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近日上映予定

  • 溝口健二ふたたび

  • 2013/05/18 ~ 2013/06/07

最新の溝口健二著作集の刊行を祝して!
5月18日より、当館にて先行発売いたします。

※『瀧の白糸』『虞美人草』『愛怨峡』は16mmでの上映です。
※『ふるさとの歌』『藤原義江のふるさと』は特別上映・一本立て・1000円均一です。くわしくは、新着情報の欄をご参照ください。

  • 上映予定作品一覧(全20本)

ふるさとの歌
浪華悲歌
藤原義江のふるさと
瀧の白糸(16mm)
虞美人草(16mm)
祇園の姉妹
愛怨峡(16mm)
残菊物語
元禄忠臣蔵 前篇
元禄忠臣蔵 後篇
雪夫人絵図
お遊さま
西鶴一代女
雨月物語
祇園囃子
山椒大夫
噂の女
近松物語
赤線地帯
ある大阪の女
  • 『ふるさとの歌』

  • ふるさとの歌 上映スケジュール
  • 公開:1925年
    出演:木藤茂、高木桝次郎、伊藤寿栄子、辻峰子、川又賢太郎、加藤司郎、松本静江、橘道子、宇田川寒待、川田弘道、柴山一郎、三桝豊、星フサ子、市川春衛、三田実
    東京から故郷に戻ってきた青年が、学問を捨て農業に勤しむ姿を描く。文部省が日活に製作を委託した作品で、都会生活よりも郷土愛を説く主人公の学生の姿にはプロパガンダ的要素も見られる。現存するもっとも初期の溝口作品。

  • 『浪華悲歌』

  • 浪華悲歌 上映スケジュール
  • 公開:1936年
    出演:山田五十鈴、梅村蓉子、大倉千代子、大久保清子、浅香新八郎、志賀廼家弁慶、進藤英太郎、田村邦男、竹川誠一、原健作、滝沢静子、橘光造、志村喬、小泉嘉輔
    会社の金を横領した父のため社長の妾になったアヤ子は、次に兄の学費のため美人局を演じ警察に捕まってしまう。家族に責められ、恋人の裏切りにあったアヤ子は、悲しみと怒りと絶望の果てに…。立ちふさがる酷薄な社会、そして冷たい家族。それらと毅然と対峙する女性像を乾いた描写で描き、日本映画に初めてリアリズムを確立した作品。溝口初期の傑作であり、溝口-依田の名コンビ第一作。

  • 『藤原義江のふるさと』

  • 藤原義江のふるさと 上映スケジュール
  • 公開:1930年
    出演:藤原義江、夏川静江、小杉勇、土井平太郎、村田宏寿、田村邦男、浜口富士子、入江たか、津守精一、北原夏江、佐久間妙子、小西節子、津島ルイ子、大野求、伊藤和夫、マキシム・シャピロ、リディア・シャピロ
    交通事故で大怪我を負ったことがきっかけで、悪徳マネージャーや金持ちパトロンとの関係を考え直し、妻の真実の愛に目覚める声楽家の姿を描く。ラストは、日比谷野外音楽堂でのコンサート。「我らがテナー」として親しまれたオペラ歌手・藤原義江を主演に迎えたパート・トーキー作品で、新しもの好きな溝口は日活初のトーキー映画にいち早く名乗りを上げた。

  • 『瀧の白糸(16mm)』

  • 瀧の白糸(16mm) 上映スケジュール
  • 公開:1933年
    出演:入江たか子、岡田時彦、村田宏寿、菅井一郎、見明凡太郎、滝鈴子、浦辺粂子、大泉浩二、川瀬隆司、小坂信夫、沖悦二、大原譲、田中筆子
    水芸で大当たりをとる美貌の女芸人「滝の白糸」は、法律家を目指す馬丁の欣弥に思いを寄せている。ある日、欣弥のための金を騙し取られた白糸は、心ならずも犯罪者となり…。残酷でエロティックな描写があるとして、検閲で切られた作品として有名。女が男の立身出世のため犠牲になるという溝口映画の特徴ともいえる語り口は、この後も『折鶴お千』『残菊物語』へと引き継がれる。

  • 『虞美人草(16mm)』

  • 虞美人草(16mm) 上映スケジュール
  • 公開:1935年
    出演:夏川大二郎、月田一郎、武田一義、大倉千代子、二条あや子、寺島貢、根岸東一郎、梅村蓉子、三宅邦子、岩田祐吉、小泉嘉輔
    大学の研究室の助手の小野は、恩人の娘・小夜子と婚約している。だが家庭教師をしている藤尾の誘惑に抗えない小野は、そのことで苦しみ…。夏目漱石の原作で名高い驕慢で魅力的なヒロイン・藤尾に対し、対照的に清純で控えめな小夜子を中心に置いた溝口は、小野の小夜子に対する裏切りと回帰に焦点を当てた作品に作り上げた。

  • 『祇園の姉妹』

  • 祇園の姉妹 上映スケジュール
  • 公開:1936年
    出演:山田五十鈴、梅村蓉子、志賀廼家弁慶、久野和子、大倉文男、進藤英太郎、深見泰三、いわま桜子、林家染之助、葵令子、滝沢静子、橘光造、三桝源女
    芸だけでなく体も売る祇園乙部を舞台に、女を慰み物にする男を逆に手玉に取ろうとする妹・おもちゃと、男に尽くす昔気質の姉・梅吉という正反対の芸妓姉妹の姿を描く。ふてぶてしさと色香を併せ持つ19歳の山田五十鈴の凄さもさることながら、男の身勝手さ卑小さを表現した志賀廼家弁慶と新藤英太郎の演技が素晴らしい。溝口作品の中でもユーモアセンスが光る傑作。

  • 『愛怨峡(16mm)』

  • 愛怨峡(16mm) 上映スケジュール
  • 公開:1937年
    出演:山路ふみ子、河津清三郎、清水将夫、三桝豊、明晴江、加藤清一、田中春男、野辺かほる、浦辺粂子、大泉慶治、菅井一郎、大友壮之助、大川修一、鳥橋弘一、田中筆子、上田寛、ジョー・オハラ、奈美乃一郎、滝鈴子
    信州の旅館の女中・ふみは若旦那・謙吉の子を身ごもり東京へ駆け落ちするも、謙吉は迎えに来た父親と共に帰郷してしまう。やがて芳太郎と出逢ったふみは、共に漫才師になり子供を連れて旅芸人の一座で働くことに。そんなとき、巡業先で再会した若旦那から結婚を申し込まれたふみは…。田舎の因習の中で苦しみながらも毅然と生きるふみを演じる山路ふみ子が素晴らしい。

  • 『残菊物語』

  • 残菊物語 上映スケジュール
  • 公開:1939年
    出演:花柳章太郎、森赫子、河原崎権十郎、梅村蓉子、高田浩吉、嵐徳三郎、川浪良太郎、高松錦之助、葉山純之輔、尾上多見太郎、花柳喜章、志賀廼家弁慶、結城一朗、南光明、天野刃一、井上晴夫
    歌舞伎の名家の養子として甘やかされて育った菊之助は、弟の乳母・お徳と恋に落ちるが、身分の差ゆえ周囲から猛反対され家を出る。身一つとなり苦しい日々が続く中、お徳の献身的な支えで成長した菊之助にやっとチャンスが巡ってくるが…。旧弊な社会との軋轢に苦しみ、芸と恋との間に揺れる男女の情を、ワンシーンワンカットの素晴らしい演出によって描き出した傑作。

  • 『元禄忠臣蔵 前篇』

  • 元禄忠臣蔵 前篇 上映スケジュール
  • 公開:1941年
    出演:河原崎長十郎、中村翫右衛門、河原崎国太郎、嵐芳三郎、坂東調右衛門、助高屋助蔵、瀬川菊之丞、市川笑太郎、市川莚司、市川菊之助、山崎進蔵、市川扇升、市川章次、市川岩五郎、市川進三郎、坂東春之助、中村公三郎
    従来の時代劇としての忠臣蔵に飽き足らず、史実に基づいた歴史映画としての忠臣蔵を目指した溝口の野心作。多くの考証家を動員して家屋、美術、言葉など綿密な時代考証を行った。奥行のある構図やクレーン撮影など素晴らしい場面はあるものの、人間ドラマの側面を欠き、興業的には失敗作となった。前編では、松の廊下事件から内蔵助が江戸に向かうまでが描かれている。

  • 『元禄忠臣蔵 後篇』

  • 元禄忠臣蔵 後篇 上映スケジュール
  • 公開:2013年
    出演:河原崎長十郎、中村翫右衛門、中村鶴蔵、河原崎国太郎、板東調右衛門、助高屋助蔵、瀬川菊之丞、市川笑太郎、橘小三郎、市川莚司、市川菊之助、中村進五郎、山崎進蔵、市川扇升、市川章次、市川岩五郎、坂東銀次郎、生島喜五郎、海江田譲二
    赤穂浪士が切腹するまでを描いた溝口忠臣蔵の後編。セットも組まれていたという吉良邸討ち入りのシーンは、溝口の「チャンチャンバラバラはいらない」との意向で撮影されず、瑶泉院と戸田局が読む手紙で事件のことが知れるという異色の展開となっている。前篇と比べて、個々の登場人物のドラマが増えており、最後の切腹シーンは哀切極まりない。

  • 『雪夫人絵図』

  • 雪夫人絵図 上映スケジュール
  • 公開:1950年
    出演:木暮実千代、上原謙、柳永二郎、久我美子、浜田百合子、山村聡、夏川静江、浦辺粂子、加藤春哉、田中春男、小森敏、石川冷、水城四郎
    旧華族の娘・雪の夫・直之は妾宅に入り浸たり。さらに、夫から独立しようと雪が始めた旅館に、妾を連れて来て宴会を開く始末。そんな直之を嫌悪する雪には思いを寄せる琴の師匠がいるのだが、夫から身体を求められると抵抗できず…。精神的には軽蔑し憎んでいる男を、肉体的には拒めないという女性の葛藤をテーマとした作品で、女の性ゆえに悲しい運命を辿る雪を木暮実千代が官能的に演じている。

  • 『お遊さま』

  • お遊さま 上映スケジュール
  • 公開:1951年
    出演:田中絹代、乙羽信子、堀雄二、柳永二郎、進藤英太郎、東良之助、南部章三、平井岐代子、金剛麗子、小松みどり、松浦築枝、相馬幸子、石原須磨男、小林叶江、藤代鮎子、南扇子、牧千草、堀北幸夫
    夫亡き後も婚家に残り息子を育てるお遊。彼女を慕う名家の娘・お静と骨董店の若主人・慎之介は形だけの夫婦となり、お遊と三人で楽しい日々を送るのだが、その不自然な関係が問題となり…。谷崎原作だけあり、お静と慎之介を結婚するよう仕向け無意識に自分の側から離すまいとするお遊と、お遊に奉仕することを歓びとする夫婦の特異な三角関係に、嗜虐と被虐の構図を見ることができる。宮川一夫による見事なカメラワークは必見。

  • 『西鶴一代女』

  • 西鶴一代女 上映スケジュール
  • 公開:1952年
    出演:田中絹代、山根寿子、三船敏郎、宇野重吉、菅井一郎、進藤英太郎、大泉滉、清水将夫、加東大介、小川虎之助、柳永二郎、田百合子、市川春代、原駒子、毛利菊枝、沢村貞子、近衛敏明
    御所勤めから松平家のお部屋様、そして花魁、女中、町人の妻から夜鷹へと。男から愛される故、そして愛する故に転落していくお春。奈落の底にいたお春は、自分の産んだ子が松平家の跡継ぎになったという噂をきくが…。お春を演じた田中絹代は13歳から50歳までの女の一生を見事に演じきり、ヴェネチア映画国際賞を受賞した。ヌーヴェルヴァーグの監督達にも多くの影響を与え、リヴェットの『修道女』はこの作品へのオマージュとして作られた。

  • 『雨月物語』

  • 雨月物語 上映スケジュール
  • 公開:1953年
    出演:京マチ子、水戸光子、田中絹代、森雅之、小沢栄、青山杉作、羅門光三郎、香川良介、上田吉二郎、毛利菊枝、南部彰三、光岡龍三郎、天野一郎、尾上栄五郎、伊達三郎源市、沢村市三郎、村田宏二、横山文彦
    戦国時代、戦に乗じて金儲けをしようと源十郎兄弟は陶器売りを始める。そんなある日、朽木屋敷に品物を届けに行った源十郎は、屋敷の姫・若狭に誘われるがまま時を忘れて過ごしていたが、通りがかりの僧から死相が出ていると言われ…。人間の欲望と無常、儚さを主題に、素晴らしい構図と映像美によって作り上げられた幻想世界は観る者の心を奪う。東洋的で水墨画的な格調高い美しさを目指した溝口の意図が見事に反映された本作は、溝口映画の最高峰とされている。

  • 『祇園囃子』

  • 祇園囃子 上映スケジュール
  • 公開:1953年
    出演:木暮実千代、若尾文子、河津清三郎、進藤英太郎、菅井一郎、田中春男、小柴幹治、浪花千栄子、石原須磨男、志賀廼家弁慶、伊達三郎、毛利菊枝、柳恵美子、小松みどり、小林加奈枝、大美輝子、橘公子
    昔気質の芸者・美代春は、お茶屋の女将・お君から金を借りて内弟子・栄子のお披露目をする。ところが、その金は栄子に目をつけた実業家の楠田から出たもので…。木暮実千代の匂い立つような色気と若尾文子のはつらつとした若さ、そして浪花千栄子の曲者振りなど女たちの魅力に溢れた作品ながら、色と欲に突き動かされる男たちからも目が離せない。特に美代春に執心する官僚・神崎役の小柴幹治の視線や手つきの描写はスゴいの一言。

  • 『山椒大夫』

  • 山椒大夫 上映スケジュール
  • 公開:1954年
    出演:田中絹代、花柳喜章、香川京子、進藤英太郎、河野秋武、菅井一郎、見明凡太郎、浪花千栄子、毛利菊江、三津田健、清水将夫、香川良介、橘公子、相馬幸子、小園蓉子、小柴幹治、荒木忍
    平安朝の末期、流罪となった夫を訪ねて旅する母・玉木と、安寿と厨子王の姉弟が辿る悲劇を描いた、森鴎外の『山椒大夫』の映画化。玉木が水を汲む川のせせらぎ、安寿が入水自殺する池に広がる波紋、母と子が再開する佐渡の海辺など、印象的な水の描写に象徴される清らかな美しさに溢れた世界的名作。彼らが被ってきた数々の恐ろしい受難も、水に洗われるように浄化され救いが訪れるラストシーンには、崇高ささえ漂う。

  • 『噂の女』

  • 噂の女 上映スケジュール
  • 公開:1954年
    出演:田中絹代、大谷友右衛門、久我美子、進藤英太郎、浪花千栄子、峰幸子、阿井三千子、橘公子、小柳圭子、若杉曜子、長谷川照容、大美輝子、前田和子、田中春男、見明凡太郎、十朱久雄、伊達三郎、上田寛
    置屋の娘だという理由で失恋し、自殺を図ったあげく実家に帰ってきた雪子。女将である母・初子に商売をやめるよう懇願するが、愛人の的場のことで頭がいっぱいの初子は相手にしない。そんな中、的場が雪子を好きになり…。初子が営む島原の置屋のセットが素晴らしい。店で働く太夫たちの日本髪に着物姿と、春子の服装とショートカットのくっきりとした対比が、世代や価値観の違いを際立たせている。

  • 『近松物語』

  • 近松物語 上映スケジュール
  • 公開:1956年
    出演:長谷川一夫、香川京子、南田洋子、進藤英太郎、小沢栄、菅井一郎、田中春男、石黒達也、十朱久雄、荒木忍、東良之助、橘公子、浪花千栄子、葛木香一、水野浩、天野一郎、原聖四郎、伊達三郎、石原須磨男
    吝嗇で女好きな大経師の妻・おさんと手代の茂兵衛は、ある誤解から不義を疑われ、やむなく逃避行の旅に出る。役人に追われ琵琶湖で入水自殺しようとする二人だったが…。死を前にした茂平衛の愛の告白を聞いたおさんの「私は生きたい!」という叫びは、恋に生き恋に殉じる女の神々しいまでの輝きに満ちている。命を懸けた二人の恋の道行きを彩る邦楽器による音楽も素晴らしい。

  • 『赤線地帯』

  • 赤線地帯 上映スケジュール
  • 公開:1962年
    出演:京マチ子、若尾文子、木暮実千代、三益愛子、町田博子、川上康子、進藤英太郎、沢村貞子、浦辺粂子、入江洋吉、十朱久雄、丸山修、小川虎之助、菅原謙二、春木富士夫、多々良純、見明凡太郎、加東大介
    売春禁止法の国会審議というタイミングで作られた、吉原の「夢の里」を舞台に繰り広げられる可笑しくも哀しい人間ドラマ。店で働く五人の娼婦たちが抱える事情とそれぞれの背景を丁寧に描き、愚かでありながら愛おしい女たちへの深い共感を呼び起こす溝口の遺作。「夢の里」の主人夫婦を演じる新藤英太郎と沢村貞子コンビの掛け合いも絶妙。前衛的な音楽も素晴らしい。

  • 『ある大阪の女』

  • 上映スケジュール
  • 公開:1962年
    出演:団令子、藤原釜足、勝呂誉、初風諄、川崎敬三、原知佐子、小沢栄太郎、万代峰子、山茶花究、田武謙三、芝木優子、若松明、黛ひかる
    『浪華悲歌』を須川栄三が現代風にリメイクした作品。どうしようもない家族、不実な恋人、落ちてゆくヒロインとストーリー構成は前作と同じだが、変更されたラストシーンで、「今度はもっとうまいことやったるわ!」と言い放つアヤ子には、現代的な強さとカッコよさがある。アヤ子役の団令子が魅力的な佳作。

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