近日上映予定
日常と戦争そして旅 ウクライナ・ジョージア・ソ連映画
2023/08/26 ~ 2023/09/22
青春映画、戦争映画、ロード・ムーヴィー…。人々の生きる姿を描いた作品を上映。
※本特集で上映いたします年代の古い作品におきまして、画・音声共にお見苦しい点が多々ございます。
あらかじめご了承の上、ご覧頂きますようお願い申し上げます。
上映予定作品一覧(全25本)
『カメラを持った男』
『戦艦ポチョムキン』
『掟によって』
『帽子箱を持った少女』
『国境の町』
『幸福』
『青い青い海』
『十三人』
『新しいモスクワ』
『夢』
『一年の九日』
『私はモスクワを歩く』
『怒りのキューバ』
『野獣たちのバラード』
『戦火を越えて』
『嘆くな!』
『ルカじいさんと苗木』
『想い出の夏休み』
『処刑の丘』
『秋のマラソン』
『新しい家族』
『ごめんなさいアリョーシャ』
『白い鳩』
『メッセンジャー・ボーイ 』
-
『チェス狂(20分/サイレント)』
- 上映スケジュール
-
公開:1925年
監督:フセヴォロド・プドフキン
出演:ウラジーミル・フォーゲリ、アンナ・ゼムツォワ、セルゲイ・コマロフ、ヤーコフ・プロタザーノフ、ユーリー・ライズマン
寝ても覚めてもチェスのことが頭から離れず、服装にまでついチェック柄を取り入れてしまうチェス狂の日々を描いた短編サイレント喜劇。「結婚生活の一番の敵は、チェスだ」の言葉に納得。チェス好きなナボコフもカメオ出演している!(併映作品:『カメラを持った男』)
-
『カメラを持った男(68分/サイレント)』
- 上映スケジュール
-
公開:1929年
監督:ジガ・ヴェルトフ
多重露光、コマ落としなど、様々な技法を使った映像で有名な前衛映画。ジガ・ヴェルトフは、ストーリーや役者やセットを使用せず、ありのままの事物をカメラで捉えることで、映画特有の体験を観客に提示できると唱えた。後にゴダールが、「ジガ・ヴェルトフ集団」という映像結社を作ったことでも知られている。(併映作品:『チェス狂』)
-
『戦艦ポチョムキン(71分/サイレント)』
- 上映スケジュール
-
公開:1925年
監督:セルゲイ・M・エイゼンシュテイン
出演:アレクサンドル・アントノーフ、グリゴリー・アレクサンドロフ、ウラジミール・バルスキー
1905年夏。黒海沖の巡洋艦ポチョムキン号の水兵たちは、非人間的な命令を強いる上官に対して反乱を起こしオデッサの港へ寄港するが、やがて軍隊が押し寄せ大虐殺が繰り広げられる。エイゼンシュテインの代表作にしてサイレント時代の最高傑作という呼び名の高い作品。オデッサの階段を乳母車が転げ落ちていくシーンは余りにも有名。
-
『掟によって(80分/サイレント)』
- 上映スケジュール
-
公開:1926年
監督:レフ・クレショフ
出演:ウラジーミル・フォーゲリ、アレクサンドラ・ホフローワ、セルゲイ・コマロフ、ポルフィーリー・ポドベード
ゴールドラッシュでユーコン川流域に定住した5人。金採掘会社の4人と離れて犬とテントで暮らす下働きのアイルランド人が金を見つけるが…。自社工房による低予算映画ながら、大自然と小さな小屋だけでダイナミックなドラマを作り上げたクレショフが、自身の最高傑作と自負する一本。アメリカ映画とは一線を画すショットとモンタージュ、そしてドイツ表現主義的な演技が特徴的。ジャック・ロンドン原作らしく、犬が重要な役割を演じている。
-
『帽子箱を持った少女(66分/サイレント)』
- 上映スケジュール
-
公開:1927年
監督:ボリス・バルネット
出演:アンナ・ステン、イワン・コワリ=サムボルスキー、ウラジーミル・フォーゲリ、セラフィーマ・ビルマン
帽子職人のナターシャはモスクワに行く列車の中で貧しい学生イリヤと出会う。彼の部屋を確保するため偽装結婚する作戦を思いつき…。キュートなヒロイン(アンナ・ステン)が転んだり怒ったりキスをせがんだり。帽子箱をうまく使ったギャグも楽しい。映画の貴公子ボリス・バルネット若干25歳時の傑作サイレント。国債を売るための宣伝映画でもある。
-
『国境の町(97分)』
- 上映スケジュール
-
公開:1933年
監督:ボリス・バルネット
出演:エレーナ・クジミナ、セルゲイ・コマーロフ、ハンス・クレーリング
帝政ロシアとドイツとの国境の町に第一次大戦とロシア革命の波が押し寄せる。壊れる友情もあれば戦地で生まれる交流もあり、靴職人の捕虜に手を差し伸べる職人もいる。カットバックされる靴用ミシンと機関銃が、大量の軍靴と死体の山の対比に繋がっていく。本当の敵とは誰なのか。プロパガンダ映画でありながらプラウダ紙に否定されたというバルネットの初トーキー作品。
-
『幸福(65分)』
- 上映スケジュール
-
公開:1934年
監督:アレクサンドル・メドヴェトキン
出演:エレーナ・エゴロワ、ピョートル・ジノヴィエフ
クリス・マルケルが発見した30年代ソビエト映画の巨匠メドヴェトキンの傑作。革命と集団農業の嵐の中、本当の“幸福”を求めてさまよう貧農を描いたブラック・コメディ。シュールなギャグ、スイカ大砲、足が生えた家…。皮肉に満ちた一作だが、オチで巧みに検閲を免れた。エイゼンシュタインにも高く評価された一作。
-
『青い青い海(69分)』
- 上映スケジュール
-
公開:1935年
監督:ボリス・バルネット
出演:ニコライ・クリューチコフ、レフ・スヴェルドリン、エレーナ・クジミナ
嵐で船が難破し小島に流れ着いたアリョーシャとユスフは、漁村コルホーズのマーシャに同時に一目惚れするが…。浜辺で歌うマーシャ、スローモーションで砕け散る真珠、家に交互に出入りする2人の男など印象的な映像が多く、特にカスピ海の描写が素晴らしい。ゴダールやリヴェットが愛した瑞々しい一本。
-
『十三人(82分)』
- 上映スケジュール
-
公開:1937年
監督:ミハイル・ロンム
出演:イヴァン・ノボセルツェフ、エレーナ・クジミナ、アレクサンドル・チスチャコフ、アンドレイ・ファイト 、 イヴァン・クズネツォフ
画面いっぱいの砂漠の上部のすき間に兵士たちを配置した極端な構図など、ロンムの美意識に圧倒される。13人の赤軍vs200人の敵。そして渇きが人を狂気に陥れる。スターリンが『肉弾鬼中隊』(フォード)を気に入りリメイクを命じたという。ロンムのオリジナルである井戸水をめぐる交渉場面が抜群に面白く、本作のリメイク『サハラ戦車隊』(ゾルタン・コルダ)でも見せ場となっている。
-
『新しいモスクワ(77分)』
- 上映スケジュール
-
公開:1938年
監督:アレクサンドル・メドヴェトキン
出演:ダニイル・セーガル、ニーナ・アリソワ、マリヤ・バラバノワ
沼地の開拓団が、新しいモスクワ建設を映す装置を発明。技師のアリョーシャと監視役の祖母が装置を持って上京するが…。沼地に溢れる蚊、子豚を連れた女学生、カーニバル、恋。キュートでユーモアに溢れたエピソード満載の楽しい作品だが、ラストはいつもの共産主義賛歌で終わる。なのに作中の「新しいモスクワ」がスターリンの怒りを買いフィルムはお蔵入りに。いったい何故なのか!?
協力:梶山祐治、伊藤愉、奈倉有里
-
『夢(100分)』
- 上映スケジュール
-
公開:1943年
監督:ミハイル・ロンム
出演:エレーナ・クジミナ、ウラジミール・ソロヴィヨフ
ポーランド支配下のウクライナの街。下宿の女中とレストランのクロークをしている田舎出の女性と、周囲の人々の暮らしを描いた群像劇。吝嗇な女主人と無職の中年息子、新聞に花婿募集広告を出す女性、反政府活動に走る若者。俳優たちの顔のクローズアップが人間の哀しさと可笑しさを暴き出すようなロンムの知られざる傑作。本作についてロンムは、トルストイやバルザックのような“人間の運命の研究”と語っている。
-
『一年の九日(108分)』
- 上映スケジュール
-
公開:1961年
監督:ミハイル・ロンム
出演:アレクセイ・バターロフ、インノケンティ・スモクトゥノフスキー、タチアナ・ラヴロワ、ニコライ・プロートニコフ、ニコライ・セルゲニフ
放射能実験で余命わずかと知りつつ実験に取り組む夫とその妻、そして恋敵でもある親友。物理学者たちの三角関係に科学者の苦悩が重ね合わせられる。一年のうちの九日だけを描くという実験的構成、緊張感溢れるカメラワークが素晴らしい。
-
『私はモスクワを歩く(74分)』
- 上映スケジュール
-
公開:1963年
監督:ゲオルギー・ダネリヤ
出演:ガリーナ・ポリスキーフ、アレクセイ・ロクテフ、ニキータ・ミハルコフ、エフゲニー・ステブロフ
モスクワに立ち寄った小説を書く青年と都会の青年が出会い…。若者たちの一日を丁寧に綴ったダネリヤ監督による傑作。空港で踊る女性、夏の雨、レコード店、地下鉄のエレベーター。全てのショットが瑞々しく、大ヒットしたという音楽もキュート。ヌーヴェルヴァーグを思わせる珠玉の青春映画。
-
『怒りのキューバ(108分)』
- 上映スケジュール
-
公開:1964年
監督:ミハイル・カラトーゾフ
出演:セルヒオ・コリエッリ、サリヴァドル・ウッド、ホセ・ガリアルド
革命前の抑圧された人々の物語をオムニバス形式で綴った、キューバ・ソ連合作による革命記念国策映画。ソ連のスタッフと予算を存分に生かした驚くべきシーンやカメラワーク、息をのむ美しさのモノクロ映像によって伝説となった傑作。スコセッシやコッポラを始め、本作を絶賛する多くの映画人の尽力により西側での公開が実現、再評価されるに至った。
-
『野獣たちのバラード(125分)』
- 上映スケジュール
-
公開:1965年
監督:ミハイル・ロンム/日本語解説版ナレーション:宇野重吉
膨大なニュースフィルムや記録映像からナチスの残虐性を炙り出したドキュメンタリー。人間が思考を放棄した時に起こる「ありふれたファシズム(原題でもある)」を告発したミハイル・ロンム監督の遺作。チャップリン『独裁者』とも比肩される傑作であり、ファシズムの芽は誰の心の中にもあることを明らかにした。
-
『戦火を越えて(90分)』
- 上映スケジュール
-
公開:1965年
監督:レゾ・チヘイーゼ
出演:セルゴ・ザカリアッゼ、ケテワン・ボチョリシヴィリ、ウラジミール・プリワツェフ、アレクサンドル・レベデフ
従軍中の息子が怪我をしたと聞いた父親が戦場に見舞いに行ってしまうロードムービー。農夫の父親が気が付けばベルリンにいて鉄砲背負って走っているという展開は、コミカルながら手に汗握る面白さ。天然な父親のキャラも素晴らしく、家族愛が全編に溢れる。
-
『嘆くな!(94分)』
- 上映スケジュール
-
公開:1969年
監督:ゲオルギー・ダネリヤ
出演:ヴァフタング・キカビッゼ、セルゴ・ザカリアッゼ、アナスタシヤ・ヴェルチンスカヤ、ソフィコ・チアウレリ
19世紀終わりのグルジアの村。貧しいが村人と楽しく暮らしていた医者のベンジャミンに、裕福な町医者の娘との結婚話が持ち上がり…。機会があれば(なくても)飲んで踊ってフザケ合うおじさんたちが可愛い宴会映画。タルコフスキー組のワジーム・ユーソフが撮影を担当。
-
『ルカじいさんと苗木(92分)』
- 上映スケジュール
-
公開:1973年
監督:レゾ・チヘイーゼ
出演:ラマーズ・チヒクワーゼ、ミシコ・メスヒ
昔あった幻のナシの苗木を探して50年ぶりに村を出たルカじいさんと10歳の孫のロードムービー。人々との暖かい交流や珍しいグルジア文化だけでなく、変わりゆく暮らしと伝統に直面するルカじいさんの現実をも直視している。“失われていくもの”への哀悼と“本当に大事なもの”への気づきを観る者に突きつける名作。
-
『想い出の夏休み(92分)』
- 上映スケジュール
-
公開:1975年
監督:セルゲイ・ソロヴィヨフ
出演:ボリス・トカレフ、タチヤーナ・ドルバチ、イリーナ・マルイシェワ、ユーリー・アギーリン
初恋と失恋、諍いと和解。少年少女たちのひと夏のキャンプ生活を綴った青春映画。大人になりつつある思春期の傷つきやすい心情と去りゆく幼き日への郷愁を瑞々しく描きベルリン国際映画祭銀熊監督賞(最優秀監督賞)を受賞した。撮影は『アンナ・カレーニナ』『赤いテント』のレオニード・カラーシニコフ。
-
『処刑の丘(110分)』
- 上映スケジュール
-
公開:1976年
監督:ラリーサ・シェピチコ
出演:ボリス・プロートニコフ、ウラジーミル・ゴスチューヒン、アナトリー・ソロニーツィン
1942年冬。雪深い山に逃げ込んだパルチザンがドイツ軍に捕まり…。現実主義者と理想主義者の二人のパルチザンと、ドイツの協力者となった元教師の審問官。三人の異なるキャラクターが絡まり合い凄絶なラストへとつながる。ソヴィエトで最も偉大な女性映画監督で41歳でなくなったシェピチコのベルリン金熊賞受賞作であり、夫クリモフの『炎628』に匹敵する傑作。
-
『秋のマラソン(92分)』
- 上映スケジュール
-
公開:1979年
監督:ゲオルギー・ダネリヤ
出演:オレーク・バシラシヴィーリ、ナターリヤ・グンダレヴァ、マリーナ・ネヨーロヴァ、エフゲニー・レオーノフ
翻訳家で大学講師のアンドレイはタイピストと不倫中。やむなくついた嘘が事態を悪化させ…。妻、娘、愛人、仕事がどんどん破綻するも、デンマーク人の友達とのマラソンは続く、というゆるゆるおじさんコメディ。朝からウォッカを飲んでキノコ狩りに誘う困った隣人を演じるエフゲニー・レオーノフはさすがの存在感。
-
『新しい家族(97分)』
- 上映スケジュール
-
公開:1981年
監督:イスクラ・バービッチ
出演:アレクサンドル・ミハイロフ、ピョートル・グレーボフ、ヴェーラ・アリホフスカヤ、イリーナ・イワーノワ、ミハイル・ブズイリョフ・クレツォ、ピョートル・クルイロフ、アナトリー・ソロニーツィン、A・パブロフ
15年ぶりに故郷に戻ったパーヴェルは、昔の恋人が自分の娘を生んでいたことを知る。元カノが亡くなり娘を引き取ることにしたパーヴェルだったが、さらに弟二人と犬まで一緒に付いてきて…。親子や男女の情愛など崩れつつあるものを取り戻した人間の再生を描き、国内外で高い評価を受けたヒューマン・ドラマ。
-
『ごめんなさいアリョーシャ(90分)』
- 上映スケジュール
-
公開:1984年
監督:イスクラ・バービッチ
出演:イゴール・マリチェフ、オルガ・コチェトコワ、フョードル・スホフ
18歳のアリョーシャは瀕死の妊婦を助けるが…。母親は逃亡、父親はロクデナシ、アリョーシャは赤ん坊を見捨てられず家に連れて帰ることに。果たして赤ん坊の運命は!? お人好しのアリョーシャを通して、望まない妊娠、階級格差、孤独など今もある問題が浮かび上がる。美しい音楽や風景、家族愛、犬に心癒される青春映画でもある。
-
『白い鳩(99分)』
- 上映スケジュール
-
公開:1986年
監督:セルゲイ・ソロヴィヨフ
出演:ヴャチスラフ・イリュシチェンコ、リュボミラス・ラウツャヴィチュス、リュドミーラ・サヴェーリエワ、スルタン・バポフ、イリヤ・イワノフ
宇宙飛行士が回想する少年時代。田舎に家族疎開し、貧しい暮らしの中で母を亡したワーニャの心の支えは一羽の白い鳩だったが…。大空に羽ばたく白い鳩、鳥小屋の窓から差し込む陽射し、壁に反射する雨、暗闇を照らすマッチの炎。素晴らしい撮影は『神々のたそがれ』のユーリー・クリメンコによるもの。
-
『メッセンジャー・ボーイ (87分)』
- 上映スケジュール
-
公開:1986年
監督:カレン・シャフナザーロフ
出演:フョードル・ドゥナエフスキー、インナ・チュリコワ、アナスタシア・ネモリャーエワ
17歳のイワンは高校を卒業したものの受験に失敗し、そのうえ両親は離婚。社会勉強のため雑誌社でメッセンジャー・ボーイとして働き始めるが…。新しい時代の若者を軽やかに描いたユーモラスな青春ドラマで、『ゼロシティ』で広く知られるようになるカレン・シャフナザーロフの初期代表作。
新着情報
一覧を見る- 2024/11/06
- 「デトレフ・ジールクからダグラス・サークへ」トークショーのお知らせ
- 2024/11/06
- テレビドラマ作品についてのお知らせ
- 2024/10/30
- 当館紹介記事のお知らせ
- 2024/10/12
- 特集「安西郷子生誕90年&新東宝特集」のフィルム状態について
- 2024/09/17
- 特集「生誕100年 スタイリッシュ石井輝男」トークショーと舞台挨拶のお知らせ
- 2024/09/06
- 「チラシ送付あり会員」料金改定のお知らせ
- 2024/08/22
- 「ショットとは何か 歴史編」刊行記念 映画 ショット 歴史
- 2024/08/14
- 特集「カメラの両側で… アイダ・ルピノレトロスペクティブ」トークショーのお知らせ
- 2024/08/12
- 特集「家族たちの戦争」上映素材について
アクセス
〒150-0044
東京都渋谷区円山町1‐5
KINOHAUS(キノハウス) 4F
03-3461-7703
東京都渋谷区円山町1‐5
KINOHAUS(キノハウス) 4F
03-3461-7703