる展開も愉快。豪華出演陣が意外な役を楽しそうに演じたコメディの傑作であり、戦後自由社会におけるジェンダー問題を描いた点でも斬新。
©1951松竹株式会社
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『本日休診(35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1952年
監督:渋谷実
出演:柳永二郎、三國連太郎、角梨枝子、鶴田浩二、淡島千景、望月優子、田村秋子、佐田啓二、岸恵子、市川紅梅
戦後新装開院1周年を迎え休診の札をさげた三雲医院だったが、乱暴された娘だの指を詰めたいヤクザだの、次から次へとワケあり患者がやってきて…。戦争後遺症の元陸軍中尉(三国連太郎が怪演!)の姿に戦争批判を響かせ、戦後社会の混乱や矛盾を浮かび上がらせた傑作。
©1952松竹株式会社
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『現代人(35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1952年
監督:渋谷実
出演:池部良、山田五十鈴、山村聡、小林トシ子、望月優子
長年賄賂を貰っていた業者と手を切りたい建設官僚の萩野。しかし、部下の小田切はあっさり汚職に手を染め…。戦後アプレの典型のように見える小田切の内面に深く切り込んだ渋谷実の代表作。スピーディーな展開、縦の構図、本作品で演技開眼したという池部良がカッコいい!
©1952竹株式会社
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『勲章(35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1954年
監督:渋谷実
出演:小沢栄、香川京子、佐田啓二、永田靖、東山千栄子、岩崎加根子、岸輝子、東野英治郎、松本克平、千田是也、菅井きん、岡田英次、三戸部スエ、杉村春子、東恵美子、鶴丸睦彦 、永井智子、小沢昭一
家族から疎まれる元陸軍中将・岡部は、元部下から再軍備運動のリーダーに担がれて莫大な借金を背負い…。当時の社会を騒がせた再軍備の動きと、権威主義的人間への渋谷の痛烈な批判が響く。後生大事にする勲章ともども、岡部がたどる余りに悲惨な運命に茫然。
©仕事
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『青銅の基督(35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1955年
監督:渋谷実
出演:岡田英次、滝沢修、香川京子、石浜朗、山田五十鈴、野添ひとみ
江戸時代の長崎。転びバテレンのフェレラに騙され、踏み絵に使われる青銅の基督像を作った職人とキリシタン娘・モニカの悲恋を描くはずが、何故か滝沢修演じる胡散臭いフェレラ神父に焦点が移り、物語はどんどんおかしな方向へ!? 衝撃の結末にはビックリ仰天!!
©1955竹株式会社
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『女の足あと(35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1956年
監督:渋谷実
出演:有馬稲子、佐田啓二、杉村春子、石浜朗、山路義人、賀原夏子、末永功、永井達郎、大木実、文野朋子、山形勲、小林トシ子、淡路恵子、竜岡晋、北城真記子、三谷幸子、田村保、水上令子、佐々木恒子
浜田孝一を訪ねてきた田舎娘・のぶは、自分が身を許した男が孝一の名を騙る偽物だったと知り…。のぶに同情し犯人を探す孝一(佐田啓二)と、過去を忘れたいのぶ(有馬稲子)、すれ違う男女の機微を描いたメロドラマ。渋る有馬稲子をよそに、犯人捜しに粘着しまくる佐田啓二が怖い。
©1956竹株式会社
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『気違い部落(16mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1957年
監督:渋谷実
出演:伊藤雄之助、淡島千景、水野久美、藤木満寿夫、山形勲、諸角啓二郎
東京近郊の山間部のわずか14世帯の部落。本能まるだしの浅ましさ、馬鹿げた集落の掟ゆえ、周囲から「気違い部落」と呼ばれる集落で巻き起こった大騒動を描く。日本=ムラ社会を徹底的にカリカチュアライズした渋谷実の手腕は見事!ソフト化・放送ともに困難なため、劇場にてご覧ください。
©1957竹株式会社
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『悪女の季節(35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1958年
監督:渋谷実
出演:東野英治郎、山田五十鈴、岡田茉莉子、伊藤雄之助、岸田今日子、片山明彦
老実業家の泰輔の財産を巡って、内縁の妻・妙子とその娘、妙子の元愛人、殺し屋秋ちゃんなど欲の皮が突っ張った奴らが争奪戦を繰り広げるスラップスティック・サスペンス。油ものを沢山食べて精力を養う泰輔を東野英治郎が大熱演。終盤の破壊的展開に開いた口が塞がらない怪作!
©1958松竹株式会社
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『霧ある情事(35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1959年
監督:渋谷実
出演:岡田茉莉子、津川雅彦、加東大介、三上真一郎、菅井一郎、芳村真理、京塚昌子、神山繁、桜むつ子、竹田法一、村瀬辰也、柴世津子、鈴木京子、清川虹子、佐野浅夫、大塚君代、二階堂有希子
土建会社常務の室岡との爛れた愛人関係を清算しようとする園子は、誤って人を刺した室岡の秘書と逃避行の旅に出るが…。俗物の室岡や自分にたかる父から自由になりたい園子を演じる岡田茉莉子は美しさの絶頂。舟橋聖一の同名小説を原作とするメロドラマの佳作。
©1959松竹株式会社
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『バナナ(35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1960年
監督:渋谷実
出演:津川雅彦、岡田茉莉子、尾上松緑、杉村春子、伊藤雄之助、小池朝雄
華僑の御曹司で大学生の竜馬と、バナナ仲買人の娘でシャンソン歌手志望のサキ子。恋人同士の2人は、車欲しさにバナナ輸入の商売を始めるが…。竜馬のグルメ・パパ役の尾上松緑がいい味を出している。裕福でモダンな華僑家庭を背景に、とぼけたバナナ騒動を描く都会派コメディ。
©1960松竹株式会社
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『もず 35mm』
- 上映スケジュール
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公開:1961年
監督:渋谷実
出演:有馬稲子、淡島千景、川津祐介、永井智雄、山田五十鈴、乙羽信子、桜むつ子、高橋とよ、清川虹子
東京の小料理屋で住み込み女中をしている母を20年ぶりに尋ねてきた娘は、パトロンと逢う母の姿を目撃して…。因業女将の山田五十鈴、女中の乙羽信子を初め、母娘の周辺のオバサン役で手練れの女優陣が勢ぞろい。原作・脚本の水木洋子のシニカルな視線が際立つ傑作。
©1961松竹株式会社
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『好人好日(35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1961年
監督:渋谷実
出演:笠智衆、岩下志麻、淡島千景、川津祐介、高峰三枝子
数学バカで年中雨靴を履いているちょっと変わった奈良大教授の文化勲章受章騒動に、娘の結婚話をからめた人情ドラマ。実在の数学者・岡潔がモデルとされ、随所でユーモアがきらりと光る佳作。変人教授をひょうひょうと演じる笠智衆もはまり役。
©1961松竹株式会社
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『酔っぱらい天国(35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1962年
監督:渋谷実
出演:津川雅彦、倍賞千恵子、笠智衆、有馬稲子、石浜朗、伴淳三郎
親子そろって大酒のみの耕三と史郎。ある日、結婚を控えた史郎がバーでの喧嘩から命を落とし…。酒を憎み、酒に寛容な日本社会を憎む渋谷が、酔っ払いたちを地獄の底に叩き込む!こちらも下戸だった笠智衆が巧みに演じる、酒乱の耕三の哀れすぎる最期を見逃すな。
©1962松竹株式会社
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『二人だけの砦(35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1963年
監督:渋谷実
出演:岡田茉莉子、アイ・ジョージ、三國連太郎、ミヤコ蝶々、鈴木やすし、菅井一郎、笠智衆、丹波哲郎
ヤクザから足を洗い、妻・光子と団地近くで薬局を開いた正一だったが…。商売敵の妨害や組との腐れ縁で商売はうまくいかず、団地の住人は胡散臭い奴ばかり。しまいに生まれたばかりの赤ん坊にとんでもない悲劇が!? 狂った正一が暴走する後半の展開がブラックすぎる大怪作。カルト映画好き必見!
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『モンローのような女(35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1964年
監督:渋谷実
出演:真理明美、佐田啓二、笠智衆、森光子、山本圭、津川雅彦、加藤武
飲んだくれの父と精神病の母を持つ17歳のいち子は、金のため水着モデルになる。果たして彼女はヌードになるのか!? 怪しい風呂付き居酒屋を経営する叔母役の森光子の怪演が光る。モンロー急逝に便乗した正月映画だが、「いち子が脱ぐ脱がない」というドーデモいいテーマ故か、結果は大惨敗。
©1964松竹株式会社
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『大根と人参(35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1965年
監督:渋谷実
出演:笠智衆、乙羽信子、加賀まりこ、岩下志麻、桑野みゆき、岡田茉莉子、池部良、加東大介、森光子、長岡輝子、司葉子、有馬稲子
旧友との喧嘩、従順なはずの妻の叛乱、金を使い込んだ弟の後始末と、次々に災難が降りかかり、まじめ一筋のサラリーマン山樹は!? 『秋刀魚の味』の次回作企画の映画化だが、自分勝手な人間たちを風刺する作風はまさに渋谷テイスト。小津映画では絶対にないテンションの笠智衆に注目!
©1965松竹株式会社
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『仰げば尊し(35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1966年
監督:渋谷実
出演:森繁久彌、野村昭子、佐々木愛、鈴木光枝、木村功、川口敦子、谷啓、三木のり平
瀬戸内海の島の元小学校教師・浜口は、ある出来事をきっかけに教え子たちの消息を訪ねる旅に出るが…。松竹を追われた渋谷実が東宝系の東京映画で作った和製『舞踏会の手帖』。現代世相とズレた老教師役の森繁の姿にペーソスが滲む。
©1966東宝
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『奥様に知らすべからず(35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1937年
監督:渋谷実
出演:斎藤達雄、岡村文子、坂本武、吉川満子、水戸光子
恐妻家の横山は、ペットのオウムにまで馬鹿にされる毎日。そんなある日、妻と川田夫人のライバル心から、夫同士決闘する羽目になり…。二組の夫婦のドタバタを描いた監督デビュー作。ルビッチに影響を受けた小津の助監督だった渋谷だけあって、ルビッチ・タッチを彷彿とさせる軽妙洒脱な一本。
©1937松竹株式会社
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『母と子(35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1938年
監督:渋谷実
出演:田中絹代、吉川満子、佐分利信、河村黎吉、徳大寺伸、水戸光子
冴えない平社員の寺尾は、専務の妾の娘との結婚話に有頂天になり…。お人好しの妾と気丈な娘・知栄子の母娘に、横暴な父、厭世的な兄、打算的な寺尾という自己チュー男たちを対置し、女性目線を通して男のエゴを浮かび上がらせる。ロマンの欠片もない展開と皮肉なラストはまさに渋谷テイスト。傑作!
©1938松竹株式会社
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東京都渋谷区円山町1‐5
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