近日上映予定
初めての成瀬、永遠の成瀬
2025/03/22 ~ 2025/04/11
■トーク付き上映 3/22(土)15:25『舞姫』上映後
ゲスト:岡田茉莉子さん、聞き手:蓮實重彦さん 料金:2500円均一(ポイント鑑賞不可)
■特別上映■『舞姫(3/22以外)』、『杏っ子』、『妻の心』、『妻として女として』
協力:国立映画アーカイブ 料金:1300円均一(ポイント鑑賞不可)
上映予定作品一覧(全20本)
『晩菊』
『流れる』
『娘・妻・母』
『乱れ雲』
『夜ごとの夢』
『女人哀愁』
『旅役者』
『夫婦』
『女の座』
『ひき逃げ』
『芝居道』
『妻』
『あらくれ』
『鰯雲』
『女の歴史』
『舞姫』
『妻の心』
『杏っ子』
『妻として女として』
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『鶴八鶴次郎(89分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1938年
監督:成瀬巳喜男
出演:長谷川一夫、山田五十鈴、藤原釜足、大川平八郎、三島雅夫
鶴八(山田五十鈴)の三味線、鶴次郎(長谷川一夫)の新内で大人気の二人。芸への誇り、互いへの尊敬と嫉妬心が混ざり合い関係がこじれ、ついに決裂するが…。横に並んで同じ方向を向くことでしか関係性を結べない二人を仲立ちする藤原釜足も素晴らしい。長谷川と山田の掛け合いで笑わせ、ほろりとさせる名人芸が堪能できる傑作。
©1938東宝
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『晩菊(102分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1954年
監督:成瀬巳喜男
出演:杉村春子、沢村貞子、細川ちか子、望月優子、上原謙、小泉博、有馬稲子、見明凡太郎
独り身で金貸し業にいそしむ杉村春子は、芸者時代に恋仲だった上原謙の訪問の知らせに色めくが…。着物姿の杉村の、坐り、立ち、襖を開け閉めする所作のひとつひとつが小気味いいリズムを刻む。愚痴を言いながら子供を育て何とか生きている二人の元芸者の造形も素晴らしく、望月優子の“モンロー・ウォーク”からの破顔の笑みで締めるラストは白眉。
©TOHO CO., LTD.
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『流れる(117分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1957年
監督:成瀬巳喜男
出演:田中絹代、山田五十鈴、高峰秀子、岡田茉莉子、杉村春子、栗島すみ子、中北千枝子、加東大介
没落していく置屋の女たちを女中の目から見た幸田文原作を映画化。本音と建前、見栄、意地悪などを内側に秘めたセリフ、部屋の手前から窓の外までを収めるショットの中で行き来する女たち。不吉な何かを想起させながらも、淡々と次のシーンへ進めていくカット割りも素晴らしい。映画を観る豊かさに包まれる日本映画の一つの頂点。
©1957東宝
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『娘・妻・母(123分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1960年
監督:成瀬巳喜男
出演:原節子、高峰秀子、三益愛子、森雅之、団令子、宝田明、草笛光子、杉村春子、仲代達矢
母(三益)と長男夫婦(森と高峰)と末っ子(団令子)が暮らす家に長女(原節子)が出戻ってくる。子供達全員が職を持ち長男夫婦以外には子がない。そんな近代家族での話題はお金、お金、お金。土地家屋の相続がダメになると母親の押し付け合いが始まり…。妻になり母になることで価値を持つ女は、子供が自立すれば負債になるという残酷な真実!と思ったら、最後に出てくる笠智衆に全部持っていかれる。どこまでも現代的な一作。
©1960東宝
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『乱れ雲(107分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1967年
監督:成瀬巳喜男
出演:加山雄三、司葉子、草笛光子、浜美枝、加東大介、森光子、土屋嘉男、浦辺粂子
成瀬の遺作。夫を交通事故で亡くした妻が加害者と恋に落ちる。夫を殺した男に心が傾いていく司と自分の立場に無頓着で軽すぎる加山の危うい関係がサスペンスフル。加山雄三が司葉子を追いかけ、見つめ合い、目を逸らし、窓を開け閉めすることで露わになる感情。武満のバンドネオンの揺れ動く音色も素晴らしい。
©1967東宝
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『夜ごとの夢(64分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1933年
監督:成瀬巳喜男
出演:栗島すみ子、斎藤達雄、新井淳、吉川満子、飯田蝶子、坂本武
隣室の夫婦に息子を預けて働く女給の栗島すみ子。そこへ蒸発していた夫(斎藤達雄)が帰ってくる。そんなとき息子が車に撥ねられ…。救いが一切ない。職に就けず強盗をしたあげく自殺した斎藤を罵る栗原の激情。急な寄りや引き、俯瞰や横移動など技巧的なショットも冴える激しいサイレント映画。
©1933松竹株式会社
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『女人哀愁(74分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1937年
監督:成瀬巳喜男
出演:入江たか子、伊東薫、初瀬浪子、佐伯秀男、堤真佐子、北沢彪、御橋公、清川玉枝
金持ちの家に嫁ぎ、家族に舐められ女中扱いされる嫁・入江。耐える入江と、恋愛結婚したが出戻ったわがまま娘との対比、家庭をサスペンスの現場として演出する手つきも冴えている。カメラが動き、扉が開閉し、顔のアップになる。ラストで切口上述べる入江の美しさは、「個人とは何か」を問い続けた成瀬だからこその素晴らしさ。
©TOHO CO., LTD.
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『旅役者(71分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1940年
監督:成瀬巳喜男
出演:藤原鶏太(釜足)、柳谷寛、高勢実乗、清川荘司、御橋公、深見泰三、中村是好、山根寿子、清川玉枝
信州の田舎町に旅の一座がやってくる。一流だと騙っていたが無名もいいところ。馬の足役の藤原釜足が出演拒否し、本物の馬を出したら大受けするが…。「後ろ足5年、前足10年」という馬の足芸を否定され、酔っぱらって馬に襲い掛かる釜足。ほのぼのとしながらもシュールで突き抜けた味わいの一作。「馬に馬が演れるかよ」というボヤキが可笑しい。
©TOHO CO., LTD.
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『夫婦(87分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1953年
監督:成瀬巳喜男
出演:上原謙、杉葉子、三國連太郎、小林桂樹、藤原釜足、滝花久子、岡田茉莉子
転勤で三國連太郎の家に間借りした上原と杉の倦怠期夫婦。上原の出張をきっかけに、あわや離婚寸前に追い込まれるが…。杉の兄の小林桂樹の結婚、子供を中絶せざるを得ない低賃金などの問題も絡みつつ描かれる夫婦の危機。ラストに吹き荒れる北風が人生の岐路に立たされた二人に重なり合う。
©TOHO CO., LTD.
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『女の座(111分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1962年
監督:成瀬巳喜男
出演:笠智衆、高峰秀子、司葉子、杉村春子、草笛光子、宝田明、三益愛子、加東大介、北あけみ、小林桂樹
二男五女の一家の長男に嫁いだ高峰は、夫の他界後も子どもを育てながら献身的に働いていたが…。オリンピック道路で入ってくる金、母(三益愛子)の最初の結婚でできた息子の登場で家族のバランスが崩れていく。絆とか言いながらエゴまるだしの日本的家族の闇を辛辣に描いた傑作で、成瀬版『東京物語』とも言われる一作。
©TOHO CO., LTD.
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『ひき逃げ(94分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1966年
監督:成瀬巳喜男
出演:高峰秀子、司葉子、加東大介、黒沢年男、中山仁、賀原夏子、小沢栄太郎、 浦辺粂子
子供をひき逃げされた高峰秀子は、加害者(司葉子)宅に女中として入り込み、司の子供を殺して復讐しようとするが…。たびたび挿入される子供を殺す妄想、驚きの展開とラスト、酔って踊りまくる高峰など、シュールで意外性のある成瀬作品。横断歩道・信号・車線なしの狭い道を車が爆走する様はまさしく交通戦争。格差問題にも迫っている。
©TOHO CO., LTD.
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『芝居道(83分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1944年
監督:成瀬巳喜男
出演:長谷川一夫、山田五十鈴、古川緑波、進藤英太郎、志村喬、花井蘭子
弟子(長谷川一夫)の慢心を戒めるため、恋仲の女(山田五十鈴)に身を引かせ東京に修行に出す座長(ロッパ)。芸を磨いた長谷川の見事な舞台の移動撮影が素晴らしい。戦時中の作品だが、提灯行列の幻想的な美しさ、戦勝祝いの花火と4人が会話をしている部屋を交互に映されるシーンの多幸感に魅せられる一作。
©TOHO CO., LTD.
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『妻(96分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1953年
監督:成瀬巳喜男
出演:上原謙、高峰三枝子、丹阿弥谷津子、高杉早苗、中北千枝子、伊豆肇、新珠三千代、三國連太郎
結婚10年目の子なし夫婦。無関心亭主・上原謙と家事怠慢女房・高峰三枝子のどん詰まり生活に不倫騒動が持ち上がる。妻は不倫相手と対峙するが…。愛人が去っても、ただ一緒に暮らすだけの生活は変わらない。つまみ食いしては歯をほじる超ガサツな高峰が、ラストでハタキを一生懸命かける虚しさよ。最も辛辣な結末、苦い後味を残す成瀬らしい一作。
©TOHO CO., LTD.
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『あらくれ(121分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1957年
監督:成瀬巳喜男
出演:高峰秀子、上原謙、森雅之、加東大介、東野英治郎、岸輝子、宮口精二、中北千枝子
すぐ手が出るところは“あらくれ”だが、働き者で、仕事が出来て、頭が良く、度胸も情もある高峰は、男だったら“傑物”と呼ばれただろう。男は受け身でだらしない奴ばかり。たとえ好きな男でも頼って生きるのはごめんだよ、と自ら運命を切り開くデコちゃん!経済力を持たず男に頼って生きる女たちへの批判も容赦ない傑作女性映画。
©1957東宝
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『鰯雲(129分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1958年
監督:成瀬巳喜男
出演:淡島千景、飯田蝶子、新珠三千代、司葉子、木村功、中村鴈治郎、小林桂樹、加東大介、杉村春子、清川虹子
“開明的未亡人”の淡島千景は、農家の実態を取材にきた妻子持ちの記者・木村功と恋に落ちるが…。戦後の農村を背景に、家制度の変化や世代による価値観の対立を様々なエピソードを積み重ねて描く群像劇。農村や湘南の海岸のロケも美しい。凋落していく大地主一族の家長役の中村鴈治郎が見事な演技を見せる。
©TOHO CO., LTD.
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『女の歴史(126分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1963年
監督:成瀬巳喜男
出演:高峰秀子、宝田明、山﨑努、星由里子、賀原夏子、仲代達矢、淡路恵子、草笛光子、加東大介、藤原釜足、菅井きん
苦労ばかりの女の人生を高峰秀子が演じる。夫を戦争で亡くし、息子を事故で亡くし、夫の友人・仲代達矢の求愛を拒んで、戦後はパーマ屋を経営するデコちゃん。頼もしい友人・淡路恵子や呑気な姑・賀原夏子など女たちの連帯が救い。戦中の下町の路地裏や闇市を再現した中古智の美術が素晴らしい。
©TOHO CO., LTD.
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『舞姫(85分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1951年
監督:成瀬巳喜男
出演:山村聰、高峰三枝子、片山明彦、岡田茉莉子、二本柳寛、見明凡太郎、木村功、沢村貞子
川端康成の同名小説を原作に描く夫婦の物語。考古学者である夫と家庭内別居状態の妻。バレエ教室を営む妻は、夫と別れ新たな道を探そうとするが…。高峰三枝子が妻の心のゆらぎを見事に演じている。本作がデビュー作である岡田茉莉子は初々しくも、女優の貫禄が感じられる。
写真協力:公益財団法人川喜多記念映画文化財団
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『妻の心(97分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1956年
監督:成瀬巳喜男
出演:三好栄子、千秋実、中北千枝子、松山奈津子、小林桂樹、高峰秀子、根岸明美、田中春男、花井蘭子、杉葉子、三船敏郎、加東大介、沢村貞子
代々続く薬屋を営む高峰秀子・小林桂樹夫婦と姑。そこに兄(千秋実)一家が戻ってくる。金銭問題が持ちあがる中、小林の不倫が発覚し…。姑の三好栄子と兄嫁の中北千枝子、三船敏郎と杉葉子兄妹、洋食屋の加東大介と沢村貞子。絶妙な配役と井手脚本が素晴らしい、見どころ満載の群像劇。現実離れした良い男の三船と高峰の恋の行方は如何に!?
©1956東宝
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『杏っ子(109分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1958年
監督:成瀬巳喜男
出演:山村聰、夏川静江、香川京子、太刀川洋一、木村功、中北千枝子、三井美奈、藤木悠、土屋嘉男、中村伸郎、小林桂樹、加東大介
人気作家(山村聰)の娘(香川京子)は作家志望の木村功と結婚する。才能皆無で妻に当たり散らす酒浸りの木村。山村の「夫婦はお互いに損をするんだ。女は生涯の損、男は一時の損」というセリフにゾッとする。結婚という共依存が一生続く煉獄であることを炙り出す、成瀬作品の典型ともいえる一本。
©TOHO CO., LTD.
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『妻として女として(106分/35mm)』
- 上映スケジュール
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公開:1961年
監督:成瀬巳喜男
出演:高峰秀子、淡島千景、森雅之、星由里子、仲代達矢、水野久美、淡路恵子、飯田蝶子、丹阿弥谷津子、中北千枝子、藤間紫、中村伸郎
大学講師(森雅之)の長年の愛人・高峰秀子が関係を清算しようと手切れ金を要求したことから起こる怨念のドラマ。クライマックスでの女同士のバトルは、スリリングな台詞のやり取りで観る者を掴んで離さない。妻と愛人に挟まれてオロオロするのみ、絶対に自分で決めない森雅之のクズぶりも際立つ傑作。美しいカラーでご堪能ください。
©TOHO CO., LTD.
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