上映スケジュール
超西部劇
2025/05/03 ~ 2025/05/30
「超西部劇 Surwestern」は、フランスの映画批評家アンドレ・バザンが1955年の論文「西部劇の進化」(『映画とは何か』に収録)で用いた言葉。バザンは、西部劇がジョン・フォードの『駅馬車』が生まれた1940年頃にジャンルとして完成したと述べ、そしてそれらの古典的西部劇にはなかった要素を取り込んだ戦後の西部劇群を「超西部劇」と定義した。超西部劇は、西部劇の伝統的なテーマやジャンルとしての限界を意識し、ジャンルの外側にある要素を取り込んだ作品たちであり、ハワード・ヒューズの『ならず者』(1943)は西部劇にエロティシズムを持ち込み、ウィリアム・A・ウェルマン『女群西部へ!』(1951)は語られなかった女性たちの西部開拓を描いた。また西部劇が描いてきた西部開拓というアメリカの神話を解体・再構築するような作品が多く作られ、デルマー・デイヴィス『折れた矢』(1950)はインディアン側の歴史を回復し、フレッド・ジンネマン『真昼の決闘』(1952)、ウェルマン『牛泥棒』(1943)、アラン・ドワン『逮捕命令』(1954)など当時のマッカーシズムを批判する社会派の西部劇も多く作られた。
戦後に「超西部劇」が流行する中でも、ハワード・ホークスなど戦前からのベテラン監督たちによって古典的西部劇の流れにある優れた作品も輩出され続けた。バザンは『死の谷』(1949)、『死の砂塵』(1951)などのウォルシュの戦後作品について、古典から現代の西部劇への橋渡しだと高く評価している。またこうした古典的西部劇に真摯に向き合った上で、より“小説的な”西部劇を展開した戦後の若手作家として、『大砂塵』 (1954)のニコラス・レイや『裸の拍車』(1953)のアンソニー・マンが挙げられている。
※『真昼の決闘』は16mm上映
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