近日上映予定
サイレント期の巨匠たち
2024/06/15 ~ 2024/07/12
パウル・レニ、ゲオルク・ヴィルヘルム・パプスト、F・W・ムルナウ、ジョセフ・フォン・スタンバーグ
■脚本家カールマイヤーによる無字幕・室内悲劇三部作『破片』『裏階段』『除夜の悲劇』
3本立て 1500円均一(ポイント鑑賞不可)
※『除夜の悲劇』を除いては全作品デジタル
※『除夜の悲劇』を除いてはサウンド版
上映予定作品一覧(全25本)
『笑ふ男』
『最後の警告』
『パンドラの箱』
『淪落の女の日記 』
『三文オペラ』
『炭鉱』
『フォーゲルエート城』
『ファントム』
『吸血鬼ノスフェラトゥ』
『最後の人』
『大公の財政』
『タルチュフ』
『ファウスト』
『サンライズ』
『都会の女 』
『暗黒街』
『最後の命令』
『紐育の波止場』
『間諜X27 』
『上海特急』
『恋のページェント』
『罪と罰』
『アナタハン』
『カール・マイヤー無字幕・悲劇三部作』
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『猫とカナリヤ The Cat and the Canary(87分/サイレント)』
- 上映スケジュール
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公開:1927年
監督:パウル・レニ
出演:ローラ・ラ・プラント、クレイトン・ヘイル、フォレスト・スタンレー、タリー・マーシャル
狂死した大富豪の遺産を相続したアナベル。その後、彼女の周りで次々と奇怪な事件が起こり…。ドイツ表現主義映画で有名なパウル・レニのハリウッド初監督作。影やシルエット、歪みなどを効果的に用いたカメラワークと美術セットが素晴らしい、怪奇ミステリーにしてコメディの名作。
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『笑ふ男 The Man Who Laughs(110分/サイレント)』
- 上映スケジュール
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公開:1928年
監督:パウル・レニ
出演:コンラート・ファイト、メアリー・フィルビン、オルガ・バクラノヴァ、ジョージ・シーグマン、サム・ド・グラッス、チェザーレ・グラヴィナ
英国王によって父が処刑され、息子は口の両端を裂かれ常に笑った顔に変えられた。後にサーカスのピエロとして人気を得、盲目の少女へ思いを寄せるが…。容姿に苦しみ悲劇的な運命を辿る笑い男を演じるのは、『カリガリ博士』の眠り男コンラート・ファイト。ジョーカーの元ネタともいわれる一本。
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『最後の警告 The Last Warning(79分/サイレント)』
- 上映スケジュール
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公開:1928年
監督:パウル・レニ
出演:ローラ・ラ・プラント、モンタギュー・ラヴ、マーガレット・リヴィングストン、ジョン・ボリス
舞台中に座長が死ぬが事件は迷宮入り。やがて劇場が再開され元のメンバーが集まる中、座長の幽霊が現れ不可解な出来事が次々と…。NYの華やかなショービズ映像から始まり、カメラは劇場の内部へ。警察の調査で劇団内の複雑な人間関係や愛憎が露わになっていく。ミステリー&ホラー作品だが、コミカルな味がチャーミングなパウル・レニの遺作。公演をダメにしたい奴はいったい誰だ!?
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『パンドラの箱 Die Büchse der Pandora(130分/サイレント)』
- 上映スケジュール
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公開:1929年
監督:G・W・パプスト
出演:ルイズ・ブルックス、フリッツ・コルトナー、フランツ・レデラー、カール・ゲーツ
ヴェデキントの小説の映画化に当たり、パプストがルイズ・ブルックスをハリウッドから呼び寄せ、二人にとっての代表作となった傑作。無邪気で奔放なルルに魅入られた男女が勝手に破滅していく。結婚、殺人、裁判、逃亡、そして底辺まで落ちたルルを待ち受ける驚愕のラスト。ブルックス本人はそれを「彼女の幼いころからの夢がかなった」瞬間だと述べている。ドイツで修復された130分版。
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『淪落の女の日記 Tagebuch einer Verlorenen(111分/サイレント)』
- 上映スケジュール
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公開:1929年
監督:G・W・パプスト
出演:ルイズ・ブルックス、フリッツ・ラスプ、アーノルド・コルフ、ヨゼフ・ロヴェンスキー、アンドレ・ロアンヌ、アンドルース・エンゲルマ、ヴァレスカ・ゲルト
薬局の娘が父親の助手に誘惑され妊娠。子供と引き離され自分は感化院に入れられる。『パンドラの箱』に続くパプスト&ブルックスのコンビ作で、ラストはパプストの意に反したものだったという。しかし男が守らない倫理規範を女に押し付ける社会を批判的に描いた紛れもないフェミニズム映画であり、過酷な現実を生き抜いた女同士の連帯を示す展開は感動的。
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『三文オペラ Die 3 Groschen-Oper(111分/トーキー)』
- 上映スケジュール
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公開:1931年
監督:G・W・パプスト
出演:ルドルフ・フォルスター、カローラ・ネイベル、ラインホルト・シュンツェル、フリッツ・ラスプ、ヴァレスカ・ゲルト、ロッテ・レーニヤ、ウラジミール・ソコロフ
トーキー最初期の音楽劇でクルト・ヴァイルの印象的なメロディと猥雑な歌詞が大恐慌後の荒んだ時代の雰囲気をスクリーンに横溢させる。ギャングのボス・メッキ―と乞食の元締めが肥え太るロンドン。クライマックスの戴冠式に詰めかける乞食たちの行進も素晴らしい。
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『炭鉱 Kameradschaft(89分/トーキー)』
- 上映スケジュール
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公開:1931年
監督:G・W・パプスト
出演:アレクサンダー・グラナック、エルンスト・ブッシュ、グスタフ・プッティヤー、ダニエル・マンダイユ
仏独をまたぐ炭鉱の仏側でガス漏れによる落盤事故が起こり、それを知った独炭鉱夫が駆け付ける。1906年に起こった事故を第一次大戦後に時代を置き換え映画化。火災や崩落の轟音、生き残った者が配管を叩く音が恐ろしい。敵だった者たちが炭鉱夫同士という理由で命をかける。明確な反戦映画だが、ラストシーンが現実の残酷さを突き付ける。
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『フォーゲルエート城 Schloß Vogelöd(81分/サイレント)』
- 上映スケジュール
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公開:1921年
監督:F・W・ムルナウ
出演:アーノルド・コルフ、ルル・コルフ、ロータル・メーナート、ポール・ハートマン
ムルナウの現存する最も初期の作品で、キャリアを紐解くうえで重要。原作ものの通俗ミステリーだが、フラッシュバックを多用して意外な真相を明かしていくカール・マイヤーの脚本が冴える。また『カリガリ博士』『吸血鬼』(ドライヤー)などを手掛けた美術のヘルマン・ヴァルムによる、シンメトリーを意識した端正な様式美が素晴らしい。
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『ファントム Phantom(120分/サイレント)』
- 上映スケジュール
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公開:1922年
監督:F・W・ムルナウ
出演:アウド・エゲーデ=ニッセン、アルフレート・アーベル、リア・デ・プッティ
令嬢に一目惚れした詩人志望のロレンツは、令嬢に瓜二つの娼婦に貢ぐため叔母から金を借りるが…。恋を知って堕ちていく純粋君の精神崩壊が、倒れてくる街並み、渦巻く階段などのシーンで表現される。馬車を走らせる令嬢のイメージも印象的。貧困、病気、失恋、売春、犯罪など現実的問題を描きながら、映画全体が夢の中のよう。都合良すぎるラストを含め、どこからがファントム(幻影)なのかの解釈は観る人しだい。
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『吸血鬼ノスフェラトゥ Nosferatu(95分/サイレント)』
- 上映スケジュール
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公開:1922年
監督:F・W・ムルナウ
出演:マックス・シュレック、アレグザンダー・グラナッハ、グスタフ・フォン・ヴァンゲンハイム
版権の問題で「ドラキュラ」が使えなかったことでも有名な初の吸血鬼映画であり、ドイツ表現主義映画の代表作。後のダンディなイメージとはかけ離れたグロテスクな風貌で、鼠を従え黒死病と共に現れるノスフェラトゥは、まさに死の象徴であり恐怖の体現者である。
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『最後の人 Der Letzte Mann(89分/サイレント)』
- 上映スケジュール
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公開:1924年
監督:F・W・ムルナウ
出演:エミール・ヤニングス、マリー・デルシャフト、マックス・ヒラー、エミリー・クルツ、ハンス・ウンターキルヒェン
字幕が最小限に抑えられ映像表現だけで物語を語るドイツ表現主義の代表作の一つで、名優エミール・ヤニングスが老いることの残酷さ、失墜した権威の惨めさを文字通り体現する。冒頭の傘と車が行きかう大雨のシーン、フェードで扉を超えるなど映像トリックも素晴らしい。
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『大公の財政 Die Finanzen des Großherzogs(77分/サイレント)』
- 上映スケジュール
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公開:1924年
監督:F・W・ムルナウ
出演:ハリー・リートケ、アルフレッド・エイベル、マディ・クリスチャンズ、アドルフ・エンゲルス、ユリウス・ファルケンシュタイン、イルカ・グルーニング
人民思いだが無能な大公、彼を失脚させたい悪人、大公と結婚したいロシア公女、結婚を邪魔する公女の兄、革命分子、そして謎の教授!関係者の思惑が交錯するムルナウの軽妙な喜劇で、アクションや写実的描写が楽しい。海水浴する子供、屋敷内ドッグ・レース、そしてロシア軍が上陸する素晴らしいシーンが印象的。連続絞首刑にも笑う。
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『タルチュフ Herr Tartüff(63分/サイレント)』
- 上映スケジュール
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公開:1926年
監督:F・W・ムルナウ
出演:エミール・ヤニングス、ヘルマン・ピヒャ、ローザ・ヴァレッティ、アンドレ・マットーニ、ベルナー・クラウス、リル・ダゴファー、ルチー・ヘーフリッ
家政婦に騙され遺産を奪われそうな老人。俳優の孫は映画によって真実を知らせようとする。モリエールの戯曲『タルチュフ』を下敷きにした偽善をめぐる寓話的作品。映画内映画や観客への語りかけといった試み、陰影に富んだカメラ、クローズアップと事物を交互に配置する編集も素晴らしい。エミール・ヤニングス演じる偽善者や家政婦の悪者らしい顔の造形が完璧。「映画は人を救う」を大真面目に試みるムルナウに脱帽!
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『ファウスト Faust(107分/サイレント)』
- 上映スケジュール
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公開:1926年
監督:F・W・ムルナウ
出演:エスタ・エクマン、エミール・ヤニングス、カミルラ・ホルン、ウィリアム・ディターレ、フリーダ・リヒャルト、イヴェット・ギルベール
ムルナウのウーファ最後の作品。ドイツ表現主義の演出技法と特殊撮影が素晴らしく、ラストに向かって進んでいく圧倒的な力技に魅せられる一作。ヤニングス演じるメフィストがチャーミングで、コメディ・リリーフも担っている。若返って調子に乗ったファウストに使役されているように見えて、最後は悪魔の凄みを発揮するのだ
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『サンライズ Sunrise:A Song of Two Humans(95分/サイレント)』
- 上映スケジュール
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公開:1927年
監督:F・W・ムルナウ
出演:ジョージ・オブライエン、ジャネット・ゲイナー、マーガレット・リヴィングストン、ボディル・ロージング、J・ファーレル・マクドナルド
朴訥な農夫が都会女にたぶらかされて妻を殺そうとするが…。撮影や画面構成によって、心の葛藤と愛の勝利を見事に表現したサイレント映画の金字塔。牧場や湖、大都会のビルや遊園地など全てがセット!湖上の嵐、森を抜けて走る路面電車が忘れがたい「世界一美しい映画」(トリュフォー)。
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『都会の女 City Girl(89分/サイレント)』
- 上映スケジュール
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公開:1930年
監督:F・W・ムルナウ
出演:チャールズ・ファーレル、メアリー・ダンカン、デイヴィッド・トーレンス、エディス・ヨーク、トム・マクガイアー、マージョリー・ビーブ、ディック・アレクサンダー
都会の殺伐とした暮らしに疲れた女が田舎から来た純朴な男に出会う。結婚して田舎へ向かう二人。田舎への幻想が幻滅に変わる時、都会の女はどう決断するのか!? 二人が麦畑を走るシーンの幸福感と麦の収穫シーンの迫力。ムルナウによる横移動撮影の技量はまさに完璧。
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『暗黒街 Underworld(81分/サイレント)』
- 上映スケジュール
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公開:1927年
監督:ジョセフ・フォン・スタンバーグ
出演:ジョージ・バンクロフト、イヴリン・ブレント、クライヴ・ブルック、フレッド・コーラー、ヘレン・リンチ、ラリー・シーモン、ジェリー・マンディ
スタンバーグ監督による犯罪メロドラマの最高傑作、クライマックスは涙なくして観られない。友情と愛情の相克を描いたギャングスタ・ノワールで、『暗黒街の顔役』や『リオ・ブラボー』などホークスへの影響も感じられる一作。
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『最後の命令 The Last Command(89分/サイレント)』
- 上映スケジュール
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公開:1928年
監督:ジョセフ・フォン・スタンバーグ
出演:エミール・ヤニングス、イヴリン・ブレント、ウィリアム・パウエル、ニコラス・スーサニン、マイケル・ヴィサロフ、ジャック・レイモンド、フリッツ・フェルド
ロシア人監督が撮るハリウッド大作の将校役に抜擢された老人。ハリウッドに流れ着いた彼の過去をたどることで、ロシア帝政と革命の相克を描く。国を愛していた将軍と革命闘士が、政治を離れて初めて人間として認め合う感動と無残。スタンバーグのサイレント期の代表作で、ヤニングスが第一回アカデミー主演男優賞を受賞した傑作。
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『紐育の波止場 The Docks of New York(76分/サイレント)』
- 上映スケジュール
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公開:1928年
監督:ジョセフ・フォン・スタンバーグ
出演:ジョージ・バンクロフト、ベティ・コンプソン、オルガ・バクラノヴァ、クライド・クック、ミッチェル・ルイス、グスタフ・フォン・セイファーティッツ
紐育の波止場に一晩停泊した貨物船。火夫のビルは港に身投げした酒場の女メイを助け、勢いで結婚式を挙げたのだが…。社会の底辺で刹那的に生きる男女が、微かに残る純情に突き動かされる姿に胸を打たれる。カメラと照明が素晴らしく、船の窯焚き、夜の霧など忘れられないシーンに満ちたサイレント最後の名作。
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『間諜X27 Dishonored(91分/トーキー)』
- 上映スケジュール
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公開:1931年
監督:ジョセフ・フォン・スタンバーグ
出演:マレーネ・ディートリッヒ、ヴィクター・マクラグレン、グスタフ・フォン・セイファーティッツ
第一次大戦中、祖国を愛する娼婦が「間諜X27」として諜報部に雇われる。だが敵国ロシアの諜報部員と許されざる恋に落ちてしまい…。マタ・ハリのごとく美貌を武器に女スパイとして働くディートリッヒに目が眩む。“ドナウ川のさざなみ”のメロディがもの悲しい、美しく切ない傑作戦争メロドラマ!
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『上海特急 Shanghai Express(82分/トーキー)』
- 上映スケジュール
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公開:1932年
監督:ジョセフ・フォン・スタンバーグ
出演:マレーネ・ディートリッヒ、クライヴ・ブルック、アンナ・メイ・ウォン
北京から上海へ向かう列車に乗り込んだ陸軍将校ハーヴェイは、かつての恋人で今は高級娼婦の上海リリーと再会するが、列車は中国政府と革命軍の内乱に巻き込まれていく。黒いドレスをはじめとする美しい衣装や撮影技術でディートリッヒの妖艶さを最大限引き出した。アンナ・メイ・ウォンとの共演も見どころ。
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『恋のページェント The Scarlet Empress(104分/トーキー)』
- 上映スケジュール
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公開:1934年
監督:ジョセフ・フォン・スタンバーグ
出演:マレーネ・ディートリッヒ、ジョン ロッジ、サム・ジャッフェ、ルイーズ・ドレッサー、C・オーブリー・スミス
ロシア大公に嫁いだ10代半ばのドイツ人少女が、啓蒙君主の代表であり300人の愛人がいたと言われるエカテリーナ2世になるまでを猛スピードで描く。さすがに少女に見えないディートリッヒだが、「ここで生き抜く」と決め、クーデターで自ら馬で乗り込み玉座に着く姿は超絶美しい!ロシア宮廷の変態性が奇怪な装飾で表現されているのも良い。
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『罪と罰 Crime And Punishment(88分/トーキー)』
- 上映スケジュール
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公開:1935年
監督:ジョセフ・フォン・スタンバーグ
出演:ピーター・ローレ、エドワード・アーノルド、マリアン・マーシュ、タラ・ビレル、ロバート・アレン、ダグラス・ダンブリ
原作のイメージと全く異なるピーター・ローレがラスコーリニコフを演じる!スタンバーグは本作を気に入らなかったというが、「罪と罰」の精神を維持しながら、サスペンスと心理劇を合体させることに成功している。ローレの演技はもちろん素晴らしい!
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『アナタハン Anatahan(92分/トーキー)』
- 上映スケジュール
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公開:1953年
監督:ジョセフ・フォン・スタンバーグ
出演:根岸明美、中山昭二、菅沼正、沢村紀三郎、近藤宏、藤川準、宮下昭三、尾上菊次、坂東鶴右衛門、杵屋六里郎、田村大二郎、喜多川隆、鈴木武、細倉志朗
第二次世界大戦中、絶海の孤島に一人の女性と三十一名の男が取り残された「アナタハンの女王事件」を映像化。十三人の男が死亡したことで世界的に有名になりハリウッドで映画化された。恵子をめぐるバトルはそこまで熾烈ではなく、アメリカではヒットしたのに日本では当たらなかった。特殊効果に円谷英二。伊福部昭の音楽は印象的で、特に繰り返される沖縄民謡が頭から離れない。
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『カール・マイヤー無字幕・悲劇三部作(計175分/サイレント)』
- 上映スケジュール
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公開:1900年
『破片 Scherben 』65分/デジタル/1921年
監督:ルプ・ピック/出演:ウェルナー・クラウス 、ヘルミーネ・シュトラウスマン=ウィット、エディット・ポスカ、パウル・オットー
脚本家カール・マイヤーによる無字幕・室内悲劇三部作の第一作。踏切番の元に届いた「監査官が向かうので家に宿泊させよ」との電信。それがきっかけで2人の人間が死に、生き残った者も絶望の底に突き落とされる。たった5日間で崩壊した一家の運命を、風で破れたガラス破片が予言しているようだ
『裏階段 Hintertreppe』50分/デジタル/1921年
監督:レオポルド・イェスナー、パウル・レニ/出演:フリッツ・コルトナー、ヘニー・ポーテン、ウィリアム・ディターレ
無字幕・室内悲劇第二作。階上に住む中産階級一家の女中と、半地下に住む手が不自由な郵便配達夫。恋人(ウィリアム・ディターレが演じている)が去り傷心の女中を慰めようと、配達夫がとった行動が悲劇を引き起こす。アリの巣のような建物と、二人を結ぶ薄暗い裏階段が強烈な印象を残す。早逝の天才パウル・レニの初期の傑作。陰惨な悲劇が光と影の映像言語で語られていく。
『除夜の悲劇 Sylvester』60分/35mm/1921年
監督:ルプ・ピック/出演:オイゲン・クレプファー、エディット・ポスカ、フリーダ・リチャード
無字幕・室内悲劇の第三部であり完璧主義が極まった傑作。酒場を経営する夫婦が大晦日に夫の母親を招く。ところが酒場と隣り合う食堂で嫁姑の諍いが勃発し…。喧噪の魔都ベルリンのシーンが頻繁に挿入され、小さな食堂で起こる悲劇との対比が強調される。義母の唐突な怒りと、何故かインサートされる海のシーンが怖すぎる。
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03-3461-7703
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